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闇が作り出した幻影

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 ということになるだろう。
 だから、実際に、
「一定期間並べる」
 などということはありえないのだ。
 しかし、お金を出した本を出した作者とすれば、お金を出した目的は、
「その一定期間の間でも本屋に並べば、誰かが見てくれて、プロとしての道が開けるかもしれない」
 という、実に甘い考えからであった。
 だが、これもありえない。
 それでも、実際に、何百万という金を払って、本を出す人がいるという。
 しかも、その大半は、
「借金をしてでも」
 という人であり、
「尋常では考えられない」
 といってもいいだろう。
 だから、作者も必死で、
「知り合いに頼んで。本屋に並んでいるかどうか調べてもらった」
 という人が、
「結局どこにもなかった」
 として、訴え出たのだ。
 そうすると、他にもたくさんの作者が、相談に来ていたようで、それを見た弁護士が、
「訴えましょう」
 ということになったのだ。
 すると、出るわ出るわ。
 たくさんの人が、
「訴える」
 ということになり、その会社は、数人から訴えられるということになった。
 そうなると、他の出版社も訴える人が出てきて、その2年前には、
「新しいやり方」
 ということで、
「マスゴミやメディア」
 に取り上げられ、トレンド入りしていたくらいの脚光が、今度は、
「詐欺商法」
 ということで、騒がれるようになるというのは、実に皮肉なことであった。
 いや、
「こういう企業こそ、最初から怪しかった」
 ということかも知れない。
「甘い言葉には裏がある」
 というのは、まさにこのことで、
「これが、出版業界の限界だ」
 ということになったのだ。
 だから、せっかく、
「お金がかからない趣味」
 ということで、バブル崩壊後に、あれだけ脚光を浴び、
「アマチュア作家」
 という人たちが、うようよと増えてきたということだったが、この時の事件で、あっという間に、本を書く人が減ってしまった。
 つまりは、
「にわかファン」
 と同じだということである。
 そして、このことと、
「紙媒体の限界」
 という時代が同時に起こったことで、
「小説界だけではなく、音楽業界」
 などからも、
「媒体による販売」
 というのが、徐々に減ってきた。
 つまりは、
「ネット配信」
 が主流になってきたからだ。
 だから、街では、
「本屋」
 であったり、
「CD屋」
 というものがどんどん減っていく。
 そのかわり、ネット配信にての販売が主流になってくるのだ。
 ネット配信にて、
「月額いくら」
 ということで、
「見放題」
「聞き放題」
 ということでの配信が主流となる。
 それが、スマホの普及ということに、一役買うということであった。
 そんな時代に出てきたのが、
「投稿サイト」
 というものであった。
 もちろん、有料先もあれば、無料のところもある。
 さすがに、
「自費出版業界」
 で懲りた人は、
「もう、金がかかる」
 ということに手を出す気はない。
 という人が多く、
「無料投稿サイト」
 というところに流れるのであった。
 ここでは、
「作品を読むのも、作品を発表するのもすべてただ」
 ということで、サービスとしては、SNS機能をつけ、レビューや感想などを書いたりして、コミュニケーションが図れるということである。
 作者とすれば、
「これを利用すれば、優良出版社などが発見してくれて、契約してくれるかも知れない」
 という期待もある。
 もちろん、一度懲りているので、淡い期待ということは分かっているが、それでも、無料でできるのだからと考えれば、
「無料投稿サイト」
 というものを
「利用しない手はない」
 と考えるのは当たり前だということになるだろう。
 それを考えると、
「このあたりが大きな時代の転換点」
 ということもいえるだろう。
 さらには、
「詐欺には気を付けなければいけない」
 ということで、最初から、
「お金が発生する」
 というリスクには手を出すのは怖いということになる。
 ということで、
「無料投稿サイト」
 というのは、実にタイムリーであった。
 しかも、無料ということで、
「大きくは望まないが、しょせん無料」
 ということだ。
 さらにいえることとして、
「時代が大きく変わった」
 ということが大きいといえるのではないだろうか?
 なぜなら、それまでは、
「紙媒体が主流で、ネットでの本の販売というのはあったが、ネットにての配信というのはなかったことで、まだまだ紙媒体は健在」
 ということであったが、それまでのネットでの販売によって、街での紙媒体を販売する本屋自体がなくなっていった時点で、
「下り坂だ」
 ということになる。
 ちょうど、その頃が、
「自費出版社系」
 というものが流行った時期だった。
 それこそ、
「最後の悪あがき」
 というものだったといえるのではないだろうか?
 そんなことを考えると、未了投稿サイトが出てきたのは、時代の流れを考えると、必然だったといえるのではないだろうか?
 そうなると、そんな無料投稿サイトへ登録する人も増えてきた。
 以前の
「自費出版社系」
 というものとの一番の違いは、
「会員が書いている作品を、他の人が見れる」
 ということであった。
 それによって、
「今、どんなジャンルが流行っているのか?」
 であったり、
「作家の年齢層としては、いくつくらいの人が多いのか?」
 などということが分かる。
 もちろん、年齢を非公開にしている人もいるが、内容を読んだり、ジャンルによって、
「大体の年齢層」
 というものが分かってくるというものであった。
 だから、以前のような、
「閉ざされた世界」
 ということではない。
 そもそも、それまでは、
「本を出して、なるべくたくさんの人に見てもらいたい」
 というのが目標であっただけに、
「たくさんの人に見てもらえる」
 というところでは、ありがたい。
 しかも、そこでレビューを書いてもらったり、感想ももらえる可能性があるとなると、がぜんやる気が出てくるというものであろう。
 しかも、たくさんの人の目に留まるということは、
「作家になるという夢を捨てなくてもいい」
 ということでもあり、それを無料でできるというのは、実に魅力的なことだといえるのではないだろうか?
 それを考えると、
「無料投稿サイト」
 というのは、悪いことはない。
 少なくとも、投稿サイトで活動している間は、お金がかからないので、その時点で、
「詐欺ではない」
 ということだ。
 だから、一時期、会員も増えて、若い人たちが中心になって、サイトを盛り上げていたのだろう。
 若い人たちだという理由は、ジャンルが、
「異世界ファンタジー」
 というものに特化したサイトが、最大の会員数を誇っていて、なんと作品数の8割近くが、
「異世界ファンタジー」
 と呼ばれるジャンルの作品だったのだ。
 もちろん、
「そのジャンルを書いているからと言って、若い人だとは限らないし」
 かといって
「他のジャンルを書いているからと言って、若い人ではない」
 とも言えないだろう。
作品名:闇が作り出した幻影 作家名:森本晃次