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症候群と秘密結社

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 その頃から、この町は注目を受けるようになったのだが、あくまでも、他からの影響を最小限にするというスローガンがあったので、人気はあっても、必要以上に、騒がれることはなかった。
 それまで、インフラに関しては、そこまで普及していなかったが、この時の話題から、
「インフラ整備も、町の人の考えに関わることなく、自治体主導」
 ということで行われた。
 町の方でも、
「別に都会が侵略してくるわけではない」
 ということで受け入れた。
 そもそも、
「侵略」
 というものに対しては、この町は敏感である。
 そもそもが、侵略を受けて、侵略者に対しての神経は過敏になっていることから、
「危険を感じる」
 という場合は、研ぎ澄まされた神経から、
「敵対意識は強い」
 といってもいい。
 しかし、この時はそんな敵対意識がなかったことで、安心だった。
 なんといっても、
「裏道から、バイパスが通る」
 ということから、ここから数キロ離れたところに、
「大型商業施設」
 というものができたのだ。
 その施設は、
「大手スーパーが基本となり、テナントを募集し、一大商業施設を作る」
 ということで、
「スーパーから、スポーツセンターや、ゲームセンター、ボウリング場まで」
 という、
「ここに来ればなんでもそろう」
 ということで、
「遊びにくれば、一日中遊べる」
 ということから、
「車さえあれば、来ることができるわけなので、一日中遊べるというのであれば、まるで遊園地に来たようなものだ」
 といえるだろう。
 遊園地であれば、
「子供を遊ばせたあと、どこかほかで買いものをする」
 ということになり、
「場所の移動を余儀なくされる」
 ということになるが、実際には、
「場所の移動をすることもなく、子供を父親が連れて遊んでいる間に、母親は買い物も済ませることができる」
 ということで、
「朝いちばんからくれば、夕方までの時間、買い物や遊びに疲れれば、休憩をすることもできる施設もあるので、人が多いのも当たり前」
 ということであった。
 完全に、
「レジャーランド」
 と化しているといってもいいだろう。
 そんなところが近くにできはしたが、この町は、ほとんど関係がない。
 しいていえば、その商業施設の中に、
「道の駅」
 のようなものがあり、そこに、
「周辺の町の名産品」
 というコーナーがあり、
「そこで販売するための農作物を出荷する」
 ということであれば、
「何も関係がない」
 ということはないのだった。
 大型商業施設といっても、できてから数か月くらいは、
「平日も結構客がいた」
 ということであったが、それが、半年も経つと、
「休日は多いが、平日は、ほとんど客がいない」
 という状態になっていた。
 だから、このあたりの道も、一時期ほど混むということはない、ちなみに、この商業施設から少し入ったところに温泉が出ていて、昔からの、
「温泉街」
 というのがあるが、そこには、結構、この伝説の村からも出かけていく人が多かった。
 そもそも、世の中が、
「高度成長時代」
 と呼ばれた時期だったのだが、その頃になると、さすがに、
「大日本帝国」
 の伝説というものは、どんどん薄くなってきていた。
 ただ、
「神様信仰」
 だけは続いていて、
「まだまだ、他の土地とは、一緒にされたくない」
 という意識が強かったのだ。

                 山間部の病院

 それでも、十分に、
「他の影響を受けることに抵抗がなくなってきた」
 というのは、
「若者が都会に憧れてきた」
 ということが原因であり、元々は、
「都会になんか出ていくのは許さない」
 という、完全に、
「鎖国政策」
 というものを行っていたのだ。
 ちょうどその時、
「伝染病が流行っていた」
 というのも、一つの原因だった。
「全国で流行っている」
 というわけではなく、このあたりだけのことで、特に、近隣の数個の村でだけ発生したおのだった。
 県から、衛生局の人がやってきて、
「隔離政策」
 というものを行った。
 相手が、
「伝染病」
 ということなので、逆らうこともできない。
 それを考えると、
「自治体には逆らえない」
 ということで、政策に従うしかなかったのだ。
 そんなこともあって、このあたりの麓に、
「病院」
 というものができることになった。
 実は、その基礎になる建物というのは残っていた。
 それは、実は、
「大日本帝国時代に、細菌の研究をしている研究所だった」
 ということだったのだ。
 その研究室は、明治の途中くらいからあり、結構大きかったわりには、そんなに人の出入りはなかったという。
 今でも言われていることとして、
「国家の秘密研究所だった」
 ということから、
「あの時代の歴史を勉強している人であれば、思い浮かぶものがあるはずだ」
 それが、
「731部隊」
 と呼ばれるもので、戦争中の、細菌兵器や、化学兵器開発を専門に行っていたといわれるものが、
「日本にも存在した」
 ということであろう。
「731部隊」
 というのは、実際には、その存在に関しては、
「証明されていない」
 ということである。
 それは、
「大東亜戦争が敗色濃厚になると、軍は、証拠隠滅のために、徹底的に破壊した」
 ということからである。
 元々、その部隊は、日本国内にあったわけではなく、日本が占領した、
「満州国」
 にあった。
 そもそも、満州国は、日本が統治していたところであるが、中国やソ連に対しての、
「安全保障」
 の観点と、
「日本人の食糧問題」
 という重要な観点から、
「満州事変」
 というものを起こし、そこで、一気に、満州を占領してしまったのだ。
 しかし、占領したからといって、欧米列強のような、
「植民地」
 ということにしたわけではなく、
「傀儡国家」
 と言われる曖昧な形で、基本的に、
「独立国」
 ということで承認した。
 それが、いずれ、
「大日本帝国を致命的な戦争に巻き込む引き金になった」
 といってもいいかも知れないが、その満州国の、大都市である
「ハルビン」
 という土地に建設されたものであった。
「とても口で言い表せない」
 といってもいいところだったようだが、結局、その研究所では、
「戦争のための研究」
 というものが行われていたので、
「兵器研究」
 が行われていたのである。
 もちろん、似たような研究所は、日本国内にもあったことだろう。
 さすがに、ハルビンほどの広大な領地があるわけでもないし、
「日本人に見つかる」
 というのも、まずかっただろうから、日本にあったとしても、
「かなり、世俗から離れたところだったはずだ」
 ということで、それを考えると、
「この土地は、願ってもないところだった」
 といってもいいだろう。
 そんな土地を考えてみると、
「そもそも、まわりの土地とは違う」
 と考えているところの近くで、しかも、
「森に囲まれて、その奥には何があるか分からない」
 といわれているところであれば、これほど都合のいいことはない。
 実際に、この村の人も、
「この森の奥には、立ち入ってはいけない」
作品名:症候群と秘密結社 作家名:森本晃次