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三すくみの正体

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 ホストとしても、店の掛けは、少しすれば、自分の債務になってしまうことで、ホストとしても、
「背に腹は代えられない」
 ということで、態度が一変する。
 女も、
「やっと、ホストの闇に気づいた時には時すでに遅く、ホストのつてで、風俗で稼ぐことを強要させられる」
 ということになるのだ。
 そして、実は、
「もう一つのパターンがある」
 というのは、こちらは、
「逆のパターン」
 ということで、
「ホストが、客として、風俗に通い、風俗嬢をホストに誘い込む」
 というやり方である。
 つまりは、
「風俗で稼いだ金を、ホストに貢ぐ」
 ということで、要するに、
「風俗嬢に癒しをもらいに行っているその代金は、癒しをくれていたはずの、女の子が、ホストに貢ぐ金に消えてしまう」
 ということになるわけで、
「実際には、水かきをしているのに、まったく前に進まない」
 というような状況だといってもいいだろう。
 だが、それも、
「風俗の闇」
 ということを考えれば、貢ぐ男としても、
「それを分かったうえで」
 ということであれば、それはそれで問題ないと思う。
 考えてみれば、
「風俗嬢に、恋愛感情を抱く」
 という方が怖いというわけで、それこそ、
「風俗嬢が、ホストに溺れて、せっかく稼いだ金を貢いで、それでも足りないからということで、借金にまで手を出す」
 という
「負のスパイラル」
 のようなものに、自分だって陥る可能性があると考えると、
「割り切っての付き合い」
 というのが、
「風俗遊びだ」
 と思えば、一番あとくされもないし、考え方によっては、
「性処理をお金で」
 ということで、考えてみれば、
「世の中、何かを得るには、必ずお金がいる」
 というわけである。
 それが、
「性処理」
 というだけのことで、それを
「お金で買う」
 ということの何が悪いというのだ?
 確かに、昔であれば、
「貞操感覚」
 というものが強く、
「結婚している人が、不倫や浮気をすれば、罪に問われる」
 という
「姦通罪」
 というものがあった。
 ただ、この姦通罪というのは、日本では、
「戦後に廃止」
 ということで、諸外国に比べれば、早い方だったといってもいいのだろうが、実際には、少し違っている。
 というのは、
「日本における姦通罪」
 というのは、諸外国とは違い、
「決定的な差別」
 というものがあった。
 それは、
「女性が姦通を行えば、姦通罪」
 ということになるが、
「男性が姦通しても、姦通罪にはならない」
 という、実に理不尽な法律だったのだ。
 つまり、
「敗戦」
 ということで、占領軍から無理やり押し付けられた、
「民主主義」
 というものに、
「法の下の平等」
 というものがあることで、
「男女で、罪状が違う」
 という、この、
「姦通罪というのは、違憲である」
 ということになり、
「刑法改正」
 によって、削除されることになったのだ。
 戦後の時代から、風俗はあったが、当時から比べれば、まったく様変わりした風俗業界。
どちらかというと、今は、
「結構解放された業界」
 ということになってきただろう。
「風営法」
 と言われる、比較的厳しい法律で、半分雁字搦めにはなっているが、逆に、
「それさえ守っていれば。普通のサービス業と同じで、堂々と営業ができる」
 といってもいいだろう。
 しかも、
「客に癒しを与える商売」
 ということで、別に問題があるということではない。
 ただ問題は、それでも、
「偏見で見る人は、一定数いる」
 ということで、風俗嬢として一番厄介なことの一つに、
「前述の、身バレ」
 というものがあるのであった。
「身バレ」
 というのは、
「昼職」
 であったり、
「大学」
 などの関係者に、
「自分が風俗で働いている」
 ということがバレるのが怖いということであった。
 昔は、
「親にバレるのが怖い」
 ということであったが、今では、
「身バレ」
 というのも多様化しているといってもいいだろう。
 だから、店側も、そのあたりは、気を遣っている。
 一つには、
「ネットにおいて、紹介画像を示すのに、顔の目であったり、口まわりに、モザイクを掛ける」
 というものだ。
 それは、もちろん、昔から行われていることだが、これが一番重要だろう。
 さらに、もう一つとしては、
「女の子に客が対面する前に、女の子に面通しさせる」
 ということである。
 実際に遭ってみると、
「知り合いだった」
 ということであれば、シャレにならない。
 女の子は、辞めなければならなくなり、店側としても、大きな痛手ということになるだろう。
 特に、
「人気嬢」
 であればあるほど、大変なことで、
「これは困る」
 と感じるに違いない。
 だから、店側が、しっかりしていなければいけないということで、
「待ち人が他にいなくても、必ず待合室に通す」
 というのが当たり前になっているのだ。
 待合室で待っている客を、昔であれば、
「マジックミラー」
 のようなもので、女の子が確認する」
 というもので、
「それこそ、昭和の時代の、警察での取調室のようなものだ」
 といってもいいだろう。
 今でこそ、
「防犯カメラ」
 というものがあるので、
「そちらで確認する」
 ということができるのだ。
 それを思えば、
「客もいないのに、どうして、結構長い間、待合室にいることになるんだ?」
 という理由も分からなくもない。
 もっとも、これは、
「客にとってもありがたい」
 部屋に入って、目の前にいる城が、自分の知り合い、特に、
「肉親だった」
 などということになると、
「気が遠くなる人もいる」
 ということであろうが、実際には、
「お前だって風俗に来ているではないか?」
 ということから、何も言えないはずで、逆に、
「気まずい雰囲気」
 ということになるだろう。
「どちらの立場が強いか?」
 ということは、この場合には、完全に、
「五分五分」
 といってもいい。
 だとすれば、立場的に、優先順位として、父親が強くなるというのは、無理もないことだろう。
 そうなると、
「ああ、この子は、ここまでだな」
 と店が感じても仕方がない。
 そもそも、
「身バレ」
 というのは、その時点で、
「風俗引退」
 という言葉と同意語だと思われても無理もないといえるだろう。
 それも、
「風俗慣れしてきてから、嬢と話をしている時」
 であったり、
「風俗業界の癒しを求める」
 という間に、興味を持って調べた中で出てくることであった。
 しかし、沢村も、
「二十歳になるまでは童貞」
 ということであり、
「風俗というのは、まったくの別世界だ」
 と感じていたところであった。
「童貞をなくした、その先の未知の世界」
 というものと、感覚的には近かったかも知れない。
 そういう意味で、
「二十歳になってから、童貞だったら、風俗に行こう」
 と考えたのは、無理もないということであった。
 むしろ、
「風俗が楽しみだった」
 といえるかも知れない。
「風俗は癒しがもらえる」
 という話は以前から聞いていた。
 ただ、知らないだけに、
作品名:三すくみの正体 作家名:森本晃次