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夕凪の時間

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 といえるが、
 そこに、
「検証というものが行われ、マニュアル化もされ、正しい道を歩ませてくれるのであれば、それを悪だとは言っても、必要なものだ」
 という解釈になる。
 検証をしていないと、
「悪であり、必要でもない」
 ということになり、
「そんなものを押し通す」
 ということは、当然のことながら許されることではない。
 今の日本は、
「それを許す」
 という状況になっていて、
「何が必要悪で、何が不必要善なのか?」
 ということが分からない時代になったのだろう。
 それは、
「政府の方針が定まらない」
 ということが強いといってもいいだろう。
 実際に日本は、
「ソーリを決める」
 ということに、
「国民投票」
 をしない。
 国会議員を決める選挙での、
「数」
 によって、政党が決まり、
「その与党の党首がソーリになる」
 ということになっているのだ。
 その党首だって、
「国民が決めるわけではなく、その政党内で決めている」
 というだけだ。
 もっといえば、
「選挙で勝てる人」
 ということで、総裁を決める。
 つまり、誰もが、
「選挙で自分が当選する」
 というだけのことしか考えていないということだ。
 だから、
「この総裁では、選挙には勝てない」
 と言われると、
「自分は、当落ギリギリ」
 ということであれば、
「議員数で決まる」
 となると、
「与党になろうがどうしようが、とにかく、当選議員が少ないと、自分が繰り上がれないが、多いと、比例代表で、国会議員になれる」
 ということになれば、彼らも必死だ。
 だから、
「選挙で勝てなければ、立候補もできない」
 ということになる。
「立候補するだけで金がかかる」
 ということで、すなわち、
「すべてにおいて、選挙は金だ」
 といってもいいだろう。
 それを思えば、
「世の中は、時間の動きによって決まっているのだが、少しでも、間違った方向に行ってしまうと、今の時代だけではなく、未来に関しても、大変なことになる」
 ということになるだろう。
 だが、
「人間には寿命というものがある」
 ということで、
「死んでしまえば、そこから先は知らない」
 と思う人も結構いるだろう。
「未来の子供たちのために」
 というのは、確かにそうだろうが、
「それ以前に、今の自分たちが生き残れるかどうかが問題だ」
 ということである。
「少子高齢化」
 ということから、
「子供をたくさん作らないといけない」
 とは言われるが、
「目の前の生活ができない」
 ということで、
「今の自分が生活できないのに、未来の子供のことなど、誰が考えられるか?」
 というのも、
「当然といえば、当然」
 ということになるだろう。
 それを思えば、本当であれば、
「最初から問題を分かっていたくせに、何も対応も対策もできていないこの状態から考えると、
「意外と、余計なことはしない方がいいのかも知れないな」
 とも思えてくるのであった。
 この店において、一人の老人がいるのだが、その老人は、
「昭和の時代が懐かしい」
 といい、時々、そんな老人に食って掛かるという女の子がいるのだが、そんな老人の話にいちいち、食って掛かっていて、
「お互いにマウントを取っているかのようだ」
 といってもいいだろう。

                 正論の中の冤罪府

 特に、新幹線の話には、彼女は怒りを燃やしていたようだ。
「私の田舎は、新幹線が通ったおかげで、第三セクターにされてしまって、せっかく良質の温泉が出るということで、そこで温泉旅館を営んでいたお父さんは、店を大改修して、これからという時に、新幹線のせいで、温泉街に人が来なくなったことで、私たちは、宿を手放して、結局、その土地を追われることになったのよ」
 といって、怒りをぶちまけていた。
 そのあたりの事情は、店主にも、オーナーにも分かっているし、
「同じように店をやっていて、苦闘というものをまったく知らないわけではない」
 ということで、彼女の話を理解できないわけでもない。
 そんな時に老人がいうには、
「そんなことは最初から分かっていたことではないのか?」
 と言ったことで、二人は険悪なムードになってしまった。
 女の子も、老人も、それぞれ常連であり、店に来るようになった時期も、
「常連としてまわりから認識されるようになった時期」
 というのも、そんなに変わりがないということで、
「普段から、「意識しあっていた」
 といってもいいかも知れない。
「オーナーを結構やってきていると。それくらいのことは、よくわかっている」
 といってもいいだろう。
「店をやっていると、どうしても、マウントを取りたがる人というのは、若干数いるものだ」
 ということである。
 昔であれば、
「老人にそういう人が多かった」
 といえるだろう。
 店の中でというよりも、
「最終電車が近くなってきた時間帯に、酒を煽った労働者風の男性が、女の子に絡んでいる」
 という光景である。
 特に、よく聞いた話として、
「地元に、熱狂的なファンを持つプロ野球球団があり、その試合が終わってから少しした採集に近い電車の中で、一升瓶を片手に、まるで、土方のような人が少ない乗客の中で、完全に仕切っているという状況である」
 その中で、その男が必至になって、OL風の女の子がいれば、そこに絡んでいって、いろいろな話をするのだ」
 しかも、その話は、意外と政治の話であったり、経済の話であったりと、信じられないような難しい話をしているのだ。
 要するに、
「時間を持て余している」
 ということからか、
「新聞はよく読んでいるので、そういう知識は持っている」
 ということだ。
 ただ、その知識も、
「いつでも、マウントが取れるように」
 ということで、
「最初から考えていた」
 ということなのかも知れない。
 時代は、昭和の頃であり、昔のプロ野球というと、今のように、
「女子供が多く観戦に行く」
 という時代ではなく、
「サラリーマンや酔っ払いが、ヤジを叫びに行く」
 というような時代であれば、
「酔っ払いが電車の中で管を撒く」
 ということくらいは当たり前だ」
 といってもいいだろう。
 その女の子は、そんな昭和の時代というものを知るわけもないのに、その老人と話をしている時、いつも、
「電車の中で一升瓶を抱えている土方のおじさん」
 というイメージを抱いていたのだ。
 昔の昭和時代の映画などを見てみると、そのような人を見かけることもできるだろうが、彼女は、
「いちいち、そんな昭和時代の映画なんか、見たりはしない」
 ということであった。
 ただ、
「親から、そういうおじさんが昔はたくさんいた」
 という話を聞かされていたので、
「このおじさんを見た時、親から帰化されたイメージが頭に浮かんできたんです」
 ということで、実は、彼女が嫌がっているわけでもなく、言い争いをしているといっても、
「真剣に喧嘩をしている」
 というわけでもないのだった。
「おじさんを見ていると、悪い人には見えない」
 というのだった。
「むしろ、かわいそうって思えちゃうのよね」
 という。
作品名:夕凪の時間 作家名:森本晃次