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最後の天使

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「皆さんを帰すわけにはいきません」
 ということで、一人ずつ事情聴取されるということになった。
 ただ、スタッフ側はm実際に、断末魔の状態を見ているわけではないので、話を聞くのは、
「講義室に残っていた人」
 ということであった。
 そこにいたのは、全員が女性で、男性は帰ったのである。
「男性がいなかったのは、私たち女性が、ここで井戸端会議をするようになったので、気を遣ってくれたからではないですか?」
 というのであった、
 一人がそういうと、他の人も同じことを言っていた。こんなことを示し合わす必要もないだろうし、そもそも、そんな時間もない、その話に信憑性はあるだろう。
 どうしても、警察が聞きたいところは、
「死んだ時の様子」
 ということで、その話をすると、
「うーん、苦しみながら入ってきて、花瓶に入っていた水を飲むと、今度は苦しみだしたということですね?」
 ということであった。
「何か不思議な行動ですね」
 と刑事二人が、不思議に感じていると、今度は鑑識が、やってきて、聞き込みのひとりが終わったところで、
「今の時点ということですが、考えられることをご報告します」
 ということであった。
「死因は、毒物による中毒死、あるいは、アナフィラキシーショックによるショック死ではないかと思われます」
 という。
「毒物?」
 と刑事が聞くと、
「ええ、ハッキリしたことは分かりませんが、どうやら、そこに落ちている花は、スズランではないかと思うのですが、もし、被害者が、その水を飲んだとすれば、スズランの毒でのショック死ということになるでしょうね」
 というのであった。
 刑事も、少しびっくりしているようだった。
「スズランというのは、毒なんですか?」
 と聞くと、
「ええ、そうです、スズランというのは猛毒で、活けてある水を飲んだりしただけで、死に至るというものです」
 というのだった。
「さっき、話を聞いていた目撃者の話では、苦しみながら入ってきた被害者が、意識がもうろうとした状態で、この花瓶の水を飲みほしたということだったんだよな」
 ということであった。
「とにかく、解剖してみないと分からないこともあるので、ハッキリとしたことは言えませんが、首筋には、手でかきむしった後があるんですが、これは、きっと、毒が分かっている時に苦しみの中で、もがいたからついたんでしょうが、そのため分かりにくいですが、どうも、首を絞められた扼殺婚のような痕もあるんですよ」
 というではないか?
「じゃあ、誰かに首を絞められた?」
 というと、
「なんとも言えませんが、苦しんで入ってきたということは、何かその可能性があるということになるでしょうね」
 と鑑識がいうのだった。
 その状況を見ながら、その日は、それ以上何も聞けないということで、
「また事情を伺うかも知れませんが、その時はご協力ください」
 ということで、その日はお開きになった。
 さすがに、事件現場ということもあり、その教室が使えるわけもなく、しょうがないので、
「臨時の講義室」
 というものを、早急に手配し、そっちで、講義は行うこととなった。
 ただ、それでも、3日ほどは、
「都合により、3日ほどお休みにします」
 ということで、
「臨時休講」
 ということになったのだ。
「まあ、これも仕方がないことですね」
 ということであったはスタッフが、臨時の講義室を手配したり、会員の対応にと、いろいろ大変だったのは確かだ。
 ただ、
「犯人が、この関係者の中にいるかも知れない」 
 ということは刑事がそれから毎日聞き込みにくることでも、分かり切っていることである。
「これほど、厄介なことはない」
 と、経営陣は、頭を悩ませていることだろう、

                 弟

「警察の捜査も、営業の邪魔になる」
 ということで、経営陣とすれば、
「実に迷惑な話だ」
 と、
「人が死んでいる」
 ということなのに、結局は、自分たちのことしか考えていない。
「これでは仏も報われまい」
 と、警察の捜査員は考えていたのだろうが、聞き込みを続けるうちに、
「殺された男が、実際にはうさん臭い男だった」
 ということが分かってきて、
「死人に鞭打つようなことはしたくない」
 と口では言っているが、これまでの経験から、
「殺された人には、当然のごとく、殺されるだけのわけがある」
 といえるのではないだろうか。
 それを聞き込みをしているうちに、明らかになってくことになるのだが、それは、被害者が自分で思っていたよりも、
「意外とみんなが知っていた」
 ということで、
「誰も言わなかったというだけのことなのだ」
 ということになるのだった。
 ということは、
「まわりは知らない間に、白石講師に対して、怪しいイメージを皆がそれぞれに持っていたのだろう」
 ということであった。
 まわりは、
「知っていながら、知らんぷりをしていた」
 ということは、
「触らぬ神に祟りなし」
 と考えていたのか、それとも、
「あわやくば、自分も同じようなことをしたい」
 ということで、
「その勇気が持てない」
 ということから、
「知らんぷりをして、様子を見ることにするか」
 と思っていたとすれば、
「まわりの人間こそ、卑怯だ」
 といえるだろう。
 まだ、自分からしようという勇気がある方がましだとはいえるが、
「もしそのために殺された」
 ということであれば、
「罰が当たった」
 と言えばいいのか、
「このような最悪の形になってしまうのであれば、さすがにたまったものではない」
 ということである。
 そもそも、今の男性は、
「草食系男子」
 ということが言われるほど、女性に対してあからさまな感情を持っていない。
 いや、そのわりに、
「ストーカー事件」
 などというものが多く発生していることから、
「異性に対しての感情が変わったのだろか?」
 とも考えられるのだ。
 確かに、昔でも、
「気になる女性の後をつけて、家を突き止める」
 などという行為は行われていた。
 しかも、
「何かの罪に問われる」
 というわけでもないので、社会問題ということにもならなかった。
 ただ、家を突き止めておいて、その人を襲うということは結構あり、
「殺人事件」
 であったり、
「暴行事件」
 などということになると、
「警察がやっと動く」
 ということである。
 しかし、警察が動くといっても、殺されてしまっていては、
「警察は何かが起こらないと動かない」
 ということになる。
 それを、
「通り魔殺人」
 のような形でしか言い表せなかったのだ。
 今であれば、
「ストーカー」
 という言葉があり、社会問題になったことで、
「ストーカー規制法」
 というものもできて、
「やっと法律が整備された」
 ということであるが、実際には、それを取り締まる警察側に体制ができるかどうかということであった。
 そこで、
「生活安全課」
 というものができたわけだが、その対応というのは、
「警察ならでは」
 といってもいいかも知れないが、
「警察署によって、その温度差というものは激しい」
 といってもいいだろう。
作品名:最後の天使 作家名:森本晃次