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裏の裏

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 警察とすれば、
「内偵を行う」
 という刑事に対して、
「そんな簡単に、警察を裏切るということがないように、それなりの人物を選出したはずだ」
 ということになるのだろうが、それが結果として、まったく逆に、相手の気持ちに左右されてしまったのだとすれば、
「基本的な人選が間違っていた」
 ということであり、それが、
「人選を一人に任せていたのか?」
 あるいは、
「何かのマニュアルに沿っての人選なのか?」
 ということから変わってくるということである。
 それを考えると、
「警察組織の仲にも、ピンからキリまでいるわけで、優秀というのは、時と場合によって違うものであるから、少なくとも、大切な人選に対しては、マニュアルに沿ってというのはありえないのではないか?」
 と考えられる。
 しかし、逆にそれを一人に任せるというのも、実に危ない。
 となると、
「マニュアルに沿っての、合議によって決める」
 というのが最良だということになるだろう。
 それこそ、
「裁判における、裁判員制度」
 というものがあるのと同じであろう。
 ただ、そうなると、基本は、
「多数決」
 ということで、
「それが本当に正しいことなのか?」
 というのが、問題になるわけである。
 その問題を解決するには、
「民主主義の基本」
 というものの、
「根本的な改正というものが必要なのではないか?」
 といえるのではないだろうか?
 実際に、
「今回の内偵に関しては、少なくとも、失踪するまでは、まったく問題がなかった」
 といってもいい。
 そもそも、問題があったのであれば、警察で、その件につぃて、
「撤退を視野に入れて考えた」
 というはずである。
 特に、
「内偵者自身の身に何かの災難が降りかかる」
 ということが少しでも見られたら、当然、
「撤退」
 ということがあるだろう。
 もし、それを放っておいて、何か事件が起こってしまい、命を落とすような最悪の結果にでもなれば、
「大きな社会問題」
 ということになり、今回の件の責任者が、
「辞表を出す」
 などという程度で済む問題ではないということになる。
 それこそ、
「警察組織の存在意義にまで言及すること」
 ということであり、
「警察の捜査において、内偵をしないとらちが明かない」
 ということで始めた捜査だからこそ、ジレンマに陥るということになる。
 それを考えると、
「警察というものを、本当に、公務員ということにしていいのだろうか?」
 という考え方も出てくるかも知れないが、
「公務員というのも、ピンキリで、警察はその中でも、リアルに厳しいところである」
 といえるのではないだろうか?
 日々、巻き起こる、
「凶悪事件」
 というものに、敢然と立ち向かいのが警察というものだからである。
 清水刑事が、捜査していた会社は、表向きには、普通の商事会社のようなところであっったが、実はその裏で、
「宗教団体」
 のようなものが暗躍しているということであった。
 その宗教団体は、
「公安部」
 からも目をつけられていて、
「公安」
 が目をつけているのは、あくまでも、
「上部組織」
 だった。
 このK警察の内偵捜査は、あくまでも、
「子会社と思しき、一事務所」
 においてだけだったのだ。
 もっとも、同じような事務所が、他の警察署からも、内偵を受けているところもあり、公安とすれば、
「邪魔だ」
 とは思ったが、警察がいろいろなところで、所轄の事務所を探っているのも無理もないことで、それだけ、事務所単位での
「苦情」
 であったり、
「問題」
 が多いということになるのであろう。
 この組織も考えていて、
「本部組織と、各事業所とにおいて、何かあった時は、切り離せるように、法的にも実質的にも対応できるようにしていた」
 ということのようだ。
 だから、逆に警察と公安が、それぞれで動かなければいけないということにもなっているようで、あわやくば、
「警察と公安で、火花を散らしてくれればいい」
 というくらいに、組織は考えていたのかも知れない。
 とはいえ、他の警察署で、
「内偵」
 ということまでやっていたのかどうかまでは分からない。
 K警察署では、
「被害届」
 というものが数件届けられたことで、
「さすがに黙ってはいられない」
 ということから捜査に乗り出したのだ。
 この、
「K警察署管内」
 における組織の暗躍は、結構他の地区に比べて目立っている。
 ただ、警察が直接手を下すだけの証拠というか、罪状を奴らは残さない。警察が出ていっても、弁護士が出てきて、うまく、
「口八丁手八丁」
 ということで切り抜けられて、それでしまいということになるのであろう。
 それを考えると、
「どこまで、やつらはうまくできてるんだ」
 と、苦虫をかみつぶしたい気持ちではあるが、逆に、
「敵ながらあっぱれ」
 と思えてくる。
 ただ、やつらのやっていることは、完全に、
「人道を外れている」
 ということで、許されることではない。
「一瞬でも、あっぱれなんて思った自分が恥ずかしい」
 というレベルである。
 実際に、内偵に入っていた清水刑事も、
「いかにも、勧善懲悪」
 というものを絵にかいたような性格の人間だったのだ。
 ただ、実際に、
「警察の中で、勧善懲悪を絵にかいたような人間が、捜査において、裏の顔を持っていた」
 ということも少なくはない。
「ミイラ取りがミイラになる」
 というのか、実際には、
「何か弱みを握られて、それで相手をいうことを聞かないわけにはいかなくなった」
 ということで、逆スパイ的なことをしている人も少なくなかっただろう。
 それだけ、相手が、
「一枚も二枚も上だ」
 ということになるのだろう。
 それは、
「相手を甘く見すぎていた」
 ということになるのだろうか。
 警察というと、どうしても、
「国家権力を持っていて、自分が相手よりも上の立場だ」
 という風に思いがちなのかも知れない。
 そもそも、警察の仕事は、
「公務」
 であり、邪魔をすれば、それは罪になるという当たり前だが、相手の組織にはまったく影響がないということを分からないのだ。
「策を弄する人間は、自分がされることに気づかない」
 と言われるものだが、警察の仕事もそうなのかも知れない。
「自分たちの常套手段は、警察特権のように思っていたとすれば、それは実に甘い考えで、相手に通用することではない」
 といえるだろう。
 何が、勧善懲悪なのかというということを、勘違いしている人もいるかも知れない。
 なんといっても、
「善悪」
 という観念は、あくまでも、ハッキリと決まったものではなく、人によっては、
「善だ」
 と思うことが、それ以外の人すべてが、
「悪だ」
 と思うこともあるだろう。
 実際には、
「善悪」
 というものの判別は、それを行う人によるということであり、だからこそ、人それぞれの考え方によるわけで、その判断によって、何かをしても、結果が別の形に出てしまうということになる。
だから、世の中には、
「必要悪」
 というものがあるのだろう。
 では、
「不要な善」
 というのがあるのであろうか?
作品名:裏の裏 作家名:森本晃次