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完全犯罪の定義

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「まさか、妹を見る目と、まわりの女の子とを見る目とで違っているからだ」
 とは思わなかったのだ。
 逆に言えば、
「違っていて当然」
 ということである。
 違っているからこそ、
「妹に対して、よこしまな気持ちを持つことはない」
 といえるのであって、
「そのよこしまな気持ちを抑えることが、兄としては当たり前のこと」
 ということであり、
「使命なのだ」
 といえるのではないだろうか。
 子供の頃から、
「妹のことをどう感じればいいのか?」
 とは、少しは感じていた。
「もちろん、女として見ていたわけではないので、妖艶に見えるわけもない」
 のであるが、
「大人っぽい」
 という気持ちは、
「他の子に比べて感じていたのは間違いない」
 ということだった。
 しかも、
「まわりの誰よりも、妹のことを、大人っぽい」
 と思っているということであった。
「妹よりも年上の男の人が、妹のことを大人っぽいと思うことはないだろう」
 と勝手に思っていた。
 しかし。それは、
「自分が、兄だから感じる特別な思いだ」
 ということの裏返しであり、そのことが、
「肉親」
 というものの特別なつながりというものではないか?
 と思うようになったのだった。
「思春期というものから、女の子を女性と感じるようになり、女性の身体などに興味を持つものなのだ」
 と思っていたが、実際に、妹を見ていて、その妹に、無意識のうちに、
「オンナを感じていた」
 という時期があったと思っていた。
 それが、思春期よりももっと前で、
「女の子を意識するよりも、ずっと前のことだった」
 ということになるのだろう。
「妹を女と意識していない」 
 と思っていたので、妹に対して感じた
「オンナ」
 というものを、
「無意識だ」
 と思ったのであり、
「オンナを感じたことがない」
 ということなだけに、
「俺の初恋は、妹だったのだ」
 といってもいいだろう。
 もちろん、本人は、そこまでの意識はない。ただ、
「思春期に初恋というものがある」
 とまわりから言われていたので、
「妹に対しての気持ちは初恋ではない」
 という思いがあったので、却ってそれが、
「救いだった」
 といえるだろう。
 これを、
「幸運だった」
 と言わずに、
「救いだった」
 というのかというと、
「実際に幸運ではなかった」
 ということだからだろう。
 というのは、
「確かに、妹への初恋だった」
 と思える時期には、
「淡い思い出」
 として残っていたのだが、実際に、思春期に入ると、その思い出というのが、
「足かせ」
 のようになって、せっかくの思春期が、
「本当の思春期だったのかどうか?」
 と考えさせられてしまうのであった。
 もっといえば、
「思春期というものを思い出として考えるのが、大人になってから」
 ということであれば、
「思春期の頃に、思い出として浮かんでくるのが、妹に対しての気持ちだった」
 といってもいいだろう、
 つまりは、
「妹への初恋」
 というのは、自分にとっての、
「最初の思春期」
 というのであったのではないか?
 と思えた。
 つまり、
「思春期というのは二回あり、最初が、初恋だけのための思春期で、一般的に思春期と呼ばれるものが、二度目の思春期だ」
 ということである。
 だから、逆に、
「二度目の思春期の時が、本当の初恋の時期だった」
 ということになれば、この人にとって思春期は、
「一度しかなかった」
 ということになるだろう。
 皆、
「思春期は一度しかない」
 と思っているからこそ、
「初恋」
 というものへの意識が薄いのではないだろうか?
 その理由として一つは、
「初恋は成就しない」
 ということで、たいていはm
「思い出したくもない」
 と思えるほどなのかも知れない。
 だからこそ、
「淡い思い出」
 ということで、
「思い出したくもないこと」
 というものを、打ち消そうと考えるのだろう。
 それを思えば、
「思春期よりも前の記憶というのは、ほとんど覚えていないことが多い」
 といえる。
 それは、
「思い出したくもないほどの辛い思い出だった」
 ということで、無意識のうちに忘れさせようと思うからなのかも知れない。
 しかも、
「物心がつく」
 という言葉があるが、
「生まれてからしばらくの記憶というのはない」
 ということである。
 それは、
「生まれてからすぐの記憶というのが、思い出したくもないというものだからではないだろうか?」
 と考えると、
「辻褄が合う」
 といってもいいのではないだろうか?
 確かに、生まれてからの記憶というのは、まったくない。
 しかし、他の子供を見ていると、
「生まれてからすぐというと、親の愛情に包まれて、何も考える必要もない」
 ということで、
「記憶がなくても、それは当たり前のことだ」
 と思えて不思議のないことではないだろうか?
 だから、子供の頃から、
「記憶がない」
 ということに対して、他の人に比べて意識をしていると感じていたのだ、
 それは、妹のさくらに対しての思いが一番強い。
 それを確信として感じたのは、思春期の終わり頃で、
「俺の好みは、妹なんだ」
 と感じたからだ。
 それまで、思春期は感じていたが、
「彼女がほしい」
 と感じるようになるまでには、少し時間が掛かった。
 それは、
「なぜか?」
 ということになるのだが、その理由としては、
「彼女が欲しい」
 というのは、他の人がどう感じているかは別にして、
「好きな人と一緒にいたい」
 ということではなく、もっと、
「外見的な意味での感覚」
 ということであった。
 というのは、
「友だちを目撃した」
 ということから感じたことであるが、それが、
「女の子と一緒にいて、その表情が幸せそうだった」
 ということであった、
 しかも、その女の子というのが、
「妹によく似た女の子だった」
 ということで、その子の顔がおづしても印象的に残ったからだった。
「さくらも、俺と一緒だったら、あんな顔してくれるだろうか?」
 と思った。
 その時に感じたのは、
「ああ、彼女だからあんな顔になるんだろうな」
 と思うと、
「兄弟である自分たちには、永遠にありえないことなんだろうな」
 と感じることで、
「兄弟であることを初めて恨みたくなった」
 といってもいいだろう。
 だから、
「妹に対しては、恋愛感情を抱いてはいけない」
 と、逆に感じたのである。
 そして、
「彼女」
 というものは、
「一緒にいたい」
 という感情ではなく、
「一緒にいることをまわりにうらやましいと思わせたい」
 ということが、一番の問題だと感じるようになったのだった。
 しかし、
「初恋」
 というものは、
「自分が好きになった人の基本だ」
 ということで、
 まるで、
「初めて見たものを親と思う」
 という、
「ツバメのようではないか?」
 と思えるようなものだと感じるのであった。
 そんなことを考えていると、
「初恋」
 というものを、
「どのように感じる?」
 ということで、
「幼少期の思い出が辛いものだったのかどうか?」
作品名:完全犯罪の定義 作家名:森本晃次