交換による解決
ということで夢見てきたことであった。
まだ。昔は、
「老後は悠々自適」
と考えられる時代だったので、頭の中には、どうしても、
「本当の悠々自適」
というものが抜けないのであった。
実際に定年退職してみると、
「悠々自適などありえない」
とは思うが、
「何も悲観することはない」
といえる。
「自分の中での悠々自適」
というものを考えていれば、
「何が幸せか?」
ということは、
「死ぬまでにはその答えが出るのではないか?」
と思うのであった。
バブル崩壊に秘密
そんなジャーナリストであり、すでに定年退職したという人間が、自殺などしないといけないのか?
死体が見つかったのは、
「樹海」
と呼ばれるところであった。
それも、まわりをまるでサンゴ礁のようになった、まるで三日月のように見えるところの一角だった。
この辺りは、中心部が湖畔になっていて、そのまわりを、まるで、
「クロワッサン」
のように、樹海が広がっているのだった。
そもそも、湖畔と呼ばれるところも、かなりの広さがあり、昔から、
「サナトリウム」
と呼ばれるところがあったり、さらに昔は、
「細菌研究所」
というものがあったと言われている。
今ではそのあたりには、ペンションが一軒建っているが、その先にはキャンプ場もあり、さらにその奥には、
「細菌研究所」
を祖とする、地元の私立大学の合宿所があるというところであった。
ただ、樹海になっているそのあたりは、かなり広く、
「樹海」
と言われている周辺も、実際には、自治体の管理下にあり、本来なら、整備されたところでもあるので、自殺をするという人は、ほとんどいないということであった。
「このあたりで自殺を試みるという人は、実際に昔からこの辺りを知っている人でないと、わざわざここまで来て、死んだりはしないでしょうね」
と死体発見の際に、立ち会った警官が、そんな風に言っていた。
この辺りは、F県でも、田舎に位置するところで、鉄道も、以前は、国鉄が通っていたのだが、JRになってからというもの、
「乗客がいない」
という理由で、真っ先に、廃線扱いにしたのだった。
そもそも、この辺りは、例の樹海あたりにあった、
「軍需工場」
を中心に戦時中は、かなり行き交いが激しかったというが、戦後は、物資を運ぶところも、工場も閉鎖されたことで、すたれてしまい。そのため、人口も減ってしまった。
それでも、国鉄時代は、何とかもっていたが、時代が分かると、まったくどうしようもない状態になってしまったのだ。
そんなところで、
「サナトリウム」
というのが、
「街の人口のほとんど」
ということで、鉄道が何とかもっていたというのも皮肉なことである。
戦後から次第に、医学も発展し、
「結核も不治の病ではない」
と言われるようになり、
「サナトリウム」
に運ばれてくるという人も少なくなった。
そして、
「サナトリウム」
が閉鎖の危機にあるということであったが、その危機を救ったのが、
「細菌研究所」
を祖とする大学だったのだ。
その場所は、
「サナトリウム」
として確保され、ただ、収容される人たちは、
「精神疾患患者」
ということであった。
実際には。
「病院」
という体裁を取り繕っていたが、実際には、
「研究所」
という形にもなっていた。
ひどい言い方をすれば、
「入院患者というのは、モルモットのようなもの」
ということで、
「研究材料」
ということでもあった。
特に、時代が進むにつれて、
「精神疾患」
というものを持った人間が増えてきたという情報が流れたことで、
「ここでひそかに、精神疾患の研究を」
ということになったのだ。
実際には、国からの補助というのも出ていて、
「国を挙げて、精神疾患患者を減らす」
というのが目的であった。
実は、その中から、
「人間を洗脳するための薬」
というものを開発するという特命があったのだ。
もちろん、そんな、
「非人道的なこと」
を、国家ぐるみでできるわけもなく、あくまでも、
「大学の研究」
さらには、
「精神疾患を治す」
ということを表向きな目的ということで、行っていたのだ。
しかし、一切に、
「大学の研究」
として行ってもいたわけで、中には、
「秘密裡に行われていること」
というものに気づいた人もいたようだ。
それによって、
「まだ戦争状態が続いているのか?」
ということなのか、それとも、
「政治家などの、私利私欲」
というものの隠れ蓑として利用されているところなのか?
ということが言われるようになっていた。
実際に、その話を聞いてきた男が、マスゴミにひそかに話したという事実があった。
そのマスゴミというのが、幸之助が勤めていた新聞社だったということである。
もちろん、新聞社の中では、
「最高機密事項」
ということで、そもそも、新聞社には、そのようなものは普通にあった。
しかし、モノがモノだけに、この、
「最高機密」
というのは、まるで、FBI級のものだったということだ。
実際に、国家には、
「大日本帝国のような、諜報機関はない」
と言われているが、実際には存在したと言われている。
各地の自治体でも、少し大き目のところには、存在したということであった、
しかし、
「実際に存在したかどうか?」
というのは、その時代によって、異なるといってもいいだろう。
この、F県も、県庁所在地は、この地域では一番大きく、当然、政令指定都市で、そんな組織が存在しても、不思議のないところであった。
そんなあたりなので、実際に、この
「サナトリウム」
であったり、
「精神疾患の研究所」
のようなものの存在が表に出れば、
「ウワサの諜報機関ではないか?」
ということで、
「痛くもない腹を探られる」
というものだ。
実際に、
「痛くもない腹なのかどうか?」
というのは、今では分からないようになっている。
今の時代では、そんな、
「諜報機関」
なるものは存在しない。
ということであるし、
「今のようなコンプライアンスに厳しい時代」
ということであれば、
「精神疾患の病棟」
を、こんな僻地に作り、秘密にすることなどないだろう。
それこそ、変に疑われるということだ。
そういう意味では、
「何か問題があるとすれば、昔の時代にさかのぼる」
ということになるだろう。
そうなると、
「その時代というのが、いつの時代になるというのか?」
ということになるわけだが、その時代というのは、言われているところでは、
「バブル崩壊のタイミング」
ということだったのだろう。
実は、その時、
「どうして、バブルの崩壊について、誰も気づかなかったのか?」
ということが言われるが、実はあの時代、
「バブルが崩壊する危険性がある」
などというと、それこそ、この辺りのように、
「痛いhらを探られる」
ということから、
「経済を犠牲にしてまで、この秘密を守ろうとした輩がいた」
ということである。