三すくみの正体
という感覚で、だから、
「人間には、抑えることができる力がある」
ということだ。
それを
「理性」
というものだということで、それを抑えられないと、
「犯罪者」
ということになる。
犯罪というのは、
「殺人」
などという最高に重い罪から、
「ちょっとした万引き」
という程度の。
「誰が見ても軽い罪」
というものがある。
しかし、その犯罪は、
「人によっては、ただの万引きかも知れないが、場合によって、その万引きのせいで、店の信用ががた落ちになり、客が来なくなることで、店を閉めなければならなくなり。結局、店主は、そのまま自殺をした」
という最悪のケースだってあるわけだ。
「一刀両断に、罪の重い、軽いというものを簡単に決めてはいけない」
というのは、そういうことである。
実際に、
「犯罪行為」
というのは、言葉で聞いたものと、その時の事情であったりと、
「相手があること」
ということであれば、
「いろいろなパターンがある」
ということになる。
だから、
「刑事が真相を掴み、その証拠などをもとに、刑罰を決める」
という、
「裁判制度がある」
ということになるのである。
「皆が、同じ状況で同じ立場であれば、罪状に対しては、すべて同じ罪」
ということが決まるであろう。
実際に裁判ということになると、
「簡易裁判」
というのは別にして、刑事裁判などであれば、
「数年もかかる」
というのは当たり前ということで、
「それだけ、罪状によって、そして、その時の状況によって、たくさんの考え方がある」
といってもいいだろう。
「無限の可能性が広がっている」
ということで。それこそ、
「パラレルワールド」
のように考えられるといってもいい。
その中でも、よく言われることとして、
「真実は一つだ」
と言われるようだが、
「果たして、本当にそうだろうか?」
ということである。
「裁判制度」
というものが、いろいろな可能性を考えてくれるということであるのに、
「痴漢」
などの冤罪事件になりかねないものというのが、
「そのほとんどは、有罪になる」
ということで、
「最初の証言を、決定的に否定できる証拠がない限り、この証言が、絶対ということになるのだ」
ということであろう。
そんな、
「決定的に不利な容疑者というものであるが、犯罪者にとって、これほど利用死骸がある」
という人はいないだろう。
しかし、実際には、
「痴漢などの犯罪」
というのは、
「現行犯」
でなければ捕まえることはできない。
だから、その場で容疑者が、
「痴漢認定され、警察に突き出されたりしない限りは、罪には問われない」
といってもいい。
しかし、今は、防犯カメラもあれば、スマホで動画の撮影も可能である。
そうなると、容疑者の怪しい行動が、収められてしまっていれば、十分に立件もできるということで、容疑者とすれば、
「それを警察に確認されてしまえば、アウトだ」
ということだ。
つまりは、被害者が、被害届を出して、警察が受理し、捜査されることになってしまえば、証拠になるものがあれば、後から逮捕されることだってあるだろう。
だが、実際にはそこまではない。
「後になって訴えるくらいであれば、その時に勇気を持つもので、勇気というのは、時間が経てば経つほど、次第になくなっていくものだ」
しかし、逆に、
「不安というものは、一度生まれてくると、今度は時間が経てば経つほど、どんどん深くなっていくもの」
ということえ、
「差が広がっていく」
といってもいいだろう。
だから、
「普通であれば、その間には、交わることのない平行線」
というものがつながっているといってもいい。
だから、痴漢が行われても、また同じ相手に同じことをしない限り、その二人は、
「一期一会」
ということになる。
ただ、痴漢というのは、因果なもので、その時大丈夫だったと感じた相手を、
「この女は大丈夫だ」
と感じることで、その女がまるで、
「自分の恋人」
のような錯覚を覚えることで、深みにはまってしまい、結局、
「墓穴を掘る」
ということになるというのも、
「あるある」
ではないだろうか?
それを考えると、
「世の中、うまくできている」
というべきか、
「どこかで、限界がくる」
ということになり、
「因果応報」
で逮捕されるということになるのだろう。
それこそ、
「人間の欲というのは、限りがない」
ということで、特に、
「一度成功し。味を占めてしまうと、最後まで行きつかないと気が済まない」
ということになるのだろう。
それが、この場合であれば、
「警察に逮捕される」
ということになるのだ。
しかし、今回は、
「警察に逮捕される前に、とんでもない連中に捕まってしまった」
ということだ。
沢村三郎は、
「痴漢をしただろう」
といって、一人の男に、
「誰にも見られないところ」
に呼び出されて、脅しを掛けられていた。
「このまま警察に突き出してもいいんだけどな」
という。
しかも、被害者と称する女の子が、この男の後ろで震えて泣いている。
彼女は、まだ幼く見えたのは、ビクビクしているからだろうか。
「どこか、大人っぽく見える」
と感じたのは、彼女が制服を着ていたからだ。
普通、制服を着ていると、
「あどけなさ」
というものを感じるのだが、彼女には、その元からの幼さのようなものが、制服を着ることで、逆に、
「大人の女」
を感じさせるのだった。
実際に、沢村は触っていない。
ただ。
「触りたいかどうか?」
と言われれば。
「触ってみたい」
という衝動がないわけではない。
それだけに、男に脅されると、自分の気持ちを見透かされているようで、明らかな否定ができないのであった。
実は、相手もそのあたりは分かっていて、
「こいつだったら」
ということで、
「脅迫するに値するターゲット」
ということで、最初から沢村は狙われていたといってもいいだろう。
男の顔が厭らしいまでに、歪んだ笑顔を表しているのを見ると、後ろで怯えて見える女の子も、
「どこか信じられない」
という思いに至った。
その思いが、
「見た目幼いが、制服を着ると大人に見える」
というのは、このアンバランスが、
「こいつ、プロに見える」
と感じたことで、急に、
「嵌められたのでは?」
と感じたのだ。
沢村は、今年32歳になるが、彼女もいない。
もっとも、
「彼女がほしい」
と強く思っているわけではない。
確かに、20代前半くらいに、一度、
「結婚したい」
と考えた時期があったが、その時期を通り越すと、
「もういいや」
と思うようになった。
沢村が、童貞をなくしたのは、20歳の時だった。自分では、
「だいぶ遅い」
と思っているが、まわりをよくわかっていないので、それが、遅いのか早いのか、自分でもよく分かっていなかった。
高校生の頃は、男子校だったので、本当であれば、
「男女共学に行きたい」
と思っていたが。自分の成績がそれを許さなかった。



