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覚悟という錯誤

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 本当であれば、いろいろ考えて悩むだろう。
 だが最後には、どこかで決めなければいけない。
 それを、
「覚悟」
 というのだろうが、その覚悟をするためには、一度は、
「裏表を通したすべてを見ないといけない」
 ということになり、
「実際に見ているのか見ていないのか、意識することなく、最後は自分で決めている
 ということになる。
「最後にその決定を考えるのは、あくまでも、自分の考えであり、その考えを決定する時、意識がないのも、人間の特徴なのかも知れない」
 と考えた。
 その時、先輩がどのようなつもりだったのか分からないが、その時、坂上は、
「何かうろこが落ちた」
 という気がした。
 それを、
「相手が与えてくれたものなのか?」
 それとも、
「自分で感じたことなのか?」
 ということを考えると、
「どちらにしても、相手は誰であってもいいというわけではない」
 と感じた。
「だからこそ、そのきっかけを与えてくれた人に感謝すべきであり」
 ひょっとすると、
「友達になれるかも知れない人なのかも知れない」
 ということを考えてしまうのだ。
 ただ、先輩だったので、そこまでは感じなかったが、その時の感覚が生まれたことで、それからすぐに友達ができた。
 実際にその友達というのは、
「俺も、ずっと友達がいなかったからな」
 ということで、
「どこか、他人のような感じがしないな」
 ということを言い合うような仲だったのだ。
 他人のような気がしないというのは、相手も同じことを思っているようで、そのことを相手から言われて、坂上は、有頂天になった。
 それは、
「自分が考えていることを相手も考えていた」
 ということであり、
「まさに、こういう関係を友達というんだろうな」
 と感じたからだった。
 友達というものを初めて持ったことで、
「何かが変わるかも知れない」
 と感じるのだった。

                 友達

 先輩が連れていってくれたのは、全国的にも有名なソープ街のあるところであった。
 そこは、F市を流れる川のすぐ横にあるところで、昔は、そこを、商業船が行きかっていたということであり、実際に、ソープ街の近くにある公園には、昔の、
「灯台」
 のようなものがあった。
 江戸時代から続く街ということで、人が中に入るような大きな灯台ではなく、木でできたただの、
「川の道しるべにすぎない」
 といってもいいが、それでも、案内板も立っていて、それこそ、
「昔を思わせる情緒を感じさせる」
 というものであった。
 先輩が店を予約してくれたが、
「もちろん金は自分で出せよ」
 といっていたが、
「それは、望むところですよ」
 と言って先輩ににやりとすると、先輩も笑顔を返してきた。
「先輩も分かってらっしゃる」
 とばかりに感じたが、要するに、
「遠慮は無用」
 ということだったのだ。
「あくまでも、先輩はきっかけを作ってくれただけのこと」
 ということで、そういう意味では、ちょうど、主任になった時だったので、
「自分へのご褒美だ」
 と思うことにした。
 確かに、ご褒美というと、何かが違う気もしたが、きっかけという意味では、ご褒美といってもいい。
 どう感じるかというのは、行かなければ分からないことで、
「次もまた行きたい」
 と思うか、
「もういい」
 と思うか、どちらでも、一度は通る道なのだろうと考えたのだった。
 そもそも、
「風俗への偏見」
 というものはなかった。
 もしあったとすれば、思春期までであろうか。
 中学に入ってから思春期に入ったが、それまでは、
「大人のいうことがいつも正しい」
 と感じる子供で、
「疑うことを知らない」
 といってもよかったのだ。
 中学時代に、
「いじめ」
 というものを垣間見るようになり、実際にいじめが行われているにも関わらず、学校の先生は、
「いじめは存在しない」
 といっていたのだ。
 それは、一人、
「いじめられているのではないか?」
 ということが問題となり、子供から見て、
「明らかないじめ」
 というのが分かっていたにも関わらず、先生は、実際に調査しているようだったが、結論は、
「いじめはない」
 ということだったのだ。
 つまり、
「いじめを調べるのも、実は面倒くさい」
 と思っていたのであり、
「いじめを認めてしまうと、自分の立場がなくなるので、自分の保身のために、先生は口をつぐんだんだ」
 というウワサが、PTAなどから出てきて、それをマスゴミが知ることになると、学校側の隠蔽工作が、却って、
「火に油を注ぐ」
 ということになったのだった。
 教育委員会も乗り出してきて、結局、学校側の隠蔽工作が見破られ、学校首脳は、すべて交代ということになったのだが、肝心の
「いじめ問題」
 は曖昧になった。
 新しい首脳陣がやってきて、
「いじめは存在する」
 ということをいい、
「善処します」
 ということになったのだが、坂上が卒業するまでに、事態が進展するということはなかった。
「自分が在学中に進展しないのだから、あの後、自然消滅したんだろうな」
 と思うのだった。
 それから、
「あれは、トカゲのしっぽ切だったんだ」
 ということを思うと、
「まじめにやっても、どうなるものでもない」
 ということから、
「自分がやりたいことを、やれればそれでいい」
 と思うようになり、
「君子危うきに近寄らず」
 と考えるようになったのだ。
 だから、今の坂上の考え方は。中学時代に育まれたことだったのだ。
 先輩が連れて行ってくれたソープでは、相手の女の子は先輩が選んでくれた。
「相手は自分で選びたかったな」
 という思いもないわけではないが、
「俺のことだから、最後まで悩んでなかなか決めれないだろうな」
 と思ったので、ありがたかった。
 坂上という男は、迷い始めると、いつも堂々巡りを繰り返す。
 例えば、休みの日に、街に出て、
「何かを食べよう」
 と思って、食堂街をめぐるのだが、その時、いつもかなりの時間が掛かってしまう。
 もちろん、昼休みなどは避けるようにしていて、その時間、
「決められた昼休みを削ってまで、表で待たされるというのは嫌だ」
 と考えたからだ。
 それくらいであれば、街の辻に出ている、
「ワゴン車での仕出し弁当」
 というのを買って、
「事務所の自分の机のところで食べるか」
 あるいは、
「公園のベンチで食べるか」
 という方がよほどいいと思っていた。
 だから、休みの日に街に出かけた時くらいは、
「表で食べてみたい」
 と思うので。その時は、
「必ず、昼休みを外す」
 ということにしていた。
「それも、一番腹が減るピークとなる午後の2時頃というのが狙い目だ」
 と思うのだった。
 実際に、街を歩いてみると、ほとんどのところが空いていて、ただ、
「ランチメニューは終わりました」
 というところが多かった。
「何も、ランチにこだわることはない」
 と思っているので、ゆっくり探しているのだが、
「いざ、探そう」
 と思うと、迷ってしまう。
 それは後で分かったことだが、
「腹が減りすぎて、ピークを越えてしまったんだ」
作品名:覚悟という錯誤 作家名:森本晃次