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最後の天使

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 ということで、エリート社員であれば、英会話ができることくらいは、当たり前のことだったのだ。
 今でも、それは変わっておらず、ただ、一時期に比べ、そこまではないというだけのことであった。
 今でも、
「パソコン教室」
 と、
「英会話教室」
 というのは、
「サラリーマンとしてのたしなみ」
 といってもいいだろう。
 少なくとも、事務的なパソコン操作くらいはできて当たり前という時代なので、人気は英会話よりもあるだろう。
 英会話というのは、
「エリートでなければ、差し迫って必要ということはないが、パソコンに関しては、会社員であれば、誰でもできて当たり前」
 いや、
「できなければいけない」
 というレベルのものである。
 ただ、今では、英会話も、パソコンも学校の授業にはある。それだけでは会社で困るという人がパソコン教室に通ってくるということであろうが、どこの教室も、それなりの生徒数はいるようだった、
 そんな中で、
「松本パソコン教室」
 というところがあった。
 そこは、駅前にあるパソコン教室で、実は、その前進が、
「英会話教室だった」
 というのは実に皮肉なことだった。
 それを考えると、
「英会話教室よりも、パソコン教室の方が儲かる」
 ということになるのだろうか?
 そのあたりは正直内情が分からないので、何とも言えないが、
「少なくとも経営者はそう思っているんだろうな」
 と思えるのだった。
 そこのパソコン教室には、コースがあった、
「まったくの初心者として、簡単な操作方法から、文字入力や、文書作成くらいまでがでくるようになる」
 という、初心者コース。
 それと、
「文書作成や、基本操作くらいはできるが、ソフトを使っての裏技で、仕事に幅を持たせられる」
 という中級編。
 さらには、
「実際のプログラミング言語が分かり、システム部に精通できるくらいの知識と、設計に携われるくらいの技能を持つ」
 という上級編であった。
 ほとんどの人は、
「中級編」
 を選んでいる。
「初級編」
 というのは、そもそも、パソコンが普及してきた時点で、
「中高年」
 ということで、基礎もなにも分かっていない状況で、
「それでも覚えろ」
 という会社の方針で、
「仕方なく覚えなければいけない」
 という人である。
 つまり、
「覚えないと首だぞ」
 という無言の圧力が感じられるのだが、今までのリストラを見ていると、
「冗談ではない」
 ということだ。
 なまじ給料が高いから、そんなことになるわけで、
「自分の代わりに、派遣社員が二人」
 と思うと、首のまわりが、冷たく感じられるのも、無理もないということになるのであった。
 また、
「上級編」
 というのは、それまでなかった会社内で、システム部なるものが作られるようになると、優秀な人材が、システム部に集められることになり、そこで、
「一から高等技術を勉強」
 ということになる。
 だから、この場合は、
「会社が金を出して、教室に通わせる」
 ということが行われるのだ。
 そして、ほとんどの会社は、
「自社開発」
 ということをせずに、
「アウトソーシング」
 という形での外注ということになるのだろうが、その場合であっても、
「いかに使い勝手がよく、効率よく仕事をこなせるソフトができるか?」
 ということが問題になるので、
「結局は、業務を知っている人が、開発者に対して、いかに作ればいいか?」
 という設計図を作る必要がある。
 それを、
「仕様書」
 というのだが、
「企画から仕様書作成までを、外注先のソフト会社に分かるように説明し、その土台となる書類を作ることから、システム部というものは必須ということになる」
 ということである。
 それらの仕様を作るための知識としては、
「プログラム言語」
 というものを知る必要がある。
 なんといっても、実際に運用を始めてから、何かトラブルが起こった時、社員で対応できればいいが、実際に作った外注先でないと分からない場合など、現場からの話を吸い上げて、
「システム的に、どのようなトラブルなのか?」
 ということを正確に伝えなければ、対応する方もなかなか手を出せないわけで、時間だけがいたずらに過ぎていき、その分、被害がどんどん拡大するということになるのだ。
「トラブル復旧に対しては、時間と、冷静な対応」
 というものが必要で、へたに焦って、
「二次災害」
 などというものを起こしてしまうと、
「目も当てられない」
 ということになるのである。
 だから、
「パソコン教室」
 としての、
「上級編」
 というのは、結構重宝されるものだろうが、なかなかここまでできている教室も少ないだろう。
 やはり、中級編と初級編だけで講師の数も、時間も結構なものであるのに対し、
「上級編」
 ということになると、
「本当に専門的な知識が必要だ」
 ということになり、それができるとなると、
「パソコンメーカーのソフト部門の人が講師になれないといけない」
 ということで、
「パソコン業界の母体」
 というのが、
「パソコンメーカーのシステム制作部」
 ということになるのかも知れない。
 その方が手っ取り早いということであるが、ここまでできるのは、今までのバブル崩壊から考えると、
「かなり大きなところ」
 ということで、
「吸収合併で大きくなった会社」
 といってもいいだろう。
「社員の転用として、講師に使う」
 というのは、ありえることで、
「なるほど、元々の事務所が、英会話教室だった」
 というのは皮肉なことではなく、
「元々同じような設計の建物だったのを探した時、たまたま英会話教室が出ていった後」
 ということであろう。
 実際に、英会話教室が減っていっているということを示しているということになるのだった。
 そんな英会話教室において、当然、生徒数が多いのは、
「中級コース」
 ということになる。
「初級コース」
 のほとんどの生徒は、
「中高年男性」
 といってもいいだろう。
 中には、
「失業中ということで、これから職を探すのに、そのために、パソコン技能を知らないといけない」
 ということから通ってきている人もいる、
 そういうことで、講義も比較的優しいということもあり、コース費用は、かなり格安になっているということである。
 かと思えば、今度は、
「上級者向け」
 というのは、
「インテリが多い」
 というのは当たり前で、基本的には、
「基本操作はもちろん、表計算ソフトのマクロまでは作ることができる」
 という、
「ビジネス講座でも、上級のことができないといけない」
 というあたりまでの人であり、大学でいえば、
「大学を卒業して、大学院でさらに勉強する」
 という感覚であろうか。
 だから、それだけ、
「費用が、それなりにかかる」
 といってもいいだろう。
 先生が専門知識を要しているので。それだけ、人件費も高いということになるからだ。
 ただ、この専門コースというのも、実は、
「厄介だ」
 とも言われている。
 それぞれの会社のシステムを作るための、ソフトの種類もたくさんあり、それにともなって、言語も結構ある。
作品名:最後の天使 作家名:森本晃次