最後の天使
だから、それぞれに教えるということで、他の講座のコースであれば、
「予備校のように、一人の先生が教室で皆に指導している」
という感覚だが、上級コースは、言語が一定ではないということで、教えられる講師も、その言語によって違うということになるので、それこそ、
「家庭教師のような、マンツーマンということになる」
ということである。
しかも、
「同じ言語であっても、会社によって、特殊な組み方をしているので、あくまでも、その言語の基礎というものしか教えることができない」
ということになるのだ。
それを考えると、
「上級コース」
というものの、人件費は相当なものだ。
だから、このコースは、受講者が少ないわりには、講師の数は、他に比べて一番多い。当然、講座料が、他の講座に比べて段違いというのは当たり前のことだった。
それでも、
「会社としては、少なくとも、会社内で、会社のシステムを分かっていて、ソフトのシステムを理解しているという人が必要だ」
と考えると、少々高くても、この上級者用のコースへの受講は、
「会社費用をかけても」
ということになるのであった。
会社とすれば、
「先行投資」
ということで考えるしかないということだ。
実際に、
「ソフト開発は外注で、実際に会社内部で、会社の意向をソフト会社に伝えることができる人を置く」
というのが当たり前の時代になっているということであろう。
だから、システム部の人間も、
「トラブルにならない程度の」
たとえば、
「データを加工するようなシステムではなく、帳票を作成したり、顧客データを検索できる程度のソフト開発であれば、彼らにもできる」
というくらいであれば、実際に、経費節減にもつながるということであった。
ただ、ソフト開発も前述のように、
「外注にさせているので、トラブルが発生した時は、外注先に連絡をとり 、その状況を説明しないといけないのだが、現場で運用をしているだけの人に、システム的な話は通じない」
ということで、まずは、
「現場から、システムの人間に連絡があり、それを?み砕いたうえで、外注先に連絡を入れ、話をする」
ということになる。
へたをすれば、又聞きということになり、話が通じない場合もあり、結局は、
「現地集合」
ということになるのだろうが、特に最近では、
「夜間に処理が動く」
というのは当たり前のことで、
「その処理が終わらないと、朝が迎えられない」
ということになれば、それこそ、
「一刻も争う」
ということなのだ。
そもそも、
「夜間の稼働」
というのは、
「夜間に動かさないと、朝に間に合わない」
ということで、
「猶予があるとしても、2,3時間くらいしかない」
ということで、システムの人間も、外注先というのも、それだけの体制を最初から持っていないといけないということになるのだ。
外注側とすれば、
「金をもらって、開発とサポートを行っているのであるから当たり前のことで、会社のシステム部」
とすれば、ある意味、
「一番の貧乏くじ」
といってもいいだろう。
ただ、外注会社としても、
「夜間対応というのは、残業手当の対象になるかどうかわからないが、保守や開発代を依頼会社からもらっているといっても、入るのは会社にであり、自分たちが潤うわけではない」
それどころか、
「トラブルがあれば対応しなければいけない」
というプレッシャーと、
「いつ電話が鳴るかもわからない」
ということでの、重圧で、精神的には、ボロボロになることだろう。
そういう意味で、
「システムエンジニアや、プログラマなどの人に、精神をやられ、精神疾患になった人がたくさんいる」
ということになるのだろう。
不眠症になったり、いろいろな障害が身体に起こったりなどがその例で、中には、
「休職」
というものを余儀なくされたり、
「入院しても、会社は労災も認定してくれない」
などというひどいところも少なくない。
今の時代は、そういう会社を、
「ブラック企業」
と言っているようで、実際に、
「そんな会社は山ほどある」
ということである。
ブラック
だからこそ、今は、
「ハラスメント」
と言われる
「嫌がらせ」
というものに厳しかったり、
「コンプライアンス違反」
というものに対して、規制がかかるようにはなってきたが、実際には、
「言葉ではなんとでもいえる」
ということで、
「ブラック企業が減らない」
というのも、現実であった。
特に、
「そんなブラック企業が増えているのか?」
それとも、
「減らない」
ということが音大なのか、どちらにしても、大きな社会問題になっているのは事実である。
特に、
「ブラック企業」
と言われている時代において、一番問題なのは、
「人手不足」
という問題である。
最近では、年代を使って、
「〇〇年問題」
などと言って騒がれている。
これは、
「どんどん人手が減っていき、賄えなくなる」
という問題だった。
特に、問題点として、
「今の時代だからこそ、需要が増えてきた」
と言われるところで、
「介護、看護」
などと、
「少子高齢化」
という問題が招いた問題である。
さらには、
「簡略化ができない」
ということで、
「コンピュータ技術が発展しても、結局は、人の力が必要」
ということで、介護や看護などはその通りだろう。
また、運送業も同じで、配達員は、車の運転をしている生身の人間ということだからだ。
「仕分け作業や、ピッキング関係においては、ロボット化というものが先行してはいるが、それでも、そこかで必ず人が介することになるわけで、結局は人手不足」
ということになる。
さらに、もう一つの問題として、
「世の中には、失業者があふれているのに、その職に就こうという人がいない」
ということだ。
そもそもブラック企業として有名ということで、
「誰が安い給料でこき使われるか」
ということになるのだ。
例えば、
「タクシー業界」
というものでの、ある種のウワサを聞いたことがあるが、こちらも、
「人手不足」
という問題が深刻のようだ。
特に、大都市のターミナル前のタクシー乗り場を見ていれば分かるのだが、
「以前は、平日であれば、夕方でも、タクシーがたくさん並んでいて、乗る客がまったくいない」
という状況であった。
それが、今では、
「平日でも、タクシーが待っている」
ということはなく、逆に、
「タクシー街の列が連なっている」
という状態で、
「まるで、イベントがあった時の、イベント会場前のようだ」
という状態である。
その原因としては、一つには、
「世界的なパンデミック」
というものがあったということが一つである。
これは、
「伝染病の蔓延」
ということで、世界のどこに行っても、その伝染病が蔓延していて、そうなると、ほとんどの国が、蔓延を恐れて、鎖国状態ということになり、国内でも、人流抑制ということで、
「都市封鎖」
ということになったりした。