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数学博士の失踪(後編)

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 これが、数学に限らず、あらゆる学問で、それまでの発想を奇抜に、そして奇跡的に発展させるものだと思うのだった。
 そして、数学、いや算数の世界においても、その発想は大きく、
「1+1=2」
 という基本中の基本も揺らぐような研究になると考えている。
 その研究を試すために、それこそ、
「生みの苦しみ」
 と味わっている父親が、まどかの夢を演出しているということで、父親は、その演出だけではなく、自分も違う形で出演しようと思ったのか、そこで作られた人格が、
「遠藤探偵」
 ということではないか。
 まどかは、遠藤探偵に、少なからずの感情を持っていた。
 それが、
「初恋だった」
 といってもいいかも知れない。
 いや、中学時代に初恋の経験は済ませているが、もちろん、成就するわけもなかった。
「初恋は淡いものだ」
 と言われるが、まさにその通りであり、
「初考というものをいかに成就できるか?」
 ということも、父親の研究の成果の一つではないだろうか?
 それをまどかの夢の中で証明しようということであるが、父親は、その研究が出来上がると戻ってくるということになるだろう。
 そもそも、
「失踪などしていない」
 といってもいいかも知れない。
 どこからどこまでが、まどかの夢なのか分からないが、その境界線というのは、実に曖昧なものだと言えるだろう。
 そして、
「この夢を、現実として受け入れることができる」
 というのは、普通ではありえないことである。
 それを可能としたのは、
「父親の数学者としての感覚と、娘であるまどかの心理学を志すものの感性」
 というものが、まじりあっての奇跡なのかも知れない。
 つまり、
「まどかの奇跡」
 といってもいいだろう。
 そして、この物語は、
「そのすべてを、まどかの意識の中で完結している」
 といってもいいだろう。
 父親とまどかの存在と関係が、これからの世の中に与える影響がどのようなものかということを楽しみにしながら、このお話は終わることにしましょう。

                 (  完  )
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