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本当の天才

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 そうすると、こちらには、負い目があるだけに、完全にビビッてしまって、もういうことを聞くしかないということになるだろう。
 そこで、相手は、またしても、粘着的な口の利き方になり、こちらは、完全に、
「ヘビににらまれたカエル」
 ということになるのだ。
 そうなってしまうと、あとは言いなり。立場は、
「痴漢とそれを目撃した、善意の第三者」
 というわけではなく、
「脅迫者と、脅迫される側」
 ということになるのだ。
 となると、冷静に考えれば、
「男と女はグルだった」
 ということになるのだろうが、パニくってしまっている男は、そこまで頭がまわらない。
「そういえば、あの女、こっちを誘うかのような態度に、感覚がマヒしてしまい、思わず触ってしまった」
 というのが、男の本音であろう。
 しかし、
「下心がなかったわけでもない」
 ということであるし、
「実際に触ってしまったのは間違いない」
 ということから、相手に逆らえない。
 相手の言う通り、
「会社も家庭もあるので、いうことを聞かないと、何もかも棒に振ってしまう」
 というのは、間違いないことであろう。
 それを考えると、
「とても、逆らうことはできない」
 といえるだろう。
「本当は、最初から覚悟を決めるくらいであれば、ここまではならなかったはずなのに」
 ということにならないとも限らない。
 結局、脅迫者というのは、
「味を占めるもので、一度で終わるわけはない」
 ということだ。
「このままいけば、一生吸い取られることになる」
 といってもいいだろう。
 実際に、そのあと、何度も金を要求されるようになると、やっと、自分が騙されたことに気づくだろう。
 しかし、だからといって、警察に駆け込んで、何かしてくれるであろうか?
「何かの捜査をしてくれるとしても、会社や家族に痴漢(冤罪かも知れないが)ということを言わないとも限らない」
 警察に対し、
「そこは、家族や会社に内密に」
 と言ったとしても、警察の捜査上、
「そうもいかない」
 ということになれば、せっかく今まで払った金も水の泡であろう。
 警察とすれば、こちらを、
「自業自得」
 という目でしか見ない。
 いまさら、
「家族や会社にバレることを嫌がっていては、警察は捜査できない。脅迫から助かりたければ、そこは、覚悟することだ」
 と言われるに違いない。
 実際に、警察が、逮捕しようとしても、
「痴漢としての、時効が過ぎていれば、どうすることもできないのだが、それでも、口にとは立てられない」
 といえるだろう。
 何しろ、今の問題は、
「痴漢事件」
 というものではなく、
「脅迫事件」
 というものの捜査となるのだがら、そのためには、以前のことを持ち出されないとも限らないと思ってしまうのだ。
 実際には警察が、
「時効になったことを、ばらしてはいけない」
 ということになるだろうが、どっちなのか分からないだけに、うかつに警察にも言えないと思うと、
「どうすればいいんだ?」
 と追い詰められてしまう。
 そうなると、どういう考えが浮かんでくるというのか、
「こうなったら、口を封じるしかない」
 ということで、
「脅迫から逃れるため」
 というのと、
「痴漢のことを知っている唯一の人間の口を封じる」
 という、
「一石二鳥」
 ということであれば、
「殺人もやむなし」
 と考えるかも知れない。
 それが、一番最悪の結果になるだろう。
 男は、今までは、
「痴漢をした」
 といっても、
「罠にはまった」
 ということになるので、実際には、
「冤罪の被害者予備軍」
 のような形である。
 しかし、いくら、脅迫を受けていたからといって、殺人を犯せば、
「犯罪者」
 ということになってしまう。
 このような、まるで、
「美人局」
 のような犯罪は、まれではあろうが、テレビドラマなどでは結構あったりする。
 そういう意味では、最近では聞かなくなった
「美人局」
 という言葉、この犯罪には、
「かなりの危険性を秘めている」
 といってもいいだろう。
 なんといっても、
「相手を脅迫する」
 ということだ。
「痴漢の冤罪」
 といういわゆる、
「中途半端な脅迫」
 ということであれば、
「痴漢の冤罪」
 ということと、
「これから、一生、こいつらに脅迫され続けるのか?」
 ということを考えると、
「殺してでも」
 と考えるだろう。
 こういう脅迫として実際に多いのは、
「実際に脅迫される側が、すでに何かの凶悪犯罪、たとえば殺人などを犯していて、その現場を見た」
 ということであったり、
「被害者にとっては、どうしても表に出ては困る」
 という、
「動かぬ証拠」
 なるものを握っていたりするという場合などがあるが、そういう場合は、それこそ、
「相手を殺さないと、自分が終わってしまう」
 ということから、
「確実に、捕まらないような計画を立てる」
 ということをするだろう。
 しかし、
「美人局」
 という連中に狙われるくらいの、言い方は悪いが、
「低俗なレベルの人間」
 というものに、そんな、
「完璧な犯罪計画が練られる」
 というわけもなく、結局、どこかでぼろを出して、捕まることになるだろう。
 ただ、完璧な犯罪計画というのも、えてして、
「どこかに落ち度というものは必ずあるというもので、警察にかかると、真相を看破されることになる」
 といってもいいだろう。
 なんといっても、まだまだ日本の検挙率は高いということになるのではないだろうか?
「ただ、冤罪というものは、どうなっているのか?」
 ということは、意外と分かっていない気がする。
 中には、
「逮捕され、起訴されたことで、弁護士と検察側との間で、裁判というバトルが繰り広げられる」
 ということになるが、
「弁護士側は、必ずしも、無罪を勝ち取らなければいけない」
 というわけではない。
 弁護士というのは、
「依頼人の財産と名誉を守る」
 ということが一番の仕事である。
 それを考えると、
「無理を押し通して、無罪を主張していて、なかなか裁判が終わらない」
 ということよりも、
「どうあがいても、有罪は免れないだろうから、情状酌量に舵をきって、執行猶予を勝ち取ろう」
 と考えることもある。
「それではいやだ」
 ということでいろいろやっても、
「結局、時間だけが掛かって、お金もかかるということになれば、結果、損をするということにならないとも限らないからですね」
 ということになるのだ。
 特に、
「痴漢」
 という犯罪は、
「犯罪自体が卑劣なもの」
 という見方をされることから、証言を得ようとしても、
「被告に有利な証言が得られることはまずない」
 といえるだろう。
 それを考えると、
「本当は、痴漢に間違えられるようなことさえしなければよかった」
 といっていい。
 というのは、
「満員電車を避ける」
 であったり、
「手は必ず手すりを持っている」
 などということさえしておけば、手を掴まれることもなければ、犯人にされることもない。
 なんといっても、防犯カメラがついているのだから、それは当たり前のことだといえるだろう。
作品名:本当の天才 作家名:森本晃次