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一つしかない真実

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 もし、へたのことを言って、関係のない人が取り調べなどを受け、それによって、まわりから信用を失うなどということになれば、どう責任を取ればいいというのだろうか?
 それこそ、
「恨みを持たれて、殺意を抱かれるかも知れない」
 ということになると、それこそ、たまったものではない。
 それこそ、
「軽い気持ちで、警察に協力した」
 と思っていると、実は、
「冤罪を生んだ」
 ということになったり、
「逆恨みを受けて殺される」
 ということになれば、
「殺されたとして、自分は被害者なんだ」
 と、果たしていうことができるだろうか?
 実際に、事件が発覚してから、約一か月くらいが経ったが、有力と思えるような目撃証言は、皆無だった。
 ちょっとした情報はあったのだが、調べてみると、
「ガセネタだった」
 ということは、すぐに分かった。
 ただ、ここまで目撃情報がないことで、あくまでも、
「単純なひき逃げ事件だ」
 と思っている捜査陣とすれば、次第に疲れが出てきたのだ。
「早く迷宮入りになってくれればいい」
 と感じている人もいるかも知れない。
「もし、この状態で、他の事件が勃発すれば、迅速にそちらの事件に当たることができるのか?」
 と言われると、
「どこか平和ボケ」
 というものをしているようで、
「このままではいけない」
 と皆思っているようだった。
「世の中には、頻繁に殺人事件が起こっているところがあるというのに」
 ということで、前述のような、
「本来であれば、たくさん事件があるはずなのに、なぜか、自分のまわりには、そういう事件というのが見当たらない」
 という不思議な現象を感じることがある。
 それも、一種の、
「警察あるあるだ」
 と思っている人もいるようだが、実際には、
「こんな感覚は、定期的にある」
 といってもよかった。
 えてして、
「事件が起こると、他に連鎖する」
 といっていいのか、
「どんどん事件が起こる」
 ということもあるようだ。
 しかし、事件がピタリと止まると、今度はほとんど、
「事件らしいものが何もない」
 といわれることが多いという、
「殺人事件などの凶悪事件が一つ起こると、他でも事件が連鎖する」
 といってもいいだろう。
 それこそ、
「鉄道会社で、人身事故が起こると、数日連鎖が続く」
 と言われているが、まさにそんな感じだ。
 もっとも、
「鉄道会社における人身事故」
 というのは、そのほとんどが、
「自殺」
 ということである。
「人身事故」
 というものが、自殺だということであれば、事情は違ってくる。
 自殺というのも、
「連鎖する」
 といわれるがそれも当たり前といってもいいことで、
「自殺する」
 というその動機を考えれば、
「自殺が多発するという時期がある」
 というのも、分かり切っているといってもいいだろう。
 自殺の理由として、一番多く考えられるのは、
「世間を悲観して」
 ということである。
 会社を経営していて、その会社が破綻する」
 ということであったり、
「借金を苦にして、借金取りから逃れたい一心」
 ということであったりと、
「いわゆる、社会情勢の悪化」
 ということから自殺に走る人が多いという。
 特に、時期的なものというのもあるようで、
 会社でいえば、
「期というものの変わる時」
 といってもいいだろう。
 要するに、
「春先と秋口」
 ということである。
 その時期には、転勤なども多かったりして、会社も、
「人員整理」
 を考える時期である。
 社員に、
「無理難題を押し付けて、会社を辞めざるをえない」
 という状態に追い込み、リストラするという、
「血も涙もない」
 というやり方で、実際に、再就職の口もないことで、
「世を儚んで命を断つ」
 ということが普通にあるのだ。
 だから、
「会社でいうところの、期の変わり目」
 というあたりから、少しの間、自殺者が多く、考えてみれば、
「新学期から、ゴールデンウイークまでの間に、結構人身事故が多くて、電車がまともに動かない」
 ということで、
「かなりの迷惑を被った」
 という記憶があるだろう。
 実際に、
「鉄道会社の怠慢」
 というのは、目に余るものがある。
 これは、昭和から、平成初期にかけてを知っている人は分かることなのかも知れないが、
「当時は、民営化」
 という波が押し寄せていて、
「三公社五現業」
 と呼ばれるものが、軒並み、
「民営化していった」
 ということであった。
 それによって、
「専売公社が、日本たばこ産業に」
「電電公社が、NTTに」
 そして、
「国鉄がJRに」
 ということで、一気に民営化したのが、
「平成の頭」
 くらいだったのである。
 ちょうど時期としては、
「バブル経済真っただ中」
 という時期でもあったのだが、それも長くは続かなかった。
「銀行の破綻」
 という、信じられないような事態に陥ることで、世の中は、
「先の見えないお先真っ暗」
 という状態となり、
「経済は大混乱」
 さらに、
「会社は軒並み倒産」
 ということだったにおだが、
「何とか、倒産を免れるため」
 ということで、打たれた手というのが、
「リストラ」
 という名前の、
「大規模な人員整理」
 ということであったり、
「企業同士による合併」
 というものであった、
 すでに、
「対等合併」
 などというものでは、どうしようもない世の中になっていたので、
「会社の利害」
 というものを考えての、
「吸収合併」
 である。
「吸収する側からすれば、相手会社が、自分たちにないものを持っている」
 ということでのメリットというものがあれば、吸収することで、一部の社員の雇用は守られるというものだ。
 要するに、
「黙って、倒産するよりもマシ」
 ということであろう。
 実際に、
「吸収合併」
 というものも、かなり厳しいわけで、吸収する側も、される側も、会社としては、メリットはあるだろうが、社員には、ほぼ、デメリットしかないといってもいい。
 吸収された側は、完全に奴隷扱いされても、文句はいえないし、吸収する側の社員とすれば、
「つぶれそうな会社を吸収しなければ、今まで利益があったということで、賞与もそれなりになったのに、吸収してしまったことで、会社全体の利益が落ちたことで、自分たちがその分を一部とはいえかぶらなければいけない」
 と考えると、
「たまったものではない」
 ということで、会社内において、
「吸収する側」
「される側」
 ということで、そのギャップから、会社内の派閥であったり、体制が揺らいでくることもあるかも知れない。
 表向きには、
「メリットがある」
 といえるだろうが、内部においては、
「これほど理不尽なことはない」
 ということで、これも一種の、
「バブル崩壊」
 による副作用のようなものだといっていいだろう。
 だから、
「会社を首になっても地獄。残っても地獄」
 ということになるのだ。
 しかも、
「いつどうなるか分からない」
 という恐怖を背負っての生き残り」
 ということになると、へたに責任のある人は、本当にたまったものではない。
作品名:一つしかない真実 作家名:森本晃次