小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

三すくみの正体

INDEX|2ページ/14ページ|

次のページ前のページ
 

「退職金に色を付けるから、辞めたい人は申し出てくれ」
 というやり方である。
 普通であれば、
「しがみつく」
 ということも考えるのであろうが、考えてみれば、
「残るも地獄。辞めるも地獄」
 ということである。
 残ったとしても、社員を徹底的に減らされて、仕事は増える。
 残業してでも、やらないといけないという状況になるわけだが、残業手当が出るわけではない。
 しかも、時代の厳しさから、
「給料の三割カット」
 くらいは当たり前で、もちろん、
「賞与も出ない」
 ということから、
「バブル経済」
 という時期に、
「土地や家を購入し、これから、ローンを払っていかなければいけない」
 という人にとっては、たまったものではない。
 かといって、
「買った土地や家を売る」
 というのも難しい。
 まず、
「買い手が見つからない」
 という問題もあるし、なんといっても、バブル経済の時に、高価で買ったものが、
「バブル崩壊」
 によって、二束三文となってしまったのだ。
「ここでうれば、完全な赤字だ」
 ということであるが、それ以上に、
「売らなければ、生活ができない」
 ということになる人だっている。
 ただ、実際には、
「売れない」
 のだ。
「経済が混乱している」
 という状態で、
「土地や家を買う」
 などという人がいるわけもないので、不動産屋に売ろうとしても、不動産屋が買うわけもない。
 特に、
「バブル期に買った人が、一気に売ろう」
 というのだ。
「競争率」
 という意味でも売れるわけがないということだ。
 バブルの崩壊というのは、
「働き方」
 を大いに変えた。
 社員は、
「リストラ」
 という形で、どんどん切られる。
 そして、会社は、
「損失をできるだけ少なくするために、戦闘能力を限りなく切ってしまったので、仕事もままならない」
 ということで、
「支出も最小限に抑えられるが、収入も得られない」
 ということになる。
 そこで考えられたのが、
「アルバイトやパート」
 というものだ。
 各家庭でも、
「旦那の給料が半分近くになった」
 それならまだいいくらいで、
「旦那がリストラされた」
 ということになると、
「もう、旦那一人には任せておけない」
 ということで、奥さんが、
「共稼ぎ」
 ということになるのだ。
 しかし、当時は、奥さんが、
「家事の片手間で仕事をする」
 ということから、
「パートタイマー」
 ということで、仕事も限られていた。
「スーパーのレジ」
 であったり、
「近所の商店街での、惣菜屋での製造」
 などと言ったものであろうか。
 だが、会社としては、
「事務員」
 であったり、場合によっては、
「女性セールスマン」
 というものを求めるところも増えてきた。
 そうなると、
「女性の社会進出」
 というものが、実際に増えてくるようになり、
「夫婦共稼ぎが当たり前」
 という時代になってきたのだ。
 そうなると、今度は、
「夫婦間での、立場が微妙に変わってくる」
 ということもあり、
「旦那に食わせてもらっている」
 という状況が変わってきたこと。
 さらには、女性が表に出るということで、
「女性が今まで知らなかった世界を知ることになる」
 ということから、
「女性の不倫問題」
 というものも出てきたりするのだ。
 それまでは、
「男性が、会社で同僚と不倫」
 というのが、離婚問題では大きかったが、今度は、
「女性の不倫」
 という問題も出てくると、徐々に増えてきている、
「離婚問題」
 というのも、
「歯止めが利かなくなる」
 という時代になってきただろう。
 しかも、
「女性が働きに出る」
 ということになると、子供がいる場合、
「誰に預かってもらうか?」
 ということになるのだ。
「祖父、祖母に預かってもらえばいい」
 と、昭和の時代であれば、そういうこともあったかも知れないが、
「親との同居は嫌」
 ということで、別居が主流だったので、
「今さら、お願いできない」
 という考えもあり、そうなると、
「託児所」
 であったり、
「保育園」
 に預けるということしかなくなってくる。
 しかし、実際に、子供を預ける人が急激に増えると、保育園や託児所が間に合うわけはないのだ。
「待機児童」
 などという問題が大きな社会問題になると、
「これから結婚する」
 あるいは、
「子供を作ろう」
 と思っている人は、
「結婚するのをよそう」
 と考えたり、
「結婚しても、子供は作らない」
 という人が増えてくるのだ。
 それが、結局、今問題となっている、
「少子高齢化問題」
 ということになる。
 実際に、昭和末期、バリバリに働いていた人が、令和の今では、
「定年後の余生」
 ということになるわけで、しかし、それを支えるはずの
「平成世代」
 の、若者であったり、働き盛りの人が、
「結婚もしない」
 あるいは、
「子供を作らない」
 という世代だったと考えれば、
「老後で年金暮らしをいかに支えるか?」
 ということが問題なのだ。
 だから、
「今まで社会のために必死になって働いてきて。やっと年金で、老後を悠々自適に暮らしていける」
 というはずの人が、
「定年退職後、すぐに年金がもらえるわけでもなく、その間、なかなか職もない」
 という地獄の状態で、しかも、
「年金がもらえるようになっても、働いている時に比べて、半分近くの生活費しかない」
 ということで、
「死ぬまで働け、そして、税金を払え」
 と、政府が言っているのである。
「政府は、自分たちの甘い汁のために、国民を犠牲にしている」
 といってもいいだろう。

                 美人局

 そんな時代において、
「男女平等」
 というのが言われ始めたのも、当たり前で、
「元々、女性の権利」
 というのは、歴史上、
「永遠のテーマだった」
 といってもいいだろう。
「女性の参政権」
 であったり。
「社会進出」
 というものが、それであり、
「やっと、社会進出というものが、実になってきた」
 ということになるのだろう。
 もっとも、どうしても、
「形から入る」
 ということもあるようで、
「同じ仕事をするのでも、女性と男性で呼び場が違う」
 という職種で、
「名前を統一する」
 という、
「バカげたこと」
 が横行した。
 たとえば、
「スチュワーデス」
 であったり、
「看護婦」
 などという名前を言わなくなり、
「キャビンアテンダント」
 であったり、
「看護師」
 などということで、言い方を変えようというのだ。
「色気もくそもあったものではない」
 と思える。
 実際に、
「男女同権」
 というのは、女性からすれば、
「言いたい」
 というのも分からなくはないが、それによって引き起こされる問題を果たして理解できているのであろうか?
 確かに、女性が、女性という立場で、差別を受けるというのは、あまりいい傾向ではない。
 ただ、
「女性と男性とでは、生理学的に、明らかな違いがある」
 ということである。
 なんといっても、
「女性は、子供を産む身体だが、男性にはそれがない」
 ということだ。
作品名:三すくみの正体 作家名:森本晃次