小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

表裏のスパイラル

INDEX|8ページ/15ページ|

次のページ前のページ
 

「一生懸命に働いて貯めたお金」
 ということなのだから、その人のお金ということだ。
 それを、どう使おうが、通常時であれば、誰もとやかくは言わないし、使いみちに対して、
「他の人が、とやかくいう筋合いはない」
 ということくらい、当たり前のことである。
 だが、どうしても、
「時代劇」
 であったり、
「刑事ドラマ」
 などのような、
「勧善懲悪系のドラマ」
 などでは、お金というものを武器に交渉しようとするのは、どうしても、汚く見えてくるというのは、
「勧善懲悪」
 という考えであったり、日本人の特徴とも言われる、
「判官びいき」
 というものから、
「お金を使った交渉」
 というものは、どうしても、
「悪だ」
 と決めつけてしまうところがあったりする。
 特に時代劇などでは、
「悪代官」
 であったり、
「悪徳商人」
 というものが結託して、城代を追い落とし、自分が、出世するために、その土地の物産の横流しなどを行い、私腹を肥やすという、
「代官と、商人による悪の取引」
 というものに、
「山吹色の菓子箱」
 というものが付き物だということになるだろう。
 だから、現代であっても、犯罪に、
「営利誘拐」
 というのは昔から存在していて、むしろ、今よりも昔の方が、結構多かったような気がする。
 一つには、
「科学の発展により、科学捜査などの発達から、犯罪を行うには、頭を使って、警察をだます」
 というくらいの発想でなければ、難しいということになる。
 特に、
「営利誘拐」
 というものは、昔から、
「リスクを伴う」
 ということで、
「成功はしにくい犯罪だ」
 と言われてきた。
「実際に、犯罪を犯す」
 ということになると、昔であれば、今と違い、
「防犯カメラがそんなにあちこちにあるわけではない」
 ということから、
「誘拐をする」
 ということに関しては難しくなかったのかも知れない。
 よくあるのは、
「家族がケガをした」
 といって、病院からの電話を装って、呼び出しておいて、
「途中で、拉致する」
 というやり方である。
 もちろん、表で拉致をするのであれば、
「誰かに見られる」
 というリスクもあるだけで、もし見られたとしても、
「顔が分からないように、覆面をする」
 というのは、
「基礎の基礎」
 といってもいいだろう。
 誘拐しておいて、
「脅迫電話」
 あるいは、
「脅迫状」
 というものをよこすことになる。
 これが脅迫状ということであれば、その内容としては、
「筆跡から足がつかない」
 ということのために、よく使われていたのは、
「新聞や雑誌の切り抜き文字を、便箋に張り付ける」
 というやり方である。
 そして、基本的には、
「郵送を使わずに、直接誘拐する相手の家のポストに投函する」
 というやり方であろう。
 ただ、これも、誘拐する相手が、
「身代金を出せない」
 という相手であれば、郵便受けに直接投函するというのも難しいかも知れない。
 なぜなら、
「そういう金持ちであれば、家の門のところに防犯カメラくらいはつけていて当たり前だ」
 といってもいいだろう。
 そうなると、やり方としては乱暴であるが、やり方としては乱暴であるが、例えば、
「郵便配達員にわざとぶつかり、郵便物がこぼれたところに、強引にぶち当たり、その中に、脅迫状の入った手紙を紛れ込ませる」
 というやり方である。
 しかし、これは、実質的にできるのかどうか、難しいところである。
 郵便配達員は、バイクの前にカバンをつけているか、あるいは、後部の荷物置きに、金属製のものをくっつけておくということで、もちろん、蓋をしているに違いない。
 だから、ちょっと何かに接触して倒れたとしても、そこから郵便物が飛び出すということはなかなかありえないことだろう。
 というのが一つ。
 そしてもう一つ、
「配達の際には、配達順に、同じ配達先の郵便物は、あらかじめ、ひもで括り付けておく」
 というのが当たり前で、しかも、そんな金持ちのところに、郵便物が一つだけということも普通では考えられないということから、
「この計画は雑でしかない」
 といえるだろう。
 そう考えると、
「脅迫状を送り付ける」
 というだけでも、難しいといえるのではないだろうか?
 それに脅迫状を送り付けるということに、何のメリットがあるというのだろうか?
 誘拐した後であれば、
「誘拐した事実と、身代金の要求」
 ということで、電話をすればいいわけだ。
 昭和のテレビドラマなどで、
「営利誘拐」
 ということになれば、基本的には、
「脅迫電話」
 というのが当たり前である。
「郵便で行う脅迫」
 というのは、
「身代金目的の営利誘拐」
 というよりも、
「相手に怨恨があっての誘拐」
 であったり、
「本人に対しての、殺人予告」
 などというのが、一般的だといってもいいだろう。
 そういう意味で、脅迫状を、
「身代金目的の営利誘拐に使う」
 というのは、普通に考えると、
「ありえないことだ」
 といえるのではないだろうか。
 というのも、
「最初から、誘拐を匂わせておけば、そもそも、相手を警戒させるだけ」
 ということになるだろう。
 もし、そんな脅迫状を送り付けるのだとすれば、
「被害者に誘拐だけを暗示させておいて、実際には、他の方法で、被害者を苦しめる」
 というために行うとしか思えないだろう。
 ということになると、実際に、
「身代金目的」
 というのは、犯人のフェイクということであり、本来の目的は、
「怨恨による復讐」
 ということになるのではないだろうか?
 もし、このような方法で、犯罪を行うとすれば、
「犯人が、身代金目的なのか、怨恨なのか?」
 ということを分からなくするということでの、犯人側のカモフラージュとすれば考えられることであろう。
 ただ、一つ言えることは、
「被害者側には、警察にも言えない秘密がある」
 ということである。
「金持ちというのは、どこか、叩けば埃が出る連中ばかりだ」
 というのは、偏見かも知れないが、少なくとも、
「怨恨による復讐が動機だ」
 ということになれば、
「それだけの恨みを買う人物だ」
 ということになるだろう。
 それを考えると、
「怨恨による復讐」
 というものは、かなり前から計画していて、
「捕まりたくない」
 という思いよりも、
「確実に復讐を完成させる」
 ということに特化した犯罪計画を練るということになるだろう。
 逆に、
「身代金要求」
 ということであれば、へたをすれば、被害者に対して、何ら恨みもない可能性が高く、あくまでも、
「金持ちだから」
 ということで、選ばれた可能性も否定できない。
 ただ、
「どうして、そこまでして犯罪を犯さなければいけないのか?」
 ということであるが、犯人側には、切羽詰まった理由があるということになるだろう。
 一番の可能性とすれば、
「借金をしていて、借金取りに死にたくなるほどの取り立てに追われている」
 ということで、
「すぐにでも、金を作らないと、死を覚悟しないといけない」
 ということになるだろう。
 そのために、
作品名:表裏のスパイラル 作家名:森本晃次