反社会的犯罪
「人件費を抑えられ、それまで、女性がやっていたようなことを任せればよくなり、社員は、自分の仕事に集中できる」
ということから、
「給料の高い正社員を減らして、パートを増やし、入力業務や事務仕事などをその人達にやらせる」
ということが普通になってきた。
ただ、それでも、
「責任をパートに負わせるわけにもいかない」
あるいは、
「残業もさせられない」
ということで、残った仕事は、
「正社員が責任をもって」
ということになるのだ。
そうなると、
「給料も減らされて、責任だけが増えて」
ということで、正社員に残れたとしても、不満が残るということになる。
つまりは、
「会社を、辞めるも地獄、残るも地獄」
ということになるのだ。
ネット詐欺
この頃になると、会社を辞める正社員が増えてきた。
その中には、
「リストラによって、首を斬られた人」
あるいは、
「会社に嫌気がさして辞めていく人」
とそれぞれだが、会社もそれが分かっていたのか、リストラとしてではなく、あくまでも、
「自主退社」
ということで、社員から辞めるように仕向けるというやり方を考えた。
それが、
「早期退職」
というもので、会社側の言い分として、
「今辞めれば、退職金に色を付ける」
という言い方である。
特に、
「リストラ候補に名前が挙がっている」
という人は、なやむことだろう。
そして、退職に踏み切ることになるのだが、そうなってしまうと、
「失業者が増える」
という社会問題となるのだ。
そこで考えられた方法として、
「派遣社員制度」
というものだ。
それまでも、職業安定署以外にも、民間で、
「企業あっせん会社」
というものはいくつもあった。
その頃は、
「正社員が当たり前」
という、バブル崩壊以前だったのだが、そのあっせん会社が、軒並み、
「派遣社員のあっせん」
ということになったのだ。
「会社を辞めた」
いや、
「辞めさせられた」
という人たちは。どうなるのかというと、
「路頭に迷うわけにもいかず、いまさら、正社員として雇うところはないだろう」
と感じ、さらに、
「正社員で入っても、責任だけを押し付けられ、またいつ辞めなければいけない」
ということになるのかを考えれば、少々給料が安くとも、
「派遣社員の方が気が楽だ」
ということで、派遣会社に登録し、そこから派遣される形で働くという、体勢が、当たり前になってきたのだ。
それが、今でも主流ではあるが、だからと言って、
「派遣社員制度」
というものが、順風満帆だったというわけではない。
確かに、バブル崩壊の中で生まれた。
「新しい体制」
ということで、混乱が落ち着いてくれば、
「最初からこの体制だった」
と思えるほどの社会になってきたのだが、それも長続きはしなかった。
今でも何とか体制は保っているが、ある時期、
「海外で、金融会社が破綻した」
ということに端を発し、一気に
「世界的な不況」
というのが襲ってきた。
そもそも、
「不況や経済不安」
というのは、
「定期的に起こるものだ」
といっておいいだろう。
実際に、日本においても、
「神武景気」
などと言われたその後で、不況が襲ってきた。
「オリンピック景気」
などというのも同じことで。
「一時期、特需において儲かることになるのだが、必ず落ち着いてくるということで、そのために雇い入れた人材が、今度は邪魔になる」
ということになるのだ。
それこそ、
「反動」
というものである。
実際に、
「バブルの崩壊」
というものは、
「バブル景気における反動」
といってもいいだろう。
それを考えると、
「世界的な不況が起こっても、それは無理もないことだ」
といえるのだ。
その時、日本も類に漏れず、不況に見舞われた。
企業も、
「バブルの崩壊」
の時のような目に遭いたくはないということで、手を打たなければならない。
そこで考えられたのが、
「派遣切り」
というものだった。
パートなどもそうであるが、
「派遣契約」
というのは、派遣元である派遣会社と、派遣先である、実際に働く企業の間で、定期的に契約を結び、何もなければ、自動更新ということで、更新を重ねていくものであった。
しかし、それを打ち切ることはできる。
当然派遣先の会社で、経営にかかわる問題が起これば、
「派遣を斬る」
あるいは、
「別の会社に変える」
などということは、普通に行われていることだろう。
実際に、
「派遣切り」
というものが行われ、バブルの時のような、
「たくさんの失業者が街に溢れた」
ということである。
しかし、この時は、
「バブルの崩壊」
とはわけが違った。
そもそも、バブル崩壊の時期というのは、その前に、
「バブル経済」
というものがあった。
つまり、
「やればやるほど給料がもらえて、24時間戦っていたという企業戦士がいた時代だったのだ」
だから、
「お金はたくさんもらえるが、それを使う暇がない」
ということで、皆がそれなりの貯蓄というものを持っていた時代だったのだ。
だから、
「いきなりリストラ」
と言われても、少しの間は、
「生活に困らない」
という人もいただろうが、この時に、
「派遣切り」
というのは、そもそも、
「生活していければいい」
ということで、
「責任がなく、時間から時間で働いている人」
から思えば、派遣を切られた時点で、
「待ったなし」
ということになるのだ。
もちろん、Wワークというものをしていた人もいるだろうが、そうではない人にとっては、
「たまったものではない」
ということで、結局は、
「どの時代でも、立場が弱い人間が、損をする」
ということになっているとして、諦めるしかないのだろうか?
さすがに、年末などの寒空で、皆公園の野宿などということになるとかわいそうということで、ボランティアによる、
「炊き出し」
などが行われているというシーンをテレビなどで見たものである。
だから、本来であれば、
「派遣社員も危ない」
ということになるのであろうが、何といっても、バブル崩壊というものが大きかったからなのか、
「時代の体制を変えることはできない」
というほどになっていたということであろう。
しかし、海外などでは、そんなこともなく、利益を挙げていて、社員の給料も上がっているのだが、日本は、まったく前と変わっていない。
そういう意味で、
「失われた30年」
などという言われ方をするのだろうが、実際には、どうなのだろう?
これは、そもそもの、日本固有のやり方としての、
「終身雇用」
であったり、
「年功序列」
という考え方が残っているからではないだろうか?
ただ、だからと言って、
「それが悪いことだ」
とは一概には言えないところがある。
というのは、
「会社は、自分を守るためということで行っていることがあるのだが、それを内部留保という」
この、
「内部留保」
というのは、読んで字のごとしということで
「会社の蓄え」