噛ませ犬
しかし、欲があるから、
「成長もする」
ということで、欲がなければ、ただ息をしているだけでしかないともいえるだろう。
「欲がなければ、本当に、息をしているだけ」
ということになるというもので、それは、感情に何も響かないだけだからだ。
「欲を満たすためには、そのために越えなければいけないハードルがある」
というわけで、
「性欲」
「禁欲」
「征服欲」
などというものがあるが、その欲のために、人間は進化し、さらには、
「戦争などを引き起こしてきた」
といってもいい。
そして、この欲というものは、ある一定の感情にいたると、
「制御不能」
ということになる。
制御しなければいけないというのは、
「これはいけないことなんだ」
と感じるからで、
「理性」
というものが邪魔をして、
「抑止しないといけない」
と考える。
しかし、そう思えば思うほど、人間は我慢をしなければいけなくなり、その我慢が限界に達すると、
「制御できなくなる」
ということになるのだ。
動物のように、
「普段から本能の下に動いている」
というわけではない人間にとって、
「一度、制御できなくなってしまうと、その歯止めは利かない」
といっていいだろう。
果てしない、
「自制の念」
と、
「欲望に対しての意識」
との間でバランスを取っているのだが、そのバランスが取れなくなると、
「欲を抑えることができなくなる」
ということになるのだ。
「欲がもとになっている犯罪」
というものは、
「再犯率が高い」
という。
それは、
「依存症」
といわれるもので、
「欲というものが、自分の中で、生きていく上での、依存ということになってしまうと、逃げることができない」
と感じるだろう。
「欲というものに対して、自分が逃げている」
という発想は、普通では考えられない。
「まわりから見れば、逃げている」
と思われるが、本人は、
「決して逃げているという発想には至らない」
ということで、このギャップが、
「我慢できない」
という感情と生むことで、さらに、
「逃げ道」
という弱い部分が垣間見えたことで、
「我慢ができない状態」
になってしまい、
「再犯に結びつく」
ということになったり、
「我慢できなければ、逃げればいいんだ」
という気持ちになることだろう。
特に、
「薬物依存」
というのは、それから逃れるためには、
「相当な苦痛を伴う」
ということであるから、余計に、逃げ道を探すことになるだろう。
人間というものは、
「息ができなくなると死んでしまう」
ということで、
「どうあっても、息ができるところに逃れようとする」
というのは、当たり前のことであり、それこそが、本能というものだといえるのではないだろうか?
そんな
「大人になると、子供の頃のような我慢ができなくなる」
というのは、それだけ、
「大人になると、欲というものが強くなってくる」
ということになるかということであろう。
特に、性欲というものは、また別の種類のものではないかと考える人もいるようだ。
元々、
「欲というものは、人間にとって不可欠なものだ」
といってもいいだろう。
「食欲」
というのは、
「食べなければ生きていくことができない」
という、一番わかりやすい欲といってもいい。
また、犯罪との絡みで、あまりよくは言われないものとして、
「性欲」
というものがある。
これも、
「種の保存」
ということで、性欲がなければ、子供ができることもなく、次第に、絶滅に向かってまっしぐらということになるだろう。
今の日本では、その、
「絶滅にまっしぐら」
といってもいいかも知れない。
なぜなら、
「昔のような、家制度」
というものに関心を示すこともなくなってきた。
だからなのか、
「結婚する人も減ってきた」
というのは、
「今までが、家の存続というもののために、我慢していた」
ということであるが、今の時代は、
「家の存続」
という考えは、
「古臭く化石のような考えだ」
ということになっている。
というのも、
「長男が家を継ぐ」
ということも、今の民主主義においての、
「個人の尊厳」
という考え方から、
「古い風習」
ということになり、
「家制度」
というものも、次第に崩壊してくるということになった。
そんな制度が、今となれば、本当に、
「古臭いカビの生えた制度だ」
と、誰もが思っていることだろう。
それだけ、時代が動いたといえるのかも知れないが、確かに、
「家制度というのは、生きていくうえで仕方のないことだ」
と思われていたことから、長く続いてきたということになるのであろう。
特に、
「家制度の崩壊」
というのは、時代の流れとして、
「仕方のない」
という部分もあった。
それが、平成になってからすぐくらいに起こった、
「バブル崩壊」
というものだったのだ。
「バブルの崩壊は、それまでの社会の常識というものを一変させた」
といってもいいだろう。
特に、
「銀行は絶対に潰れない」
などといわれた、
「銀行不敗神話」
というものが、もろくも瓦解したのが、始まりだったのだ。
それにより、経済が大混乱となり、会社を救うはずの銀行が破綻ということになったのだから、どうしようもなかった。
しかも、それまでは、
「事業を拡大すればするほど儲かる」
といわれていた時代で、
「ぼやぼやしていると、社会に置いて行かれる」
といわれていたものが、今度は、
「収入には限界がある」
ということになったのだから、今までの利益は、絶対に望めないということになる。
しかも、
「誰も予想できなかった」
ということで、それこそ、天災に見舞われたかのようで、混乱は、必死だったのだ。
何といっても、
「バブル崩壊」
というのは、未知の世界。
どのように対応すればいいのか?
というマニュアルなどあるわけはない。
そう考えると、
「できることを考えて、対応するしかない」
ということで、
「収入が望めないのであれば、支出を抑えるしかない」
というのが、まずは最初であろう。
そうなると、一番最初に削るものとして、
「人件費」
ということである。
それまでは、
「事業を拡大すれば、人がいる」
ということで、人海戦術も辞さないという時代だったものが、
「雇っているだけで、金がかかる」
ということになり、しかも、今までのような仕事がないということになるので、当然、一番にしなければいけないことは、
「人件費の削減」
ということである。
それまで、ほとんど聞いたことがなかった
「リストラ」
という言葉が、まるで流行語とでもいうようになり、
「首切り」
が行われる。
特に、
「早期退職者を募る」
という方法で、
「人減らし」
を行うのだった。
今でも、その方法は使われていて、もちろん、そうなると、
「その会社の先はない」
ということで、ただの、
「延命処置」
というだけのことである。
ということは、
「会社に残るも地獄。辞めるも地獄」



