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症候群と秘密結社

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 そもそも彼女が、
「どうして記憶喪失になどなったのか?」
 ということは、
「まずは記憶を取り戻せば一番に分かる」
 ということであれば、それ以外でも、
「彼女がどこの誰なのか?」
 ということが分かれば、
「ある程度は察しがつく」
 ということだと、タカをくくっていた。
 しかし、実際にそれが分かるものがなかった。実際に彼女を知っている人もこのあたりにはいないようだし、彼女が身に着けているものからは、一切何も見つからなかった。
 ただ、このことは、一つのことを示している。
「彼女は、最初から、記憶喪失だったのではないか?」
 ということだ。
 彼女を、交通事故に遭わせはしたが、死ななかった場合においても、もし記憶があるのであれば、
「その身元は、持ち物で分かる」
 ということだ、
 しかし、その身元が分かるものを最初から所持していなかったというのは、彼女を見つけた人間からすれば、
「おかしい」
 と思うに違いない。
 当然警察に連れていかれることになるはずなので、警察なら、
「わざと身元が分からないように」
 と考えることだろう。
「だから、犯人は交通事故を装ったのではないか?」
 という考え方もできるわけで、
 というのは、
「最初から記憶喪失だった」
 ということを隠すためである。
「死んでくれれば、それで問題はないが、死に損なっても、この女が記憶喪失で自分のことを覚えていないというのを、事故のせいだ:
 と思わせることで、
「警察の捜査をかく乱することもできるし、最初から記憶喪失だったということがバレなくてすむ」 
 ということである。
 これらのことを考えると、
「警察の捜査をかく乱させることが目的ではないとすれば、記憶がないことに何か意味があるのではないか?」
 と考えられる。
 これは、あくまでも、
「犯人側の立場に立って考えれば」
 ということであるが、
「記憶喪失というのは、あくまでも、記憶の中にあるもの」
 ということだということであった。
 現在起こっていることは、何も知らないことなのだから、目の前にあることを意識という脳が機能する場所で、考えて行動するために必要なところである。
 しかし、
「現在のことだけを解釈するだけでは、間違えたりもするということで、過去に起こったことからいろいろ判断し、答えを求めることができる」
 というように、人間というのはできているということである。
 だから、
「一度、過去に起こったことを時系列で格納しておくだけの場所が必要になってくる」
 その場所というのは、
「脳の大きさには限りがあるので、そんなに無限にあるはずのものではない」
 ということだ。
 つまりは、
「圧縮して格納しておくための場所」
 というものが必要だ。
 それを、
「記憶」
 という言葉で、覚えておくための場所に、圧縮するためには、
「普段はしまっておくだけの引き出しに置いておいて、実際に、ものを判断するときに必要になれば、的確にその場所から記憶を引き出して、それを、意識というところに引き出すことで、また、その記憶を役に立たせるだけの働きをすることになるのだ」
 だから、脳の中には、少なくとも、
「現在、考えるために必要な、意識を働かせる場所」
 ということでの、
「意識考察」
 という場所・
 そして、
「過去のできごとを、あとから引き出していつでも使えるようにする」
 というための、
「記憶装置」
 という場所、
 さらには、その記憶装置を、意識に格納するための、
「復元装置」
 のような場所、
 それぞれが脳の中にあり、中には、その記憶というものが、
「何かの証拠となる」
 ということだってある。
 それが、
「物証よりも重要な証言」
 ということにだってなるのだ。
「それを、おろそかにしてはいけない」
 ということを、犯人グループも十分に分かっているということであろう。
「記憶がなくなる」
 というのは、その
「証言ができない」
 ということであるが、決して、脳の中から消えてなくなるというものではない。
 もちろん、
「生死の境をさまよった」
 と言われるような大けがなどをすれば、
「その機能が失われてしまう」
 ということだってあるだろう。
 だから、犯人たちは、
「被害者が、交通事故の時、万が一死ななかったとしても、記憶がないことを、事故によって、失った記憶」
 ということにしておけば、
「実際に、事件性はない」
 と考えるかも知れないと思ったのだ。
 しかし、実際には、
「いくら交通事故であっても、記憶装置が壊れてしまわない限り、記憶が失われることはない」
 ということから考えると、
「いずれは、何かを思い出すことになるかも知れない」
 とも感じた。
 しかし、問題は、
「被害者の記憶がいつ失われたのか?」
 ということである。
 被害者と犯人の接点がいつからなのか分からないが、被害者の記憶がなくなったのは、犯人と出会う前だったのか?
 ということである。
 つまり、犯人は、
「記憶喪失の被害者を見つけた」
 ということなのか?
 と考えると、少し考え方が変わってくる。
「彼女を、何かの捨て駒のつもりで、飼っていた」
 という考えである。
 そうせ、犯人、あるいは犯人グループというのは、
「何かの組織の一部」
 ということであれば、
「記憶喪失の女」
 というのは、
「いろいろ使い道がある」
 と考えたのかも知れない。
「記憶喪失の女の前だと、他の人にしゃべらないようなこともしゃべるかも知れない」
 ということであったり、
「記憶喪失の女を捨て駒に使うことで、ライバル組織のようなものがあれば、そこに対して、自分たちの有利になるように、人身御供にでもできる」
 というような恐ろしい考えを持っていたりということも考えられる。
 昔であれば、それこそ、
「昭和の時代などでは、そんなことは平気であっただろう」
 それこそ、
「東南アジアに売り飛ばす」
 などという組織も存在したようで、いわゆる、
「マフィア」
 などの組織は、今も存在しているのだろうか?
 特に、
「麻薬漬け」
 などにしてしまうと、国内で使うだけ使い、用済みとなれば、
「東南アジア」
 などに売り飛ばすということにすれば、女の処分と、口封じに、
 さらには、
「儲け」
 とで、
「一石二鳥」
 いや、
「一石三鳥」
 になるというものであった。
 ただ、今は警察などの検挙であったり、法が厳しくなったことで、なかなかできなくなったのか、別のやり方で、今も生き残っている一部の組織もあるであろう。
 それを考えると、
「悪の組織」
 というものは、
「頭がよくなくては務まらない」
 といえるだろう。
 特に最近の犯罪というと、
「ネット犯罪などに多くみられる。
「ネット詐欺などがその大きなものであり、世間を騒がせているものということで、
「オレオレ詐欺」
 であったり、
「振り込め詐欺」
 などと言われるものが横行している。
 さらには、
「個人情報保護の厳しさ」
 というものを逆手に取り、
「それを商売にすることで、巨額の金が動く」
 ということもあるだろう。
作品名:症候群と秘密結社 作家名:森本晃次