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昭和からの因果応報

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「どんどん年金受給は引き上げられ、今では、年金制度の崩壊」
 とまで言われ、
「年金どころか、社会福祉すべてにおいて、当初の計画が崩壊しているにも関わらず、元々社会福祉のためということで導入した消費税は、上がる一方」
 なんといっても、
「国民の負担は、どんどん増すばかりだ」
 ということになるのである。
 もちろん、政府だけが悪いというわけではないが、政府のやり方を見ていると、完全に、
「弱い者を虐げているようにしか見えない」
 といってもいいだろう。
 そもそも、血税を、まるで自分の金とでもいうように、自分の人気取りのために、まったく関係のない国に、ポンと寄付するのだ。
 日本という国が完全に豊かな国で、国民の誰一人として困窮している人がいないということであれば、それもありなのかも知れない。
 しかし、世の中というのは、
「明日はどうなっているか分からない」
 と考えれば、それなりの国庫は必要であろう。
 なんといっても、
「災害はいつ起こるか分からない」
 というわけで、
「災害が起こってしまえば、どれほどの金が必要か?」
 ということになる。
「しょせん政治家は、自分たちのことだけしか考えていない」
 と言われても、仕方のないことであろう。
 ちょうど、今から10年くらい前にも、起こった災害の復旧がなかなか進まず、大変だった時期である。
 それを思えば、
「いろいろ大変な時期だった」
 といってもいいだろう。
 殺人があったのは、そんな時代の、アパートの一室だった。
 あたりはマンションが立ち並び、古いアパートと、完全に老朽化した一軒家とが、同居しているような地域で、住宅地としては、かなりさびれているところで、住民の平均年齢も高かった。
 立ち退きを余儀なくされた人も多かったが、それでも残った人は結構いた。
 実際にそれまでに、区画整理ということで何度も立ち退き抗争が行われたが、昭和の時代のような、露骨なこともできるはずもなく、自治体としても、困っていたところであった。
 ここに住んでいた老人が被害者だったのだが、死体が発見されたのは、
「死後5日が経っている時」
 ということであった。
 役所の人が、
「一人暮らしの老人」
 ということで、安否確認をした時、
「連絡が取れない」
 ということで行ってみると、殺害されていたというわけである。
 老人といっても、まだ70歳になったくらいのところであったが、仕事もなく、年金で暮らしていた。
 身寄りとしては、息子夫婦と孫たちは、別の地域で暮らしているので、簡単に様子を見に来るということもできなかった。
 だから、役所から定期的に安否確認ということで、連絡が入るようになっていたのであった。
 入り口が開いていたことから、役所の保安委員の人も、
「おや?」
 と思いながら、
「刑部さん」
 と、目的の人物の名前を恐る恐る呼びながら部屋に入っていった。
 通路を抜けて、リビングに入ると、そこから、部屋全体が見渡せるところまでくると、隣の寝室で、万年床になっているところで、男性が横になっているのが見えた。
 すぐに、
「微動だにしていない」
 ということを感じたのだが、その瞬間、一気にしてきた異臭から、さらに、
「死んでいるのでは?」
 という思いが強くなった。
「まるで死んでいるのが最初から分かっていたかのようだ」
 とも感じたが、一つ不思議だったのは、
「異臭は最初からしていたはずなのに、どうして、死体を見るまで分からなかったのだろう?」
 と感じたことだった。
 横になっている男の顔は、俯せになっていて、左頬を枕に置いて、まるで、その枕に抱き着くかのような姿は、
「苦しんだ末のことではないか?」
 と思えた。
 とにかく警察を呼ぶしかなく、携帯電話ですぐに連絡を入れた。
 待っている間の時間というのが、
「これほど長いものだとは、思ってもいなかった」
 といってもいいだろう。
 見てすぐに分かったが、その死体は殺害されたものだった。
 布団の上には、真っ赤な鮮血が浮かんでいて、少し黒ずんでいることから、
「死後、かなり経っているに違いない」
 ということは分かった。
「それにしても、刺殺ということであれば、悲鳴なども出したであろうに、誰も異変に気付かなかったのであろうか?」
 と感じた。
 ここは、マンションやコーポなどと違って、そんなに防音が行き届いているわけではない。少々の物音であれば、すぐに隣の人が気づいたとしても当たり前のことであり、もっと早く発見されて当然といえるだろう。
 警察がいうには、
「死後5日ほど」
 ということと、
「死因は刺殺で、包丁での殺害」
 ということであった。
 凶器であるナイフは胸に刺さったままで、もし、それが抜き取られていたとすれば、
「被害者は、本当に血の海に沈んでいた」
 といってもよかったように思えたのだ。
 保安員の人は、
「第一発見者」
 ということでいろいろと聞かれたが、彼とすれば、
「業務として、安否確認に来ただけで、実際に何も知っているわけではなかった」
 ということである。
 実際に、事務的な質疑によって知りえた情報は、データベースに入っていて、検索すれば出てくるものであった。
 家族にはさっそく連絡が入れられたので、さっそく家族がやってきて、葬儀であったり、あわただしい日々であったようだ。
 なんといっても、普段は、
「まるでゴーストタウン」
 といってもいいあたりだったので、安否確認というのは、他の住民にも行われていることであった。
 そういう意味では、
「このアパートの近所づきあいというのは、ほぼなかったようですが、我々保安員を通す形で、間接的なつながりがあったといってもいいかも知れないですね」
 と保安員は、いうのであった。
 しかし、明らかに刺殺ということであれば、
「誰か犯人がいて、そこには、動機があるはずだ」
 ということであった。
 それが、怨恨なのか、金銭的なトラブルなのか、それとも、
「何かの事件にまきこまれた」
 ということになるのか、初動捜査で分かることではないようだった。
 その場での鑑識の捜査によると、
「俯せで死んでいて、背中に凶器が刺さっていることから、後ろからの不意打ちですね」
 ということは、明らかなようだった。
「まさか、自分が刺されるということを分かっていなかったんでしょうね。振り向いた後はありませんでしたからね。そして、凶器は急所をとらえていることから、即死だったと思います。きっと後ろを振り返ることもできなかったんでしょうね」
 というのであった。
 それを聞いた刑事とすれば、
「なるほど、それだったら、誰も気づかなかったというのは分かる気がします。即死であれば、刺された瞬間声を出す暇もなく、絶命したということになるんでしょうね。そう考えると、納得がいきます」
 という。
「被害者が死んでしまっているので、ハッキリと断言はできませんが、物取りということではないでしょうね。部屋を荒らされた形跡はないですからね」
 とも言った。
 さらに、
作品名:昭和からの因果応報 作家名:森本晃次