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時間差の悲劇

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 この考えを持つのは。早い方がいい。
 少しでも遅れると、お互いに離れていくことになる」
 というわけで、特に、お互いの考え方が実直で、それぞれが、時系列に対して、竺仙というものを描いているとすれば、その考え方は、
「減算法になる」
 という考えを、二宮は持っていた。
 これは、どちらかというと、
「女性側の考え方ではないか?」
 と思うのだ。
 これはあくまでも、
「すべての女性が」
 ということではない。
 そんなことを言ってしまうと、
「女性蔑視だ」
 と言われかねないので、あくまでも、
「個人的な考え」
 というだけのことなのだが、それもあくまでも、
「考え方」
 としていうだけのことである。
 そして、自分が考える女性というのは、まず、
「自分の中で伏線を敷こう」
 と考えるのではないか?
 と思うのだ。
 つまり、
「自分に後からでも、正当性がある」
 と思わせるには、本当は、
「同じ時間、同じものを見ている必要がある」
 ということなのだろうが、
「男女間」
 という問題において、女性ということであれば、
「どうしても。自分が先に進んでいて、主導権を握っていないと追いていかれてしまう」
 という考えになるということである。
 ただ、この場合にも、デメリットというものがあり、それが、
「後ろが見えない」
 ということで、
「追手の姿が確認できない」
 ということになる。
 つまりは、
「追われる方は、いくら先に進んでいるといっても、後続が見えないことで不安になる」
 ということだ。
 スポーツのリーグ戦などでは、よく言われることとして、
「一番リーグ戦を争う上で有利なのは、一位に肉薄している二位だ」
 ということであった。
 一位になると、どうしても後ろが気になるが、トップである以上。後ろを気にして後ろを見ると、その瞬間抜かれてしまうかも知れないし、後ろを向いた瞬間に、ひっくり返って、そのまま、びりになってしまう可能性がある」
 ということである。
 不安がどんどん募ってきて、余計な気を使わないといけなくなるわけで、
「それこそ、最後の瞬間、余力を残していた相手に、最後で一気に抜かれてしまうかも知れない」
 ということになる。
 もっとも、
「後ろを気にするくらいの余裕」
 であったり、
「後ろを感じる直観というものを持つ」
 というくらいの力がないと、そもそも、
「優勝するだけの力がない」
 といってもいいかも知れない。
 しかし、女性というのは、
「不安が募ってくると、抑えが利かない」
 ということから、
「優勝というものが、目の前に見えている状態にまで、相手にこちらがどこにいるか分からない状態にしておかないと気が済まない」
 というくらいなのだろう。
 だから、男女間で、何かあった時、男性の方では、
「もし、何か不安があったりすれば、相手が必ず言ってくれる」
 と感じるのが男性というものであり、女性とすれば、
「こっちが不安に感じているのだから、男性が気を遣って声をかけてくれるのが当たり前だ」
 ということで、
「お互いに、気を遣ってしかるべき」
 と考えているくせに、結局は、他力本願になるのであった。
 だから、結果としてこじれた時、男性は女性に対して、
「こっちが気を遣って何も言わないでいると、相手は勝手に自分だけで先に行ってしまっていて、本来であれば、相談すべき状況で、すでに腹は決まっている」
 ということになるのだ。
 男性側とすれば、
「まさか」
 と思うだろう。
 そして、
「話をしてくれないと、分かるはずないじゃないか」
 と言って、勝手に自分で結論を決めてしまったことに怒り心頭になることだろう。
 しかし、女性としては、
「そんなことも分からないなんて」
 ということになるのだが、それは、普段であればいいのだが、
「こっちは苦しんでいるのに、まるで見て見ぬふりをされた」
 としか思わないのだ。
 もちろん、男性側も、
「まったくわからなかった」
 というわけではないだろう。
 もしそれを言ってしまうと、
「最初から無理な夫婦だったんだ」
 ということを自らが認めることになり、結局。
「離婚もやむなし」
 という結論に至るといってもいいだろう。
 それを認めてしまうと、こちらが出遅れている分、
「取り返しがつかないことになる」
 ということである。
 要するに、
「最初からの、この件に関しては、スタートラインが違っているのだ」
 ということで、奥さんとすれば、
「悩んでいる自分に気づいてくれない旦那はいらない」
 ということになるのだろう。
 離婚の時、男性がいう言葉として、
「女というのは、ずっと黙っていて、不満を口にしたその瞬間には、すでに、腹は決まっているということなのだろう」
 ということであった。
 男性は、最初に奥さんから不満をぶちまけられた時、
「何を言っているんだ?」
 という気持ちになると同時に、
「ここがスタートラインだ」
 と思い、
「自分の隣で、スタートの合図を待っている」
 と思っている。
 しかし、実際には、
「奥さんは、すでに、ゴール寸前にいて、すでに腹は決まった状態で、あとはいかにしてゴールテープを切るか?」
 というだけのことである。
 それが、彼女にとって、
「いかに自分が有利に離婚できるか?」
 ということを、すでに冷静になった頭で考えるわけで、しかも、今旦那が通っている道というのは、
「かつて自分が進んできた道」
 ということで、
「勝手は分かっている」
 ということだ。
 どれほど圧倒的に有利なのかということになるだろう。
 しかし、男性側は、そんなところまで行っているとは思っていないので。
「今の自分と同じところを歩んでいるはずなので、気持ちはわかるはずだ」
 ということで、
「今の自分の悩みを真摯に受け止めて、その気持ちを誠意をもってぶつければ、きっとわかってくれる」
 と考えるだろう。
 だから、奥さんに対しての説得として、まずは、子供がいる場合は、
「子供の将来を考えてみろ」
 ということから始まる。
 そして、次には、
「情に訴える」
 ということで、
「二人が楽しかった時のことを思い出してごらん」
 ということで、とっくに通り過ぎてしまったことを、今更のように思い出させようとするのだ。
 なぜなら、その時、焦って旦那が考えているのは、
「目の前の奥さんが、まるでオニババのように見えるからで、それを感じたくないという思いから、付き合い始めた時の、幸せだった時期を、走馬灯のように思い起こさせることが大切だ」
 ということになるのだ。
「二宮と、香織の間」
 には、そんなことはなかった。
 にも拘わらず、二宮は、今そのことを考えている。
「どうしてなんだろうな?」
 と考えると、
「もし、あのまま結婚というゴールテープを切っていれば、最終的に、離婚することになった」
 ということを感じているからだろうか?
 という思いであった。
 二宮と、香織は、
「あのまま行けば、幸せな結婚」
 というものができたはずであった。
 しかし、それができなかったというのは、
「二人の気持ち」
作品名:時間差の悲劇 作家名:森本晃次