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最後の天使

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「ヘッドハンティング」
 というものも行われ、
「終身雇用」
 と言われていても、
「うちは、今の会社の給料の3倍出しまって」
 などと言って誘われれば、相手から、
「望まれても転職」
 ということで、本人とすれば、
「給料が少し上がるというくらいでも、ありがたく移籍する」
 というものであろう。
 ただ、なんといっても、日本の体制として、
「途中で会社を変わるというのは、引き抜きであっても、今までの御恩を覆す裏切り行為だ」
 ということで、誹謗中傷を受ける可能性があるということになるだろう。
 要するに、
「封建的な考えだ」
 ということになるだろう。
 日本における
「方形制度」
 というのは、
「土地というものを中心として、それを所有する領民の生活の糧であるその土地を、領主が守るということで、領民は領主が戦を起こす時には、武器を持ってかけつける」
 というのが、本来の意味の封建制度であった。
 それを、
「御恩と奉公」
 という言葉で示されるのであった。
 つまり、
「会社での給料」
 というものを会社が保障してくれるので、その分、会社のために働くということである。
 だから、
「途中で辞める」
 というのは、
「不忠に当たる」
 という認識になるのだろう。
 だから、昔は、上司の命令には絶対という厳しさがあり、年功序列ということで、
「目上の人というのは、年長者」
 ということになるのであった。
 これも、
「家を継ぐのは長男」
 というような、
「家長制度」
 というものからきているのかも知れない。
 そんな社会情勢であったものが、
「バブルの崩壊」
 というもので、それがままならなくなり、それまでの、神話と言われたものがことごとく崩れていったのだ。
「終身雇用」
「年功序列」
「銀行不敗神話」
 というものが、すべて、バブル崩壊とともに、崩れていったといってもいいだろう。
 ここが、戦後最大の社会変革が行われたところであり、さらに、それ以降、社会が安定しないのか、それまで、
「当たり前とされたことが、ことごとく、間違いだった」
 と言われるようになる時代を迎えるのであった。

                 パソコン教室

 バブルが崩壊したことで、
「リストラの嵐」
 というものが吹き荒れていた。
 そのリストラと同じように、
「このままでは、会社が倒産してしまう」
 ということから、社会情勢としては、
「会社の合併」
 というものが多くなってきた。
「倒産してしまうと、社員が路頭に迷い、失業者があふれる」
 ということで、
「どこか、大きな会社に助けを求めることで、会社の存続を図る」
 という、いわゆる、
「大きな会社からの、吸収合併」
 というものであった。
 もちろん、その理由が、
「こんなきれいごと」
 というものだとは限らないが、結果としては、そういうことになる、
「吸収合併」
 ということになると、吸収される側の経営陣は、基本的には一心ということになるだろう。
 社員も、吸収される側というのは、
「どんな目に逢うか分からない」
 ということで、吸収する側との差別化は歴然であろう。
 しかも、吸収する側の会社の社員とすれば、
「本当であれば、うちの会社は、わずかながらでも、利益を出しているのだから、給料が上がっておいいはずなのに、余計な会社を引き受けたことで、自分たちの今までの努力を、吸収された側の社員の給料に充てられるというのは、やってられない」
 と思うことだろう。
 一つの会社にはなったが、その中で、それぞれに、相手の会社の社員を恨むということになるのは、必定ということであろう。
 実際に、吸収合併というのは頻繁に起こっていて、特に銀行や、元財閥系などの会社では、吸収された立場もわきまえず、
「旧社名は残したい」
 ということと、
「世間に、どこが合併したのかが分からないと混乱する」
 ということからか、
「やたら長い会社名をつけている」
 ということろがあった。
 ひどいところは、
「5つくらいの会社名がつながっていて、手続きなどで、偉い大変だ」
 ということが、笑い話になったりした。
 それが、今から思えば、
「バブル崩壊」
 においての風物詩と言ってもいいくらいだろう。
 ただ、この頃から、
「残業代が出せない」
 ということで、
「残った社員に、あまり無理をさせるというのも、限界がある」
 ということであった。
 だから、次に考えられたのが、
「非正規雇用」
 というものであった。
 それにより、
「安い給料で、それなりの仕事をさせられる」
 ということであった。
 その非正規雇用ということで、今では当たり前のようになったが、
「派遣社員」
 という体制ができてきたのだった。
「ずっと昔からある」
 と思っている人も多いだろうが、実際には、
「世紀末から増えてきた」
 ということであり、
「ここ、四半世紀前くらいからだ」
 ということであった。
 だから、時期的には、
「バブル崩壊から、社会情勢が変わっていくその間に生まれたものだ」
 ということになるのであった。
 それと同時に、最優先で進められたのが、
「コンピュータの開発と普及」
 ということであろう。
 社員が手でやっていたものを、コンピュータが処理をして、さらには、ネットワークをつなぐことで、
「少ない社員で、対応ができる」
 ということであったり、
「パソコンさえ使えれば、正社員でなくともできる」
 ということからの普及であった。
 実際に、派遣社員が増えてきた時期くらいから、
「会社の社員のデスク一つに、一台のパソコンということで、
「一人一台」
 ということになってきた。
 だから、営業社員であても、
「パソコンができないと使えない社員だ」
 ということになるのだ。
 そういう意味で、
「中高年の社員」
 というのは、リストラ対象になったりした。
 実際に、それまでの、
「年功序列」
 ということから、
「中高年の人の給料は高い」
 ということで、
「高い給料一人分で、パソコンができる派遣社員を二人くらいは雇えるのではないか?」
 ということになれば、
「派遣社員中心の仕事」
 というのが、当たり前になってくるというものだった。
 そういう意味で、派遣社員というのは、時間から時間ということもあり、時間には余裕があった。
 中には、
「バブル崩壊」
 というものを教訓として、
「いろいろな手に職を持っている方がこれからは重宝される」
 と思うようになった人が多いだろう。
 だから、その頃は、
「サブカルチャー」
 というものが叫ばれるようになり、
「趣味」
 であったり、
「実用面」
 での、様々な教育が受けられるカルチャーセンターっが増えたのだ。
 やはり一番の人気は、普及し始めている、
「パソコン教室」
 であろう。
 そして、その次には、
「英会話教室」
 これは、実際には、いつの時代にも人気であり、昭和の時代でも、
「出世するためには、海外赴任というのが、不可欠だ」
 と言われていた。
 だから、
「最低でも英語は話せないといけない」
作品名:最後の天使 作家名:森本晃次