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悪党の因果応報

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 彼らの関係者であれば、少なくとも、
「自分の身内」
 であったり、
「知り合い」
 を悪くは思いたくないだろう。
 そう考えると、
「まずは、自分の知り合いに都合よく考えることだろう」
 それが、
「身内」
 ということであれば、
「復讐」
 というものを企てるかも知れない。
 いくら知り合いとはいえ、
「復讐などを企てる」
 ということは、よほどの関係者ということであろう。
 もし、これが、
「恨んでいる人がいるかも知れない」
 ということで捜査をされるとすれば、少なくとも、
「捜査線上というものに浮かんでくるに違いない」
 といえるだろう。
 しかし、それがないとすれば、状況から考えても、
「自殺」
 ということになるだろう。
 しかし、この人の場合は、
「状況」
 というのも、
「何か怪しい」
 といえるところがあったのだ。
 男が身を投げたところというのは、確かに。
「自殺の名所」
 といわれる場所で、防犯カメラも設置してあるはずなのに、実際に、自殺の場面が移っているわけではない。
 しかし、朝になると、遺書が、
「飛び降りた」
 といわれる場所に置かれていた。
「誰がどのように置いたのか?」
 ということも不思議だったのだ。
 これは、警察があまり気にしなかったことであるが、
「この場所で自殺をする人が多い」
 という理由に、
「死体が上がらない」
 ということだったはずだ。
 しかし、死体は、そこから少し離れた砂浜に打ち上げられていたのだ。
「稀にあること」
 ということであるが、
「年にそう何度もあることではない」
 ということで、
「季節はすでに、年の半分も過ぎているのに、今年初めてのこと」
 ということで、実際の現場の人の中には、
「何か怪しいな」
 と思った人もいるようだが、このあたりの人は、皆警察をあまり信用しない風潮にあるようで、
「へたなことを言って、警察に逆らうのは、時間の無駄だ」
 と思っていた。
「イライラするだけバカバカしい」
 ということであった。
 だから、
「この街の人は、誰一人として、警察に協力なんかしないのさ」
 というほどであった。
 だから、今から思えば、
「自殺」
 ということで処理された中には、
「実際には、殺人事件だったのではないか?」
 と思えるのも、いくつかあった。
 それを現地の人間は黙って見ているのだ。
 警察は、そんなこととはまったく知らず、
「今回の事件も、自殺ということで」
 と、
「事務的な処理」
 をするだけだった。
 このあたりの住民は、
「街」
 という形態に代わっているが、実際には、意識としては、
「村」「
 であった。
 都会に対して、実に大きな閉塞感を持っていて、警察が思っているよりも、それ以上に、都会に対しての偏見が大きかった。
 だから、今回の事件も、
「怪しい」
 とは思ったが、
「どうせ警察は、事故で片付けるんだろうな」
 ということで、
「今に始まったことではない」
 と思っていたのだ。
 ただ、気になったのは、
「遺書があった」
 ということだ。
「防犯カメラがある」
 ということで、
「これが殺人だ」
 ということであれば、
「どうして、そんな手間がかかり、警察に疑われるかも知れないことをしたんだ?」
 ということであった。
 警察というと、このあたりに限らず、死体が流れ着いて、
「外傷がない」
 ということであれば、すぐに、
「自殺として片づける」
 というのは分かっている。
 特に、このあたりの田舎警察であり、しかも、場所が、
「自殺の名所」
 ということであれば、
「それも当たり前のこと」
 といえるだろう。
 それに、この街の人は、いくら、
「田舎者だ」
 といっても、バカではない。
 一つ、自治体や警察のことを、
「バカだ」
 と思っているのだが、その理由としては、
「防犯カメラの設置」
 ということである。
 そもそも、防犯カメラというのは、読んで字のごとしということで、
「防犯のためのカメラ」
 である。
「自殺の名所」
 という場所で、いくら防犯カメラが設置してあったとしても、実際に、
「これから飛び込もう」
 という人の自殺を、
「未然に防ぐ」
 ということができるわけはない。
 いくら、カメラに自殺者が写し出されたとしても、すぐ警察が飛び出せるわけではないのだ。
 そんな、
「ワームホール」
 のようなものがあるわけではない。
 それを考えると、
「防犯カメラ」
 というのは、
「飛び込んだ人が、自殺なのか、他殺なのか。それとも、事故なのか?」
 ということを見極めるだけということになる。
 それは、
「街中の防犯カメラにも言えることだ」
 ということであるが、少なくとも、強盗や、暴行、殺人などの犯行を未然に防ぐことは、街中ではできなくもないということである。
 しかし、この場所では、防犯カメラがあっても、
「本当の防犯にはならない」
 ということであり、
「何の必要があるのか?」
 と、警察の真意を、
「見誤ってしまっている」
 といえるだろう。
 それも、
「警察と、地元住民との間での確執」
 ということになったのだ。
 しかも、もっとややこしいのは、そこに、
「政治家の先生」
 というのが絡んできたからだった。
 地元と警察の確執というものを利用して、
「地元住民に味方をする」
 という観点から、
「地元票を得る」
 と考えるようになった。
 そもそも、
「このあたりの人に限らず、警察というものに対して、田舎の人であれば、あまり快く思っていない」
 という人が多いのは分かっているというものだ。
 というのも、
「地元住民」
 というのは、どうしても、昔の警察のイメージを引きずっている人が多く。
「農地改革」
 であったり、
「ふるさと創生」
 などといわれた時代、
「警察が、ゼネコンなどと結託し、地元の人たちに苦汁を舐めさせた時代」
 というのを知っていて、
「それを、子々孫々に伝える」
 ということが続いているのであった。
「そんな今の時代に」
 と思われるかも知れないが、
「田舎」
 というのは、
「都会の人が感じている以上に、その確執については、かなりの差がある」
 ということになるだろう。
 だから、田舎の人は今でも、
「検察への偏見」
 というものに関しては、かなりのものがあるといってもいいだろう。
 だから、田舎の人は、都会から来た人で、
「警察を嫌いだ」
 という人に対しては、無条件に優しかったりする。
 それを考えると、
「何かことを起こすには、田舎の人を仲間に引き込むのも手だ」
 という人もいるようだった。
 もちろん、日本全国、いたるところに田舎はあるが、
「全部が全部、その通りだ」
 というわけではない。
 場所によっては、
「警察に全面的に協力する」
 というところもあり、とにかくそういう意味で、
「警察にとって、田舎は扱いにくいところである」
 ということになるだろう。
 今回の、自殺も、地元署では簡単に、
「自殺」
 ということで処理をしようということであったが、被害者の住居がある、
「F県K警察」
 では、頭から、
「自殺だ」
作品名:悪党の因果応報 作家名:森本晃次