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交わる平行線

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 ということが当たり前の時代だった。
 つまり、
「仕事をすれば、給料がもらえる」
 ということが当たり前の今の時代に、
「命がけで働いて、与える土地がない」
 ということで、給料がもらえないとなれば、その会社は、倒産の運命まっしぐらということになるだろう。
 当然、不渡りを出して、銀行などは取引停止ということで、その時点で、会社は終わりということになる。
 しかし、昔は、
「倒幕」
 というものを行わなければ、幕府は倒れない。それが、今でいえば選挙というもので、昔の武士としても、人気もなく、
「頼りない主君」
 と思われれば、誰がそんなところに味方をするというのか?
 ということであった。
 論功行賞で土地がもらえないということになれば、
「倒幕する」
 ということにしかならないだろう。
 鎌倉幕府の滅亡は、
「外敵である、モンゴル軍に攻められたからだ」
 といってもいいことだろう。
 この事件において、
「いかに事件を隠すか?」
 というのが問題であった。
 今回の事件というのは、
「連続婦女暴行事件」
 というのが、その根底にあった。
 その人間を、
「いかに助けるか?」
 ということが、問題であった。
 そもそも、婦女暴行事件において、
「暴行はされるが、殺されはしていない」
 という事件ばかりだった。
 本当であれば、
「殺してこそ安心」
 というもので、
「被害者の口を塞ぐ」
 というのが、常套手段であろう。
 しかし、今回は、殺された人がいない。
 もちろん、殺されないに越したことはないわけで、殺されてしまうということになると、犯人にとって、どのような重い刑罰が下されるか分からないというものである。
 警察の調べの中で、今回の犯人像として、
「まだ未成年ではないか?」
 ということであった。
 相手が、
「女子高生」
 ということもあり、考えられるパターンとして、
「受験勉強に疲れたか何か」
 というのが、動機ではないか?
 ということであった。
 最近では、法律が変わり、成人というと、
「今までの20歳から、18歳に引き下げられた」
 ということで、その年齢より下であれば、
「未成年」
 ということになった。
 ただ、
「婦女暴行関係の刑についても、年齢が引き下がっている」
 ということで、
「未成年だから」
 ということで、何とかなるという時代でもない。
 そもそも、
「罪が発覚してしまうと、婦女暴行ということになれば、すでに人生が終わった」
 といっても、無理もないというくらいであろう。
 そこで、
「何とか隠し通せないだろうか?」
 ということを
「企んだ人がいた」
 というのが、今回の事件の顛末のようであった。
 そのために、
「何とか、隠せるところは隠してしまおう」
 ということだったのだが、今まではそれでよかった。
 しかし、今回は事情が変わったことで、
「何かを工作しないと、もうどうしようもない」
 ということになったのだった。
 実際に、犯人というのは、まだまだ若く、確かに未成年ということであった。
 だから、犯人側からすれば、何とかごまかそうと思えばごまかせた。それは、
「金にものを言わせる」
 ということだったのだ。
 そのあたりまでは、警察の中でも気づいている人がいた。
 その線で捜査を独自にしていたのだ。
 K警察というのは、口では、
「組織捜査なんだから、勝手は許さん」
 とは言っていたが、以前の捜査員が、
「勘で捜査をする人だった」
 ということから、実績が上がっていることから、上層部も黙るようになった。そう、言わずと知れた秋元刑事のことであった。
 それを今、引き継いだ形になった刑事がいるのだが、それが、
「佐久間刑事」
 だったのだ。
 佐久間刑事は、
「こうと思えば突っ走る」
 ということで、その傾向は、秋元刑事よりも強いかもしれない。
 だから、佐久間刑事は、自分の理念の元に捜査した。しかし、彼は、独自には動くが、
「勘で推理する」
 というタイプではなく、あくまでも、
「証拠や固めて、冷静に推理を組み立てる」
 というタイプで、ただ、その証拠は、物証に限っておらず、
「状況証拠だけで、十分に推理はできる」
 と豪語していたのだ。
 だから、今の段階で、捜査員の中で、
「一番事件解決に近い存在だ」
 といえるに違いない。

                 大団円

 ただ、今の時点では、
「事件になる前の前提が分かった」
 というくらいであった。
 ただ、推理とすれば、ここからで十分だと思っていた。
 なぜなら、
「犯人に気持ちになれば、事件に近づいている」
 といってもいいからで、
「というのは、ここから先は、犯人を助ける人物がいるかどうかというところから考えることにする」
 と思ったからだ。
 そこで、この事件で、怪しい行動をしていた人が一人いたことを思い出した。
 それが、
「オオカミ少年」
 であったり、
「卑怯なコウモリ」
 などという異名を授けた
「鳴海青年の存在」
 であった。
 今回の事件では、鳴海青年が事件のカギを握っているのは間違いない。ただ。彼が主犯かどうかというのは分からないだろう。
 ただ、彼の行動から考えてみれば、自ずと分かってくることなのかもしれないと感じたのであった。
「あの鳴海という男は、誰かが飛び降りたということで警察へ通報してきた」
 しかし、そこには、何も跡がなく、そのせいで、彼のイメージとして、
「オオカミ少年」
 の異名がついた。
 ただ、それには、
「ここ最近、彼には、狂言癖のようなものがあった」
 という警官の話があったからで、それだけに、うさん臭さから、
「オオカミ少年」
 になったのだった。
 だが、それも、
「何かを隠すための行動」
 ということであれば、分からなくもない。
 ただ、今までの暴行事件では、そこまではなかった。この時、すでに、佐久間刑事は、
「今度の事件と、一連の婦女暴行事件とはつながっている」
 と信じて疑わなかった。
 佐久間刑事は、
「勘による捜査はしないが、思い込みの激しさから、推理の鋭さはあるが、一度信じてしまうと、突っ走る傾向にある」
 ということであった。
 ただ、それでも、頭がいいのは間違いないようで、そんなに無理のある推理を組み立てる人間ではなかった。
 彼が考えた
「それまでとは変わった傾向がどこにあるか?」
 という問題であったが、
「これまでと違い、のっぴきならないことになったのだろう」
 と思うと、
「ついに殺人を犯してしまったのではないか?」
 ということであった。
 そうなると、今までのように、
「金で解決」
 というわけにはいかない。
 バレたら、いくら未成年であっても、一連の婦女暴行事件ということもあり、しかも、それをまわりが、
「金で解決してきた」
 ということが派手に世間にぶちまかれると、マスゴミだけではなく、世間が黙っていないだろう。
 社会問題となってしまい、家族は離散、
「金で解決できるだけの力がある」
 ということは、破滅してしまうと、
「たくさんの人間が路頭に迷うことになる」
 ということだ。
作品名:交わる平行線 作家名:森本晃次