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裏の裏

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 だが、人たち、復讐に手を染めてしまうと立場は逆転する。
 目の前で、
「復讐」
 という名前を、殺戮が行われているだけということになるからだ。
 そもそも。
「復讐」
 というのは、
「負のスパイラル」
 ということで、まるで、
「金太郎飴のようではないか」
 といえる。
 というのは、
「どこで切るか」
 ということによって、
「復讐を行う方」
「復讐を受ける方」
 という立場が決まってくると、世間では、
「その瞬間しか見てくれない」
 といえる。
 しかし、
「動機というものは存在する」
 というわけで、
「復讐を行う」
 ということになれば、
「その動機が、自分が、あるいは、自分にとっての関係者が、復讐に値する仕打ちを受けた」
 ということになるのだ。
 ただ、それも、
「一世代さかのぼる」
 ということしかしない。
 つまりは、
「事件だけをそのまま見たり聞いたりした人」
 というのと、
「動機までわかっている」
 というのであれば、その立場はまったく正反対となる。
 これは、どんな犯罪でもそうなのかも知れないが、このように、
「復讐」
 ということであれば、必ず、
「復讐するには、その動機がある」
 ということで、
「目には目を歯には歯を」
 という、シーザーの格言にあるように、
「結果としては、どこまでいっても、繰り返される負のスパイラルに陥る」
 ということになるのであった。
 まるで、
「マトリョシカ人形」
 あるいは、
「合わせ鏡」
 のようになるではないか、
 ということである。
 これこそが、
「負のスパイラルの正体」
 ということであり、
「どこまでいっても、交わることのない平行線」
 それが
「負のスパイラル」
 ということであり、
「無限」
 というものを証明できるものではないか?
 と考えられるのであった。
 今記憶を失っている、
「横山」
 という男、何があったか分からないが、
「このような、負のスパイラルにはいりこんでしまっているのではないか?」
 ということであった。
「因果応報」
 という言葉があるが、
「何が影響しているのかは分からないが、、前世であったり、親の因果か何かが彼に襲い掛かっているのではないか?」
 と考えるのは、
「この男が記憶喪失になっている」
 ということであった。
 これが、宗教的な考えとして、
「何かの戒律を破った」
 というものであれば、
「どのようなお咎めがあったとしても、それは、無理もないこと」
 といえるのではないだろうか。
 実際に、
「記憶を失った」
 ということは、神様が、
「戻してはいけない記憶」
 というものを、彼に与えた。
 と考えたのだとすれば、
「もし、どこかで記憶を思い出すとすれば、そこまでの戒めはなかった」
 ということであり、逆に
「一生思いだせなかった」
 ということであれば、
「墓場まで記憶を持っていく」
 ということになり、
「最大の罰だ」
 ということになるだろう。
 しかし、
「逆も真なり」
 という言葉があるが、というのも、
「忘れてしまうことが幸せだということもある」
 ということで、思いだせないことで、
「苦しまなくて済んだ」
 という考えもあるだろう。
 逆に、
「そんな記憶がない状態を抱えて生きていくくらいだったら、死んでしまった方がましだ」
 と言われるが、それこそ、
「人間の勝手な解釈」
 というもので。よくドラマなどで、
「死んで花実が咲くものか」
 という言葉であったり、
「死んだら人間おしまいだ」
 という戒めをいうが、
「だったら、あぜ不慮の死であったり、殺人なんかが起こるんだ?」
 ということになる。
 あくまでも、
「神がきめた寿命を人間ごときが勝手に変えてはいけない」
 ということになるのだろう。
 歴史上でも有名な。
「細川ガラシャの話」
 つまりは、
「キリシタンは自殺は許されない」
 ということで、
「刺殺シチュエーション」
 という場面で、
「自分の配下の人間に自分を殺させる」
 ということをしたのだ。
 なるほど、
「それはありえない」
 ということになるのだろうが、これこそ、
「人間が勝手に寿命を捜査してはいけない」
 ということになるのではないか?
 実際に死ぬことになるのだが、これもあくまでもこじつけであり、
「曖昧な解釈だ」
 といえるだろう。
 しかし、
「人間というのは、生まれてくるときは、皆平等だ」
 という人もいたが、実際には、誰のところに生まれてくるかということで、
「逆らうことのできない運命が、立ちはだかっている」
 ということになるのだろう。
 それを考えると、
「死ぬ時くらいは自由であってもいいのではないか?」
 と思うのだが、
「自殺を許さない」
 さらには、どんなに本人が苦しんでいるか分からないし、何よりも生きている家族に対して、一切の保証もないのに、
「尊厳死というのは、許されない」
 ということになるのだ。
「こんなことがあっていいというのだろうか?」
 それを考えると、
「人間の生死というのも、その概念としては、実に曖昧なものだ」
 といえるのではないだろうか?

                 記憶の一部

 医者から、
「被害者である横山氏の記憶が一部戻った」
 ということで連絡をもらったF警察から、秋元刑事がやってきた。
 秋元刑事は、F警察でも若手の方で、ただ。そのたぐいまれなき推理力には、上司も、一目置いていたのだった。
 相棒である佐久間刑事とやってきたが、実はそこまで、
「記憶が戻った」
 ということに期待をかけているわけではなかった。
 記憶が戻ったといっても、医者の話では、
「一部だけ」
 ということだ。
 医者がどこまで被害者と話をしたのか分からないが、少なくとも、事件のことに触れるということはなかっただろう。
 なぜなら、被害者の横山は、事件によってけがをしたことから、何が原因から分からないが記憶を失ったということは、
「思いだす記憶というものに、トラウマがあるはずだ」
 ということになるだろう。
 だとすると、
「医者が事件のことを話すはずもない」
 ということになる。
 なんといっても、医者こそ、事件のことを少ししか知らないはずだ。いくら相手が被害者の主治医とはいえ、軽々しく、
「捜査上の秘密」
 というものを話すわけがない。
 そうあると、そんな中途半端な情報で、主治医が。中途半端に記憶を取り戻した被害者に、簡単に事件のことを口にするとは思えない。
 一歩間違えれば、自分で墓穴を掘ることになるからだ。
 医者が話すとすれば、家族のことや、私生活のことである、
「自分の知りえる範囲の話」
 ということになるだろう。
 その中に、
「事件の真相が隠されているかも知れないが、そもそも、思い出したのが、その一部ということであるのだから、期待薄というのは、当たり前のことである」
 急いで病院にやってきた秋元刑事は、さっそく医局に行き、主治医の先生と面会を行った。
「一部とは言え、記憶が戻ってよかったですよね」
 と、秋元刑事は、社交辞令ともとれる曖昧な表現で、医者に切り出した。
作品名:裏の裏 作家名:森本晃次