反社会的犯罪
「虐待と甲乙つけがたい」
といってもいいだろう。
「そうなってしまうまでに、どうにかならないか?」
ということで、
「児童相談所」
であったり、自治体や学校などがやり玉にあがるのだろうが、そんな人たちをいまさらせめて、どうなるというのだ。
責任の所在ということであれば、たぶん、
「彼にかかわったすべての人たちが、その責任を負わなければいけない」
ということになるだろう。
とはいえ、まずは、
「今回の事件が、本当に久保の引き起こしたことなのか?」
ということであり、捜査員ほぼ全員が、
「彼が暴行事件の犯人に違いない」
といっているのは、
「彼の半生が物語っている」
ということであり、それこそ、
「状況証拠にすらならない」
といってもいいことである。
だから、
「事実というわけではなく、真実かどうか、事実が判明していないだけに、何ともいえない」
といえるだろう。
そうなると、
「すべてが、根拠のないこと」
ということになり、他の捜査員が考えている犯人像には、
「事実無根」
ということになるのだろう。
ただ、実際に、
「何が事実なのか?」
ということを突き止めようとしても、彼自身が、
「世間に背を向けて生きている」
ということなので、知っているとすれば、
「彼が今までどこにいたのか?」
ということから見るしかない。
実際に、学校にいっていたという記録はないので、考えられることとすれば、
「底かの組織に入っていた」
あるいは、
「おかしな連中とつるんでいた」
ということであることを考えて、
「少年課」
であったり、
「暴力団関係組織を捜査する人たち」
に照会を掛けてみると、
「暴力団関係の組織」
でヒットした。
少年課のデータとすれば、かなり前であれば出てきたことから、
「おそらくは、判で押したような、転落人生を歩んでいた」
ということになるのだろう。
それを考えると、
「彼も、ある意味、社会の被害者なのかも知れない」
と、若干ではあるが、気の毒に思えてきたのである。
しかも、最後には、
「自殺めいた不可思議な行動」
を起こし、さらに、
「連続婦女暴行犯」
ということにされたまま、短い一生を終わるということになれば、
「これほど惨めなことはない」
といえるだろう。
彼の惨めさや無念さというのは、もちろんのこと、
「今のところ、事実すら見えてこない」
ということで、事件は、
「最初にもどった」
というよりも、
「却って闇の中にある」
といってもいいのではないだろうか?
反社会組織
彼の所属している組織というのは、
「反社会組織」
ということで、
「ハンシャ」
と呼ばれているところであった。
それが、そもそも、どういう種類のものなのかということになると、それは、
「今の時代における、複雑な移り変わりを理解し、その中で、どこから派生したものなのか?」
ということを調べないと、実態は分からないだろう。
バブル崩壊の中で、
「吸収合併」
などが繰り返されることで、
「元々の会社がどこだったのか分からない」
といってもいいようなものだ。
これは、政党にも言えることで。
「そもそも、どこから別れたものなのぁ?
ということを考えた時、たいていの場合、
「分裂や併合を繰り返している場合、それを取り巻く環境が、よくなかった」
というのは歴然とした事実だろう。
ということで、
「政党なども、分裂や合併を繰り返してきた政党は、ろくなものではない」
ということは証明されている。
特に、ある時期に
「いたるところから、政党が生まれた時期があった」
といってもいい。
昔、特に戦後は、確かに分裂、併合はあったが、そこまでひどいものではなかった。
というのも、
「五大政党」
というものがあり、ほとんどの五つに限られていただろう。
しかし、
「野党が徹底的に分裂したり」
あるいは、
「与党が、枝分かれする形で、新党結成ということで、野に下ったりした」
ということで、政治の世界が、ぐちゃぐちゃになったことがあったが、逆に、
「国民が政治に興味を持った」
というおかしな時期もあった。
そんな時期も、そもそもが、
「魑魅魍魎のいる世界」
などという人もいて、もちろん、少数派ということであるが、興味を持ったはいいが、中途半端な興味の持ち方だったことで、結局、
「一票の重みが軽くなる」
ということであったり、
「差が出てくる」
ということになったりと、結局は、混乱を招くことになるだけのことだった。
政府であったり、反社会勢力、それと同じレベルの、
「世間での悪」
というと、
「他のモノにも言えることである」
のだが、すべてではないということで、
「宗教団体」
なども、言えることであろう。
特に、
「新興宗教」
と言われたり、
「カルト宗教」
と言われるものは、その中には、
「霊感商法」
であったり、
「家族を拉致監禁のよぷな形にしている」
と騒がれたりしたところもあり、ひどいところは、
「テロ行為」
というものを引き起こすことになったりした。
そういう意味では、
「なるほど、そんな新興宗教だからこそ、裏で政治と絡んでくるんだな」
という納得がいくわけで、今回の、
「久保青年が入っていた」
といわれる、
「反社会組織」
というものが、どこからの流れなのかというのは、
「表から普通に見た分には分からないだろう」
それこそ、
「まるぼー」
と呼ばれる暴力団関係の捜査をするところに聴かないと分からない。
ということで、確認してみると、
「どうやら、政府関係に近い」
ということであった。
そこまでくると。さらに分からなくなった。
「そんな政府関係に接点がある組織が、そんな、連続暴行事件に絡む」
というのはおかしいのではないか?
ということであった。
「じゃあ、久保青年の単独犯なのか?」
と考えると、
「自殺の否定論」
に対して、どう説明すればいいのか?」
ということになり、
「元々、最初からこの組織と、暴行事件は関係ないのではないか?」
ということになるのだろうが、
「だったら、久保の行方がずっと分からなかったというのはどういうことなのか?」
ということになり、まるぼーに聴いてみると、
「やつらは、いざという時の鉄砲玉にするか、あるいは、事件が起こった時に、犯人として突き出すための。一種の時間稼ぎということにするんじゃないか?」
ということであった。
とすれば、
「そんな男に、勝手な行動をさせる」
ということ自体がおかしなわけであり、逆にいえば、
「今回の事件が、何かをごまかすためなんじゃないか?」
と、まるぼーはいうのだった。
「それもありえるな」
と、樋口刑事は、笑いながら話したが、
「顔は笑っていなかった」
といってもいいだろう。
そんなことを考えていると、
「自分の推理が、真相に近づいているのか?」
あるいは。
「事実を見ようとしている目を持とうとしているのか?」
ということを考えさせられるのであった。