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最後の天使

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「兄貴が家を継ぐはずだったものを勝手に教師になるということで家を出ていったんですよ。こっちは次男だけの俺の下には誰もいないということで、いやでも家を継ぐことになったんですよ」
 という。
 弟は続けた。
「最初は嫌だったけど、やっているうちに楽しくなってきた時、兄貴が、先生を辞めて。戻ってくるということになったので。俺はお払い箱になると思ったので、親父に直訴したんですよ。兄貴が帰ってくれば、兄に継がせるのかってね」
 とだんだんと声のトーンが高くなってきた。
「それで?」
 と尋ねると、
「この家はお前が継いだんだといわれ、一安心でしたね。でも、家に居座られるのも嫌だと思って、なるべく兄貴が嫌がることをして、自分から出ていくように仕向けたんですよね」
 と弟は言った。
 そこには、あざとさというものが見えていて、
「これが俺のやり方なんですよ」
 と平気な顔をするのだった。
「この男、自分が正しいと思うと、突っ走る性格なんだな」
 ということと、
「意外と勘違い野郎なのかも知れないな」
 ということで、
「これだけの性格であれば、兄も影響を受けていないわけはない」
 ということで、
「女づきあいというものも、こんな根性から生まれたとすれば、分からなくもない」
 と感じたのであった。
「だから、この兄弟は、自分が自分がということで、ある意味、商売には向いているのかも知れない」
 と考えた。
 特に、弟を見ると、
「人と同じではいやだ」
 という性格が見え隠れしているようで、それが、兄弟を不仲にしたのではないかと思うのだった。
「兄弟でライバルか?」
 という思いが強く。
「死んでしまった兄の方は、今さら調べるということはできないので、他の人の話であったり、ウワサでしか判断できない」
 と思った。
 しかし、人の話ばかりをうのみにはできないということで、
「どこまで判断するかということが問題だ」
 と考えるようになったといってもいいだろう。
「そういう意味で、この兄弟のことをいろいろ聞いてまわる必要がある」
 と、秋元刑事は考え、自分独自の捜査をするのであった。
 秋元刑事も、
「まだ若手」
 といってもいいのだが、それでも、彼には一つの特技というものがある。
 警察という団体の中では、
「彼のようなやり方はふさわしくない」
 といってもいいのだろうが、
「捜査本部の、本部賞である、門倉警部」
 が彼のことを買っているのだ。
 もちろん、桜井警部補も敬意を表しているが、一番は、
「門倉警部の肝いり」
 ということであった。
 そもそも、門倉警部は、
「自分の現役時代のようだ」
 と思っている。
 というのは、
「俺には、他の人にはない勘というのがあるのだ」
 ということであった。
 現役時代には、まだ、昭和の色が残っていた時代だったので、
「勘で捜査をする」
 という刑事も多かった。
 だが、その中でも門倉希警部は、素晴らしい勘を持っていて、ノンキャリアでありながら、
「管理官並みの権限を与えられている」
 といってもいい、
 方面本部長が、
「門倉警部を信頼していて、管理官も、なかなか逆らうことができない」
 ということで、門倉警部補は、一目置かれていた。
「秋元刑事が、昇進することには、自分も方面本部長になれるかな?」
 と門倉警部は考えたが、
「それだけ、今の方面本部長には感謝している」
 ということであろう。
 秋元刑事の
「今回に限っての勘」
 というのは、
「弟ということか、兄弟関係が何かカギを握っている気がするんだけどな」
 ということで、兄弟の関係をいろいろ調べていたのだった。
 兄は、地元の中学校を卒業すると、都会の高校に入学した。
 最初こそ、通学していたが、さすがに片道2時間以上かかるということで、しかも、2年生になった時には、
「近くを新幹線が通る」
 ということで、通うための在来線の本数がかなり減ったことで、
「いよいよ通学が困難になってきた」
 ということであった。
 だから、学生寮に入って通っていたのだが、それは、本人にとって、ありがたいことだった。
 実際に、
「家を継ぐ」
 ということで、親からの、
「帝王学」
 というものにうんざりしていた。
 実際には、そこまでの帝王学ではないのだが、
「縛られる」
 ということが、虫唾が走るくらいにいやだったということから、
「家を出られただけでもよかった」
 と、
「都会の学校に通った」
 ということが正解だったと思ったのだ。
 高校を卒業すれば、家に帰る気もないので、都心部の大学を受けることにした。
 この頃は、
「教師になりたい」
 という思いまではなかったが、入試の関係で、通学するのは、都心部の、
「教育大学」
 ということになったのだ。
「滑り止め」
 ということで、家の近くの大学も受験し、合格はしたが、それでも、
「田舎が嫌だ」
 ということで、
「教育大学にいくしかない」
 ということになった。
 それでも、
「教師は嫌いではない」
 と思っていたが、その時、懸念していたのが、
「女子高生に手を出すことになったらいやだな」
 という思いだった。
 だからなのか、それまで彼女がいないということで、どうしても、
「制服を着た女の子」
 というものにm異常な感情を抱いていた。
 実際に、
「自分の欲望が、制服の女の子に向いている」
 という意識があったようで、
「このままではまずい」
 と考えていたようだ。
 そのためか、
「大学で知り合ったやつ」
 に相談すると、
「なんだ、そんなことか」
 というではないか?
「何かいい方法があるのか?」
 と聞くと、
「そんなの、風俗に行けばいいじゃないか。今の風俗は、コンセプトごとに店がしのぎを削っているので、制服系の店だってたくさんあるさ」
 というではないか。
 確かに、この都心部には、
「ソープ街」
 であったり、
「風俗街」
 といわれるところがたくさんある。
 なるほど、ネットで検索をすれば、それぞれのジャンルで、かなり紹介されている。
 それを見ると、
「友達のいうことも分からなくもない」
 ということであった。
「ムラムラすれば、風俗に行けばいいんだ」
 ということで、少し気が楽になった。
 その、
「悪友:
 が、最初に風俗に連れて行ってくれたことで、めでたく、
「筆おろし」
 というものができたのだ。
 もちろん、
「制服系」
 の店であり、実際に、そこに通い続けることで、それまでの異常性癖が、少し和らいsできたということだったのだ。
「風俗というものがこんなにもいいとは」
 と感じたのだが、それはあくまでも、
「行為」
 というものに対してではなかった。
「疑似恋愛」
 というシチュエーションが、
「まるでゲーム」
 と思え。しかも、
「癒しを与えてくれる」
 ということで、
「お金がかかるが、それだけのことはある」
 と思ったのだ。
「実際に、何もせずに、その日は話だけで終わった」
 ということもあり、それが、白石にとって、ちょうどよかったのであった。
 それに比べて弟は、誰に聞いても、
「堅物でまじめな奴だ」
 ということになるのだった。
作品名:最後の天使 作家名:森本晃次