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「バブルが崩壊する混乱と、この秘密がバレた時の混乱」
 というものを天秤に架けたということになるのだろうが、
「それでも、秘密を守る必要がある」
 ということで、
「その秘密がどれほどのものだったのか?」
 ということである。
 つまりは、全国に、F県の、
「樹海」
 のようなところがたくさんあり、中には、
「戦争中から続く、戦闘機の格納庫」
 というものもあったという、
 それは、当時の日本の科学者が秘密裏に開発していた、
「ジェット戦闘機」
 だという。
 実際に、戦争の旗色が悪く、致命的に物資がなかったことから、その夢はついえたということであるが、驚くべきことに、
「原爆研究も行われていた」
 という場所も存在するという。
 ただ、これらはあくまでも、
「噂の域を出る」
 というわけではない。
 それを考えると、信憑性というのは、
「限りなくゼロに近い」
 ということかも知れない。
 ただ日本に、かなりの数の、
「秘密とされた場所」
 が存在する。
 ということなので、
「すべてが秘密」
 ということはないだろう。
 それを考えると、
「F県の秘密の場所」
 というのは、実は、かなりの信憑性の高い場所だったということである。
 実は、ここをひそかに探っていたのが、幸之助だったということである。
 もちろんm今の警察がそんなことを知っているわけもなく、
「樹海の中での、謎の自殺」
 ということで、普通に捜索されたのであった。
 そこで、警察から呼び出しを食らった小笠原氏は驚いて、F県にやってきた。父親は、小笠原氏が、小学生の時に、交通事故で、両親ともに亡くなっていたのだ。
 だから、祖父が引き取って育ててくれたのだが、最近は、祖父も、
「気ままな旅行」
 ということで、
「結構飛び回っている」
 ということであったが、小笠原氏とすれば、
「俺を育ててくれたのに、定年退職してから、急に旅行に出るようになったのが不思議だ」
 と感じていた。
 確かに、
「二十歳ともなれば、立派な大人だ」
 ということで、そこまで、孫のことを考えて、家にいないといけないというわけではないが、
「どうして、急にそんなにフットワークが軽くなったんだろう?」
 ということで気になってはいたのだ。
 それも、
「定年になれば、悠々自適に旅三昧だ」
 ということをほとんど言わずにである。
 そもそも、昔から、
「思いつきでは行動しない人だ」
 と、祖父のことを思っていたのに、なぜか急に旅に出るようになり、しかも、旅行先としては、不思議に思える
「F県の樹海」
 と呼ばれるところで、なぜゆえ、
「自殺などしないといけない」
 というのだろうか?
 実に、納得のいかないことばかりということで、警察にいった時も、
「あそこは、確かに、一時期は、自殺者が多かったということを聴いていますが、地元でも、私たちが知らないほど昔のことだったんですよ」
 というのであった。
 それを考えると、
「F県の自殺」
 というのは、
「最後はいつだったのか?」
 と聞いてみると、
「記録に残っているのは、今から20年前くらいでしょうおか?」
 ということであった。
 そして、その20年前というと、まだ、
「サナトリウム」
 と言われた、
「精神疾患患者受け入れの建物」
 が、使用はされていなかったが、残っていた頃のことだったという。
 最近研究所はすでに、大学の合宿所になっていて、一番手前のペンションは、相変わらずの営業を続けていた時期だった。
 そこまでは、警察は教えてくれなかったが、小笠原氏としても、
「おじいさんの死は、やはり納得できない」
 ということで、独自にそのあたりを探ってみて。分かったこととしては、それくらいのことであった。
 実際に、独自に捜査してみると、ある程度のことは分かってきた。
 実際に、ペンションにも宿泊もしてみたし、大学の合宿所のあたりも見にいったりもした。
 実際に、このペンションに、おじいさんが泊まっていたというのも事実のようで、
「ただ、2泊3日を一度だけなさいました」
 というだけであった、
 しかし、実際には、それ以前にも一度、
「今回の訪問とは別にきているようで、それは、宿側でも、小笠原氏でも、見逃したところだった」
 ということであろう。
 では、それ以外には?
 ということで探してみると、ここから少し離れたところに温泉地があり、そこで宿泊していたという。
 ただ、それだけでは、ペンションとの宿泊回数から、
「宿泊が足りない」
 ということになり、
「他の宿に泊まったのかも?」
 と思われたが、ということは、
「それだけ、おじいさんの行動は不可思議に満ちている」
 ということであった。
 それを考えると、
「もう少し、この土地で探ってみよう」
 ということになったのだ。
 ただ、今回の事件に関して、一人気になっている刑事がいて、
「どうやら、殺人の可能性もあるのではないか?」
 ということで探っているのであった。
 県警としては
「ジャーナリストの自殺」
 ということで肩をつけたが、その方のつけ方が、
「早すぎる」
 ということであった。
 その刑事が考えることとして、
「どこかから、見えない力が働いているのではないか?」
 ということであった。
 その刑事は、名前を、
「樋口刑事」
 という、
「彼は今までにも、自分だけが別の意見ということで捜査を進め、結局、彼の言うとおりだった」
 ということがあったことで、
「警察署内では、一目置かれている」
 ということであった。
 だから、そんな警察署において、
「樋口刑事がいうのなら」
 と思っている人も結構いるようだ。
 しかし、そんな刑事たちに、上からは、
「あまり、今回の自殺を嗅ぎまわらない方がいい」
 ということでくぎを刺したのだが、さすがに、樋口刑事に対してだけは、
「そうもいかない」
 ということで、無理に捜査を止めるということはしなかった。
 警察とすれば、
「下手に騒がれても困る」
 ということで、いざとなれば、国家権力を使って、
「一人の刑事くらい、黙らせることなど何でもないことだ」
 ということになっているのだった。
 もちろん、そこまでするのは最後の手段。ただ、樋口刑事が、
「自殺ではない」
 ということで気にしているのを、
「何とかしないといけない」
 と考えているのは、
「警察署だけではなく、県警も動いている」
 ということで、
「どのように対処すればいいということか?」
 ということであった。
 そんなサナトリウムのような場所があったところであるが、その土地で、自殺と思われる殺人事件があったということを気にしている人が、実はもう一人いた。
 その人は、
「民政党」
 と呼ばれる政党の議員で、気にしているといっても、誰もそのことを知らないことで、その議員は、その時ちょうど、選挙前のバタバタした時間を、まわりに流されるかのように過ごしていた。
「ああ、別に変わりはなかったですね」
 と後から聞かれた時、ほとんどの人が、彼の変調に気づいていなかったのだ。
 彼の名前は、
「奥寺源治」
 と言った。
作品名:交換による解決 作家名:森本晃次