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真実と事実のパラレル

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「配下の兵に自分を殺させる」
 ということであった。
 確かに、殺し合いの時代ということもあり、
「配下の兵」
 というのもたくさん殺してきたということで、
「自分一人が加わっても」
 ということも考えられなくもないが、
 少なくとも、
「自分を殺す」
 ということを他人に委ねるわけで、自殺が人殺しと同じだということであれば、その責を、配下に負わせ、
「自分を殺させるということに使う」
 ということである。
 実際に考えれば許されるかどうか、
「何が正しいというのか?」
 難しいとことであった。
 殺されたと「思われる男は、
「村上誠二」
 と言った。
 彼は、殺されるだけの理由があった。
 彼は、40歳を過ぎていて、一人者だ。一度は結婚したのだが、奥さんと別れることになったのだが、バツイチなど珍しくも何ともなく、離婚することになった理由は、
「村上の不倫」
 だった。
 村上は、不倫をしていたが、それは、
「決まった相手との不倫」
 というわけではなかった。
 不倫相手を愛しているというわけでもなく、
「セフレ」
 といってもいいだろう。
 相手のオンナも、同じように、村上を愛しているというわけではなく、
「お互いに気持ち良ければそれでいい」
 というだけのことだった。
 特に村上は、
「奥さんに飽きちゃった」
 という感覚で、セックスに関しては、正直、
「もう、いいや」
 と思っていた。
 結婚した当初から、その気持ちが強く、その分、他のオンナを見ると、自分でも興奮するのが分かったのである。
 相手のオンナも、
「旦那に飽きちゃってね。私は刺激がほしいの」
 という人ばかりだった。
 しかも、都合よく、
「そういう男にはそういう女が」
 そして、
「そういう女には、そういう男がくっついてくる」
 ということになるのだった。
 だから、お互いに、
「知り合うべくして知り合ったんだ」
 と思うわけで、そうなると、あとは、お互いの肉体を貪るだけだった。
 執着があるのは、相手の身体だけだということで、あとくされはない。それこそ、
「割り切りの関係」
 ということだった。
 お互いに、平等な関係ではあったが、いつも、
「こづかいだ」
 といって、男が女に、若干のお金を渡していた。
 女の方も、
「私は、お金がほしくて一緒にいるわけじゃないのよ」
 とばかりに言って、断ったが、
「いいや、いいんだ。俺がこの方が気が楽だと思っているだけなんでな」
 というのだった。
 女の方としても、
「相手が気が楽だといっているのであれば、それでいい」 
 と思うようになったのだ。
 その気持ちが伝わったのか。だから、お互いに、さらに他の異性とセックスをしても、嫉妬もしないし、お互いに干渉をしないという関係になれたのだった。
 だから、
「離婚しようがこのままいようが、どっちでもいい」
 と思っていた。
 ただ、
「慰謝料は勘弁してほしい」
 と思っていたが、やはり、請求されることになった。
 しかし、実際には、奥さんも浮気をしていて、それを掴んだ男性側が、逆に、告訴したのだ。
 結局、お互いに痛み分けのような形になり、最初から決まっていたかのように、普通に離婚することになった。
 もちろん、慰謝料はなしということである。
 本当は女としては、
「私の浮気も、最初にあなたがしたから、その寂しさを紛らわすために」
 という気持ちからで、女房も、浮気相手を愛しているわけではなかったが、理由が、
「ただ、寂しいから」
 ということであった。
 これは、村上のように、
「お互いに割り切った付き合い」
 というわけではなく、もっと率直な感情で、本当に、
「身体が寂しいから」
 という理由だった。
 だから、余計に、
「私がこんな風になったのは、旦那のせい」
 と勝手に思っている。
 しかし、村上の方とすれば、
「彼女も自分と同じ穴のムジナ」
 ということで、
「あいつも、俺に飽きたから、浮気をしたんだ」
 としか思っていない。
 だから、まるで。
「喧嘩両成敗」
 といってもよく、
「浮気をしたその罪に変わりはない」
 と思っていた。
 同じように、離婚が成立したわけだが、その気持ちには、かなりの開きがあった。
 旦那とすれば、
「これでせいせいした」
 というくらいに思っていたが、奥さんの方からすれば、
「離婚までしなくてもよかった」
 と、後悔の念が襲ってくる。
 そう思うと、
「旦那も同じころを思っているかも知れない」
 と、未練がましいことを考えてしまうのだった。
 それが、
「男と女の違い」
 というものであろう。
 というか、
「お互いに、離れようとする方はたんぱくだが、諦めきれないと、未練がましくなる」
 というのは、本来なら当たり前だが、それが顕著になるのは、
「男と女の関係」
 しかも、
「夫婦関係」
 というものではないだろうか?
 しかも、それが、
「ストーカー行為」
 というものに発展すると、話は厄介になってくる。
 しかし、結婚していた夫婦が別れたからといって、どちらかがストーカー行為に至るというのは、珍しいことではないだろうか?
 それだけ、
「執着心が強い」
 ということになるのだろうか。
 それを思えば、村上夫妻というのは、
「執着の激しい奥さんをもらった」
 ということが、悲劇だったといってもいいだろう。
 ただ、それだけではなく、
「夫が飽きっぽかった」
 というのも、その原因だ。
 何といっても、そもそも、飽きっぽかったということが、すべての原因ではないだろうか?
 飽きっぽいということが、許されるかどうかであるが、相手も同じ気持ちであれば、それこそ、
「一世を風靡した言葉」
 ということで、
「成田離婚」
 という
「スピード離婚」
 に発展したということになるだろう。
 だが、結局離婚などできるわけもなく、夫の方が、
「飽きが着ているけど、しょうがない」
 と最初は、
「セックスがなくても、新婚気分を味わっていればいいんだ」
 と思っていたが、それができず、
「我慢できない」
 ということから、一度、
「ワンナイト」
 ということでの不倫をしたが、それに嵌ってしまったということであった。
 最初は、
「一夜限り」
 ということでもよかったが、
「身体だけじゃないな」
 と思うようになると、
「適当な期間付き合える女性」
 というのを求めるようになった。
 そうなると、不思議なことに、同じようなことを思っている女が寄ってくるというもので、お互いに、
「出会うべくして出会った」
 という、運命的なことを感じてしまうと、お互いに、
「別れられなくなった」
 しかも、それは、
「肉体関係だけ」
 というわけではなく、本当に愛情が湧いてきたような気がしていた。
 しかも、それは、
「お互いの配偶者に対して感じているものではない」
 ということで、
「まさか、不倫が本気になってきているのでは?」
 と思ったが、それも違うことは分かっているつもりだった。
「どちらかというと、今の奥さんに対してと同じ気持ち」
 ということであった。
作品名:真実と事実のパラレル 作家名:森本晃次