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交換による解決

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「ええ、彼は当時社会派の記事を多く手掛けていましたが、結構、政治家に切り込む取材も多かったようです。実際に記事にもなったもので、国会議員の話題から、彼は新聞社に入ることができたということです」
 という。
 実際に、その時のことを尋ねたが、正直、
「ハッキリと覚えていない」
 というのが。問題だった。
 ただ、時期的なものは覚えていてくれたので、検索することはできるのだった。
 図書館で検索をすれば出てくることで、実際にやってみたのだった。
 そこで、見つかったのが、ちょうど、
「今から10年くらい前の記事で、その中には、奥寺議員も入っていたのだ」
 管轄外なので、普通ならスルーしてしまいそうなことであったが、何と、、
「小笠原家に、奥寺議員に手紙が来ていたのだ」
 本人は死んでしまっているので、孫の小笠原氏の許しを得て開封すると、そこにはあったものは、
「何と、奥寺議員の小笠原氏にあてた遺書」
 だったのだ。
 内容としては、まるで、
「旧知の友」
 に対しての、遺書であり、それは、かなりの長文であった。
 二人は友達だったようで、
「懐かしい思い出に浸りながら書いた」
 というのがよく分かったのだ。
「今度の事件において、思い出というのは、皆無だろう」
 と思われた。
 特に、奥寺議員に関しては、
「遺書は残っているが、あくまでも、形式的なものということで、誰かを意識して書かれたものではなあったからだ。
 しかし、奥寺氏が書いて、小笠原幸之助に送った
「遺書」
 には、遺書としてよりも、昔話が書かれていることから、
「これを本当に遺書として見ることができるのか?」
 とも考えられた。
 ただ、この遺書を書いたと思われる、奥寺議員を訪ねてみると、
「何と自殺をした」
 というではないか。
 樋口刑事が、この情報を、秋元刑事に伝えると、秋元刑事は、
「ほう、興味深いですな」
 と、大いに興奮しているようだった。
 樋口刑事と、秋元刑事は、そもそも初対面であった。
 しかし、二人とも、気さくな性格ということが功を奏したのじか。お互いに。
「初体験だ」
 ということを感じさせない何かがあるというものであった。
 その頃になると、樋口刑事は、別の発想を持つようになっていた。
 というのは、
「小笠原は、自殺だと思われたが、殺人の見解もある」
 ということで、殺人としての捜査をしてみたが、そのうちに、
「殺人ということになると、また矛盾が生まれてくる」
 ということで、
「どちらから考えても、結局は、堂々巡りを繰り返しているようで、いたちごっこといってもいいだろう」
 と考えていたのだ。
 ということになれば、
「少し違った」
 さらには、
「奇抜な発想もありではないか?」
 と考えるようになっていた。
 それは、
「実際には自殺であり、その自殺は、何か洗脳されてのことではないか?」
 と思うのだった。
「誰かに操られて死ぬという気持ちになった」
 ということは、
「自殺ではなく、殺人」
 ということになるだろう
「しかし、実際の実行犯が自分というだけで、それを扇動する形で、真犯人が暗躍する」
 ということになるのだ。
 そうなると、
「殺人」
 であったも。
「自殺」
 ということであっても、
「両方とも正解であり、間違いだ」
 ということが言えるのではないだろうか?
 もっといえば、
「洗脳ということほど、汚い殺人はない」
 ということで、よく言われることとして、
「カルトな宗教団体が絡んでいるのではないか?」
 と思えたのだ。
 しかも、死んだ人間が、
「ジャーナリスト」
 ということであれば、あり得ないこともない。
 どこかの宗教団体が、
「ジャーナリストの口をふさぐ」
 という目的から、洗脳といいう手を使ったということであれば、今までに起こった宗教団体が絡んでいる事件の、
「デジャブではないか?」
 といえるに違いない。
 実際に、小笠原幸之助がかかわった宗教団体というのもあった。
 実はその記事を書くために取材をしている中で、
「どうやら、奥寺議員にも取材を申し込んだことがある」
 ということであったが、実際には実現していなかった。
 というよりも、その証拠が残っていないということで、その時点では、
「二人に面識はない」
 ということであった。
 それなのに、なぜ、今になって、
「奥寺議員は、遺書のようなものを送り付けたというのか?」
 そもそも、これが遺書だというのは、手紙の最初に、
「遺書」
 と書かれていたからということで、実際には、
「懐かしい人に当てた手紙」
 というものだったのだ。
 そもそも、
「二人の接点は、この手紙しかない」
 と思われたが、実際に、
「奥寺議員は、自殺した」
 ということから、急速に結びついてきたのであった。
 しかも、
「二人とも自殺だということであれば、分からないことが多すぎる」
 という。
 そもそも、二つとも、
「殺害の可能性」
 というのを加味しての捜査であった。
 しかし、奥寺の場合は、
「国家権力によるもの」
 ということであり、小笠原の場合は、
「樋口刑事の考えによる」
 というもので、考え方としては、
「殺害された」
 という可能性は、かなり低いということになるのだ。
 しかし、二人に接点が見つかって、
「どちらも、殺人の可能性がないわけではない」
 ということで、
「事件というものを別の目で見る必要がある」
 と考えるのだった。
 そこで、二人の刑事は、
「たすきにかけてみる」
 ということにした。
「一種の、交換推理」
 というものだった。
「お互いに、相手の事件について推理する」
 というやり方で、
「普通であれば、そんなことはありえない」
 というものであった。
 しかし、それを言い出したのは樋口刑事だったが、それを聞いた秋元刑事も、
「それは面白いですね」
 ということで、乗り気だった。
 実際に、考えてみると、最初のところは、二人とも、お互いに最初推理したところはほとんど変わりはなかった。
 しかし、それぞれに、
「気になるところ」
 であったり、
「目につくとこと」
 というのが違っていたのだ。
 そんなことを考えると、俄然燃えてくるのが、秋元刑事だった。
 彼は、
「直観で推理する刑事」
 ということなので、逆に、
「客観的に事件を見るということに掛けては、誰にも負けない」
 と自負していた。
 しかし、実際には、
「そんな時期縁を客観的に見る」
 というようなやり方が成立することはあまりなく、
「自分の推理というと、どうしても、直観というものでしかない」
 ということであった。
「客観的に事件を見る」
 ということは、要するに、
「勘で推理する」
 ということになり、
「俺は、直観よりも、直勘という方が当たっているのかも知れないな」
 と感じることがあったのだが、それも無理もないというもので、
「事件解決というものに、第六感のようなものを使うのは、冤罪を生むことになりそうで、それはまずい」
 といいうことであった。
 もっとも、この意見を一番感じているのが、他ならない、樋口刑事であり。
作品名:交換による解決 作家名:森本晃次