二刀流の行きつく先
「営業の人が、応募原稿を毎度毎度送ってくる人に対して、出版社が、全額を払って、本を出すのは、有名人か、犯罪者しかない」
と言ったということであるが、その言葉を覚えている人からすれば、
「いくら著名な出版社の、名の通った賞であったとしても、どこまで信用できるか分かったものではない」
ということになるだろう。
本当に、
「素晴らしい賞であろうが、秘密にされると、どうしても疑いたくなる」
ということだ。
特に、
「選考に関しての一切の質問には答えられない」
というのは、いかにもうさん臭いと思われる。
ただ。これは、一般的な詮議よいうものは、基本的に、すべて、
「選考に関しては、秘密」
ということだ。
学校に進学するときの、
「入学試験」
であっても、会社に入社の時の、
「入社試験」
であっても、そのことに関しては、答えられないということになっている。
もっとも、そんな規制があるからこそ、毎年のように、どこかで、
「裏口入学」
ということであったりするのであろう。
特に入社試験ともなると、
「コネ入社」
というのが、一般的には、ありだということになっているので。
「不正ではないが、曖昧な線だ」
ということになるだろう。
もっとも、
「コネというものがあるから、会社側も人材確保と、会社取引において、うまくかみ合う」
ということになるのだろう。
これはある意味、裏口入学は別であるが、
「コネ入社」
という方は、
「世の中で必要悪の一つ」
といってもいいのではないだろうか。
ただ、それは、一部の人間が、
「しょうがない」
と考えるのであって、本当であれば、
「そんなの許されるわけはない」
と思っていることだろう。
口では、
「しょうがない」
とは言いながら、心の中の、
「勧善懲悪:
というものが許すわけはないのであろう。
この、
「K出版ミステリー大賞」
というのも、若干他とは違っているというところが目立つのだが、基本的な審査に関してのことは、
「同じだ」
ということになる。
ただ、
「毎回、審査員が違う」
ということがどういう意味にあるのかということを、果たして誰が分かっているというのか。
そもそも、この考え方は、
「社長の一存だ」
という、
「実際には、反対意見はなく、満場一致だった」
ということであるが、これが、
「誰も逆らえないワンマン企業ということになるのだろか?」
というのは、分からない。
分からないということは、
「違う」
ということではないので、
「限りなく怪しい」
ということになるのであろう。
そんな中において、その年の受賞に関しては、いろいろなウワサが飛び交ったのだ。
大人の階段
一番大きなものとしては、いつも言われるが、
「証拠がない」
ということでの、
「受賞作は最初から決まっていて、最後は出来レースだった」
というものである。
実は、この受賞が決まってから、少しして、この作者が、
「俳優としてデビューした」
のであった。
そのタイミングは、確かに、
「受賞からデビューまでに、そんなに時間が掛からなかった」
ということで、
「受賞した本人が、恰好いい」
ということで、
「芸能界がスカウトしたのか?」
ということになるのだろうが、確かに、受賞表彰式で、マスゴミの取材などを受けているところで、発表された記事や、ニュースなどを見て、
「今回の受賞者、結構恰好いいわね」
と、特に、女子高生などから人気があったのだ。
その人気に便乗し、あやかろうというのが、芸能事務所だったのだろう。いつの間にか、
「芸能界デビュー」
していたということだ。
問題は、
「受賞から注目されるまでの時間に比べ、実際にデビューし、ドラマに抜擢されるまで、
「そんなに時間が掛からなかった」
ということだ。
それに、
「せっかく賞を受賞した」
ということなのだから、
「出版社が、そんなに簡単によくタレントになることを許したものだ」
ということになる。
賞を受賞し、
「プロ作家」
ということでデビューが約束され、本来であれば、
「ここからが本当のプロになれるかのいばらの道だ」
ということになるはずなのに、実際には、
「次回作に関しては、そんなに急がない」
ということだったようだ。
いわゆる、
「二足の草鞋」
を履くわけだから、それも仕方がないことなのだろうが、せっかくの、
「新人作家」
を、みすみす芸能界にとられてしまったということになると、厄介だろうと思われた。
しかし、実際には、その作家が次回作を発表すると、その作品は、結構売れたのだった。
しかも、その売れこみとしては、
「新人賞受賞後の満を持して発表した作品」
ということと、
「タレントで俳優の新人作家」
という二つの触れ込みを帯に託すことで、注目を浴びたということであろう。
もし、これが、ただ新人賞を取った作者の次回作だというだけのことであれば、いくら帯に、
「新人賞受賞後の期待の次回作」
とだけ書かれているのでは、
「果たしてここまで売れただろうか?」
ということになる。
実際に、彼は、その後も、作家としてというよりも、タレントとしての道が確約されていたということであった。
実際に、彼が新人賞を取ってから3年くらいが経った頃であった。
小説の発表は毎年一作品くらいであり、そこまではなかったが、
「出れば売れた」
ということであった。
タレント活動も、それなりに忙しい日々を過ごしていたが、年に何度か、深夜ドラマの出演で、相変わらずの人気を博していたのだ。
普通に考えれば、
「これが精いっぱいなのでは?」
ということであった。
そんなにたくさんテレビに出ているのに、毎年1冊でも、本が出さるというのは、すごいものだということである。
一緒に、
「二刀流」
ということで、当時話題になっていた野球選手と比較されるくらいだった。
もっとも、
「スポーツ選手」
と、
「芸能界」
とでは、比較対象が違っているので、それは、どちらかというと、
「ルックスの面で」
ということだっただろう。
彼が作家になってからの評価も、
「相変わらず」
ということだった。
年齢的には、
「大賞を取った時は、まだ未成年だった」
この大賞は、比較的今まで若年層が受賞していたので、そこまで注目されなかったが、未成年というのは、それでもすごいことだった。
ミステリーというと、以前から漫画などで、
「中学生や高校生が探偵として事件を解決する」
というような話が結構あった。
それが、実際に注目を浴びているからか、
「K出版社ミステリー大賞」
というのは、
「毎年若年層が強い」
といわれていた 。
作風に関しても、
「子供が探偵として事件を解決する」
というところが注目される・
とも言われていたが、それは、数年前までであって、ここ最近は、それが少し傾向として変わってきたのだ。
それが前述の、
「毎年、審査員が変わる」
ということだった。
さすがに、賞の運営としても、