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闇が作り出した幻影

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 ということで整備され、軍事物資の輸送に貢献していたことは、間違いないだろう。
 なんといっても、時代は、
「富国強兵」
「殖産興業」
 というスローガンで動いていた。
 その理由としては、
「江戸時代末期に、開国と同時に結ばされた諸外国との、不平等条約の撤廃が目的だったのだ」
 日本という国が、先進国として認められ、諸外国と対等だと思わせれば、その時点で、不平等条約を、対等条約として改訂することになるということであった。
 だから、欧米列強に倣い、
「議会や内閣の制定」
 さらには、
「国防を自国で担えるだけの軍隊を作る」
 ということでの、
「富国強兵策」
 というものが、重要だということになり、
「大日本帝国というものが、立憲君主の国」
 という国家方針が固まったといってもいいだろう。
 そのためには、当然のこととして、インフラの整備が必要であり、それが、
「鉄道網だ」
 ということになる。
 だから明治初期に、それぞれの地域で、
「私鉄」
 として開業した鉄道会社を、国が接収するかたちで、国営化したということだ。
 だから、
「日本国有鉄道」
 ということでの、
「国鉄ができあがった」
 ということになるのだった。
 それも、戦争が敗戦ということで終わり、
「大日本帝国」
 は、崩壊し、占領軍が統治する中で、日本は民主化され、今に至っているというわけだ。
 しかし。その間に国鉄は、
「累積赤字」
 というものを抱え。結局は、民営化されてしまった。
 時代は、国の借金から、国営の産業を、民営化するという舵を切っていたので、
「国鉄も、しかたがなかった」
 というよりも、
「国鉄こそ、その一番の問題点だった」
 ということになるのであった。
 そんな鉄道会社の運営であったが、
「国鉄の民営化」
 ということで、最初は、
「いろいろな業種に手を出して、企業として活性化させる」
 ということが、
「民営化の第一歩」
 ということであっただろう。
 時代は、昭和の末期から、平成に入った頃ということだったので、ちょうど、
「バブル経済」
 というものの真っただ中ということであった、
 しかし、実際には、水面下で、その陰りが見え始めているという時期だったこともあって、
「今からでは、出遅れ」
 といってもいいだろう。
 ただ、逆にいえば、
「まだ入り始めということで、ドップリ浸かっていない」
 ということがせめてもの救いだったのだろうが、それでも、国鉄時代の赤字も手伝ってから、
「バブル崩壊のあおり」
 を受けたといってもいいだろう。
 国鉄時代というものが、どれほどひどかったのかというのを象徴しているようだが、実際に、民営化したといっても、頭の中は、まだまだ、
「親方日の丸だった」
 そういう意味で、利用客に対しての対応が最悪だったことからも分かるというもので、要するに、
「国鉄時代と、民営化してからの、悪いところだけが、表に出てきた」
 ということになる。
 つまりは、
「親方日の丸」
 のような経営をしながら、口では、
「営利を目的とする」
 ということで、サービス体制は整っていながら、やっていることは、国鉄と同じでは、誰が、信じるというのか、
「事故や故障しても、私鉄であれば、すぐに復旧を考えるが、国鉄時代のように、自分たちのやり方を正しいとして、改良しようとしない」
 つまりは、
「後でいいにも関わらず、報告最優先ということで、なかなか電車を動かそうとはしない」
 私鉄であれば、朝のラッシュ時に人身事故が起これば、昼過ぎには、正常運転になっていることだろう。
 そのために、
「列車の数本は運休にさせたりする」
 からなのだが、国鉄は同じように、運休させても、同じこと、
 そもそもの、運転再開が、昼過ぎになり、結局混乱は、夕方の帰宅ラッシュに巻き込まれることで、結局は、
「終日、ダイアが正常になるということはない」
 というのが国鉄だということだ。
 そのくせ、
「サービス優先」
 ということで、そのサービスも、大したものではない。
 あくまでも、自分たちの都合の上に成り立ったサービスということで、だからこそ、
「親方日の丸だ」
 と言われるのであった。
 それを考えると、
「私鉄の方がよほどいい」
 と言われるのだろうが、このF県と呼ばれるところの私鉄は、
「独占企業」
 であり、昔でいえば、網元のようなところなので、
「自治体」
 それどころか。
「国家」
 ですら、簡単に手を出せるところではないというところであった。
 それだけに、
「鉄道会社の腐敗」
 というものはひどいものだといわれるのであった。
 そんな街において、駅前で
「唯一といってもいいくらいの繁華街だという有名チェー店のカフェにおいて、ひそひそ話をしている」
 というその人たちは、まわりからは、まったく意識される存在ではなかった。
 確かに、賑やかなので、
「そんな人をいちいち気にするほど皆暇ではない」
 ということであったが、それだけ、
「利用客にいろいろな客がいる」
 ということであった。
 もちろん、数人でガヤガヤやっている人もいる。
 そして、カウンター席には、パソコンやスマホを使うためということで、電源が設置されていて、さらには、
「WIFI」
 という、
「無線のネット」
 が張り巡らされているので、
「この場所で作業する」
 ということを、店側が公然と認めているというものである。
 それでも、さすがに、満席で、待っている人がいるような時間帯であれば、
「遠慮する」
 というのが当たり前というものであり、確かに、同じ人が長くいるということはなかったのだ。
 ただ、実際には、
「ひそひそ話をしている人のすぐそばで、パソコンを広げて、何かをしている人はいた」
 その人物は、時々この店に姿を現す人で、年齢的には、すでに、
「定年退職しているのではないか?」
 と思うくらいの老人であった。
 髪は、まだかなりあったは、すっかりと白くなっていて、前は、
「ゴマ塩」
 と言われていたが、最近では、
「雪だるま」
 と言われるくらいになっていた。
 といっても、
「ディスられている」
 というわけではない。
「敬意を表して」
 そういわれてるのであった。
 そもそも、これくらいの年になれば、
「ほとんど髪の毛はない」
 といってもいいくらいだが、それでも、髪の毛があるというだけで、インテリ風に見えるだけでも、得だといえるのではないだろうか?
 実際に、ひそひそ話をしている連中と、一人パソコンに向かっている人とでは、ほとんど距離はないのだが、この喧騒とした雰囲気の中では、相当な距離のように思えるのだ。
「店内の電気を一度すべて消して、この人たちだけにスポットライトを浮かべてみたい」
 と、この二人に注目をした人がいれば、最初に考えることではないか?
 と思うのだった。
 それこそ、
「舞台演劇を見ているようだ」
 と感じるのだった。
 ひそひそ話をしている連中は、それなりに、まわりに聞こえないように注意をしているようだが、そのわりには、その注意力というのは、かなり散漫なようである。
 かと思えば、
作品名:闇が作り出した幻影 作家名:森本晃次