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繰り返す世代

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「とんでもない企業になった」
 ということで、
「政府の政策は失敗だった」
 ということが、後になってからどんどん出てきたことで、
「その裏に潜まれた、民営化による、一部の政治家が、私利私欲に走った」
 という事実だけが残ったということである。
 結局。今も、
「赤字路線は廃止」
 ということで、
「整備新幹線」
 などの影響で、
「どれだけたくさんの路線が廃止になったか?」
 ということになるのであった。
 それこそ、そういう時代があったということは、学校の教科書で見たくらいで、
「三公社五現業」
 などという言葉があったというのも、
「勉強した」
 という記憶だけであった。
 勉強を好きでしたというわけではなかったが、この、
「三公社五現業」
 という言葉は、覚えていた。
 別に歴史が好きだったというわけではなかったが、語呂がよかったのか、印象に残る言葉だったのだ。
 そんなことを考えながら公園を歩いていると、どうにも、昨日の酒が残っているようで、しかも、朝から湿気が高いこと、さらには、日差しが強いことから、何やら、昨日の酒が回ってきたような気がして、吐き気が催してきた。
「こんなところで吐くわけにはいかない」
 ということで、どこかに、何かないかと思ったが、トイレの場所を知るわけでもなく、とりあえず、中州を通る少しだけ、森のようになったかのような雑木林に入ることにいした。
「吐きそうになれば、そこで吐けばいいし、吐くまでなくとも、気分を紛らすくらいできるだろう」
 と思ったのだ。
 人に見られていると変に意識してしまうが、隠れるようにして、もたれかかっているだけで、自然と酔いがさめくるといえるのではないだろうか?
 それを感じながら、ベンチがあったのでそこに腰を下ろしてみると、ベンチに背中を持たれ、仰向けになりそうなくらいの解放感に包まれてみると、その背中の骨と、ベンチの固い部分とが、まるではまり込んだようになり、そのまま背中からもたれる体制になったことから、思わずお尻が安定せず、前になだれ込むようになった。
 それを必死で押さえつけようと、腰を浮かそうとした時、今度は、まるでぎっくり腰のようになったのであった。
 すると、必死で押さえつけようという、無駄な力が働いたことで、今度は一気に体制を崩し、本当にベンチから、転がり落ちる形になった。
 そして、顔半分を芝生の上に押し付けることになり、芝生の針のようになった部分が顔に突き刺さり、激痛からか、さっきまでの酔いが、さめてくるのであった。
 一瞬、視界が取れなくなったのは、
「遠近感が取れない」
 という状態になったのであり、視力が一気に悪くなったかのように、焦点が合わないことから、逆に、
「何とか見えるようにしよう」
 と抗ったところ、焦点が合えば、そこに、何やら黒いものが転がっているように思えたのだ。
 その真っ黒いものが、
「髪の毛だ」
 と感じるまでに、結構な時間が掛かったように思えた。
 実際には、そこまで時間が掛かったわけではなかったが、見えてきたその髪の毛を見ると、
「男性が転がっている」
 と思い。相手も。こちらを向いていると感じたことから、妙な恐怖が感じられた。
 というのは、
「相手がこちらを睨みつけている」
 と感じたからだ。
「別に俺には、誰かににらまれる覚えはない」
 と思ったが、それだけに睨まれているということが、恐ろしく感じられたのだ。
「こんなことなら、ここに来るんじゃなかった」
 と感じただけではなく、
「こんなことなら、飲むんじゃなかった」
 と感じたほどだった。
 あまり酒に酔うことがないのは、
「自分の飲める量を把握していて、普段はそんなに無理して飲むことはない」
 と思っているからで、実際にまわりからも、
「あの人が無茶な飲み方などするわけはない」
 と思われていた。
 だから余計に、
「まわりの期待を裏切りたくない」
 などという思いから、
「変に自分にプレッシャーを抱えていた」
 ということであった。
 実際に、まわりの期待を裏切ったことのない人というのは、ちょっとしたことでも、敏感になるというもので、
「まるで子供のように、人の期待を、一身に背負ってしまうと、本当に素直になってしまう」
 というものっであった。
 それは、
「まるで子供のようであり、大人になっても、子供の頃の記憶や意識が残っていると、切っても切り離せないという感覚になるものだ」
 という。
「こちらを見ている男」
 のその顔に、
「断末魔の表情」
 というのが浮かんでいるということを、その時に男は感じた。
 だから、酔いは一気にさめたというもので、その形相の恐ろしさに、震えはもちろん、行きついたその視線を逸らすことができなかったのだ。
「完全に金縛りにあってしまったかのようだ」
 という思いが身体を突き抜け、しばらく、動くことができなかった。
 幸い、その時近くを通る人がいなかったので、落ち着くまでに時間は十分にあった。
 落ち着いてきたところで、後ろから来たカップルが。
「大丈夫ですか?」
 と、その男が転んでいるのを気にして声をかけた。
 まさか、
「目の前に、恐ろしいものが転がっている」
 などということを知る由もない状態にである。
 素直に心配して声を掛けてくれたのは、男性の方だった。
 女性の方は、まわりを気にしてしまったらしく、運悪く、ちょうどそこに転がっている男の死体を発見した。
「キャー」
 という声が響き。まわりから人が集まってくる。
 とりあえず、パニック状態の中、警察と、消防に連絡が入り、
「状況はハッキリとしないまま、警察に通報されたのだ」
 通報には、
「男が倒れている」
 ということと、場所だけが報告された。
 だから、刑事も、
「一体何が起こったんだ?」
 とばかりにやってきたが、ジョギングしている人の中に、お医者さんがいたようで、
「被害者は絶命している」
 ということだけは分かった。
 しかし。
「殺されているのであれば。なおさらに、現状保存が大切」
 ということで、
「誰も触ってはいけません」
 ということで、
「現状維持は、しっかりの守られた」
 というわけであった。
「殺人事件」
 なのか、
「事故なのか?」
 ということは警察が来るまでハッキリとはしなかった。
 生死を判断した医者だけは、
「殺人だ」
 ということが分かっていたようだ。
 彼は後ろに回り込み、そこで、被害者の背中の部分に、ナイフが刺さっていることに気づいたのだ。
 それは、彼にも想像がついていたことであり、
「仰向けに倒れたわりには、腰と首の間の身体がねじれている」
 という、不自然さに気が付いたのだ。
 そこで、後ろに少し回り込むと、そこには、
「朝日で光っているナイフが確認できたからだ」
 他の人は、医者から、
「あまり見ない方がいい」
 と言われたのと、その場の雰囲気の恐怖から、
「後ろに回り込む」
 などということができるわけもなかったのであった。
 実際に、その場の光景は、
「医者とすれば、慣れていたが、実際には、異臭が漂っていた」
 といえる。
作品名:繰り返す世代 作家名:森本晃次