本当の天才
「男に責任を押し付けて、自分は被害者だ」
といって逃げることが可能だからである。
捕まってしまえば、女としては、これ幸いである。自分が辱めを受けたということで、責任をすべて男に押し付ければいいというわけだ。
そもそも、そんな闇サイトがあったとしても、それぞれ、それを見ての、
「暗黙の了解があった」
ということを男の側に証明することはできない。
「成功すれば、女としては、ちょっとした遊びで興奮を得ることができるし、失敗しても、男にすべての責任を押し付けてしまえば、こっちは、痛くもかゆくもない」
ということだ。
逆に、
「悲劇のヒロイン」
ということで、別の意味での興奮を得ることができるかも知れない。
それを思えば、主催者側も、
「あとは勝手に約束した二人の問題」
ということになるだろう。
もっとも、女の方が、絶対に警察に、そんなサイトの存在を明かすわけがない。
だからこそ、
「闇サイト」
というのは、運営できているのであろう。
そんな、
「依存症」
の連中を煽るような、
「闇サイト」
というのもあるので、男は気を付けなければいけないということであった。
しかし、
「プロの痴漢というような男がいれば、今度は、女がそんな男に嵌る」
ということもあるだろう。
実際に、電車の中で遭遇し、
「今までにないだけの興奮を得られる」
ということになると、
「女は、その男に惚れてしまう」
ということだってある。
つまりは、
「ミイラ取りがミイラになった」
といってもいいだろう。
男は、そうやって、女を自分のものにして、女から金を引き出すということをしているやつもいることだろう。
確かに、
「女とすれば、リスクをすべて男に押し付ける」
ということで、
「安心してゲームを楽しめる」
と思ったのかも知れないが、男の方にも上手がいて、
「こういう性的興奮に興味があるわけではなく、興奮を楽しみたいと思っている女を手玉にとってしまう」
というやり方である。
「どうせ女は、興奮がほしい」
と思っているのだから、男の指技がすごければ、完全に嵌ってしまうことだろう。
なぜなら、
「いざとなれば、男にかぶせて逃げればいい」
と思っているからで、ただ、脳でものを考えることができないほどの快楽を味わってしまうと、最初の計画の中にある、
「いざという時のため」
という感覚はどこかに飛んでしまうのであった。
なぜなら、
「それを補って余りあるだけの快感をえてしまった」
ということで、
「彼が私を裏切ったりするわけがない」
と、脳に植え付けられ、それこそ、
「洗脳されてしまう」
ということになるのだ。
それを考えると、
「まるで、ホストのテクニックだ」
ということになるのだ。
もちろん、坂田にそんなテクニックがあるわけでもないし、そんなプロ集団を知っているわけでもない。
どちらかというと、
「変な女に引っかかって、へたを踏む」
というような、
「どこにでもいる、素人の痴漢」
でしかなかったのだ。
今までに、結構繰り返してきたが、なんとか警察に捕まることはなかった。
「危ない」
ということもあったが、だからといって、捕まることはなかったのだ。
最近では気になっている女が出てきて、
「さすがに毎日だと危ない」
ということで、一週間に二度くらい、毎朝同じ電車で通うことにした。
その女は、いつも同じ時間の同じ車両に乗るのだった。
彼女がのる駅は、自分が乗る駅と同じなので、時間を見て、なるべく近くから乗車するようになったのだ、
最近では、他の女に触手を伸ばすということはしなくなり、その女にターゲットを絞っていた。
相手は、もちろん、痴漢されていることは分かっていたことだろう。
だが、何も文句をいうこともない。恥ずかし気に、少し体をくねらせるくらいであるが、それが、坂田の男心をくすぐるのであった。
痴漢願望
その女を初めて知ったのは、約二か月まえくらいからであった。
それまでは、
「満員電車の苦痛を、女性の身体に触れる」
というだけのことで、心地よさを感じるくらいであった。
自分から女性の身体を触るということもなかったのだが、それが狂ってしまったのは、いわゆる、
「痴女」
というものに出会ったからだ。
その女は、わざと、身体を寄せてきた。
最初は、
「何か言われるといやだ」
と思ったので、なるべく、身体を離そうとするのだが、そうすれば、何しろ満員電車の中なので、反対側の人を追い詰める形になる、
そうなると、もし相手が女性であれば、
「触ってもいないのに、痴漢呼ばわりされるなど、たまったものではない」
と思うのだが、
「身体をくねらせる方は、向こうがしているのだから」
ということで、
「必要以上に何もしないのであった」
しかし、相手の女が、こっちを見ているのを感じると、こちらも、何か嫌な気はしなかった。
「誘惑されている」
と思ったが、その表情に、どうすることもできなくなった。
それこそ、
「金縛りにあっている」
という感覚があったが、それでも、触ろうなどという意識はなかったのだ。
そんな風にしていると、女が、股間をまさぐってくる。
坂田はドキッとしたが、その吸い込まれそうな笑みに、身体が硬直してしまい、それが、
「恐怖からなのか、興奮からなのか?」
自分でもわからなくなっていた。
「感覚がマヒしてきた」
といってもいいのだろうが、マヒした感覚というのは、
「ここまで、男を大胆な気分にさせるんだ」
ということで、感覚のマヒが、自分の感覚の無限を感じさせ、
「ドキドキした快感が、どのような感覚にいざなうのか、正直、その時は分からなかったのだ」
もちろん、
「今日だけのことなんだろうな」
ということで、
「まるで夢を見ているようだ」
と思っていたが、翌日になると、またその女が、自分の近くによってきた。
それによって、
「ああ、俺を気に入ったのかな?」
と思うようになり、次第にその女に身体を任せるようになってくると、女の指は、まるで、自分の意思が乗り移ったかのように、想像通りの動きをしてくれた。
「この女、魔女ではないのか?」
と思うようになると、今度は自分も触ってみたくなり、結局、
「お互いに触りっこ」
をするようになった。
それこそ、
「電車の中での変態プレイ」
ということであるが、二人はお互いにどこの誰か分からないままの快感だった。
もっとも、
「女の方は、俺のことを分かっているのかも知れないな」
と思い、少し冷静になると、
「このまま続けていていいのか?」
と、若干不安になってきたのだった、
だが、そう思うと、それを見透かしたかのように、彼女は二度と自分の前に姿を現すことはなくなってしまったが、その後遺症というか、依存症が残ってしまったことで、
「素人だが、いつの間にか、痴漢の技を覚えていた」
ということになったのだ。
女性を触っていても、
「これは、そろそろ危ない」
とばかりに気づくようになり、
「次第に、離れていくようになった」