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相性の二重人格

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 というではないか。
「俺は……」
 と言いかけたが、それに構うこおなく、いや、遮るように、妹は言葉を続けた。
「その人は、お兄ちゃんに性格的に似た人で、きっと私が待っていた人だと思ったのね、彼も、私のことを、ずっと前から意識していて、ずっと前から知り合いだった気がするっていってくれたの、それが私は嬉しかったの」
 という。
「それなのに、どうして俺に抱いてほしいと?」
 と聞くと、
「お兄ちゃんとは、最初で最後の思い出を作りたいの、いいでしょう?」
 と、今度は、完全な、
「おねだり」
 であった。
 それが、おねだりだったことで、葛城は完全に負けてしまった。妹の思いを遂げさせてあげようと思ったのだ。
 いや、自分の欲望に正直になろうと思っただけのことで、ここで何かを言えば、すべてが言い訳でしかないということになるのであった。
 実際、今まで彼女がいたことがなかった葛城だったが、それを、義妹に知られるのが嫌で、
「実は彼女がいる」
 というようなそぶりを見せていた。
 本来であれば、
「彼女もいないのに、いるというようなそぶりを見せる」
 というやり方は、葛城としては、
「これほど嫌なことはない」
 といってもいい。
 彼には彼で、プライドというものがある、
 もちろん、妹に対して、
「お兄ちゃんはモテないわけではないんだぞ」
 ということを思わせたいというプライドもその一つであるが、それ以上に、
「友達などに、彼女もいないのに、いかにもいると思わせるのが嫌だ」
 という、別の意味でのプライドだった。
 妹のような、
「特別な感情を持っている相手」
 と、
「普通に友達」
 という第三者というには、憚られるような相手に対してとでは、そのプライドの示し方が、正反対だったりするのだ。
 だから、
「友達を対象として考えると、モテもしないのに、モテるかのような素振りの自分が許せない」
 と感じるのだが、逆であれば、
「モテないくせにモテないと思わせるのが嫌だ」
 ということで、ジレンマに陥るということであった。
 だから、それぞれに開放的であれば、
「友達のウワサガ妹に伝わったら」
 ということであったり、
「妹の考えが友達に伝わったり」
 ということになれば、どちらであっても、自分の立場が難しくなる。
 ということで、自分が、会社に行っていて、家とは関係ないのをいいことに、
「友達と、妹を決して近づけない」
 という方法を取っていたのだ。
 だから、会社で、
「葛城に妹がいる」
 ということを知っている人はいないということになるのだろう。
 今の時代は、
「個人情報の保護」
 ということから、社員であっても、勝手に調べたりはできない。
「もっとも、そこまで親しい相手でもないのに、家族構成を知って、何になるというのか?」
 ということで、
「これ幸い」
 ということで、会社の人も、妹の存在を知らないに違いない。
 葛城は、学生時代であれば、
「彼女がほしい」
 と思っていた。
 しかし、社会人になってから、最初は、
「仕事に慣れるまで、彼女などほしいとは思わない」
 と感じていたが、仕事に慣れてくると、
「彼女くらいいてもいいよな」
 と思ったが、それは、
「実家から離れて、一人になったからだったのだ」
 大学卒豪前まで、実は、
「義妹のことが好きだった」
 これも自分のプライドから、誰にも言わなかったし、当然、その相手である妹に悟られるのも嫌だった。
 しかし、好きな気持ちに変わりはなく、
「ごまかすにも限界があった」
 と思っている。
 妹にも、
「悟られたくはない」
 という思いと、自分が感じていることを、妹に対して好きだという気持ちでないまでも、何か、様子がおかしいというとことまでも知られなくないという思いが強かったのだ。
 だから、自分でも、
「俺の気持ちはどこにあるんだ?」
 と、感じている気持ちが、まるでカオスの中にいるようで、どうしていいのか分からずに、パニックになっていたのだ。
 だから、実は会社で、
「転勤」
 と言われた時はありがたかった。
 まだ大学生の頃は、まだ子供だったので、そこまで感情が性的ではなかったが、中学生から高校生になってくると、見る目が完全に性的な目で見ている自分を感じたのだ。
 特に、自分が高校時代など、
「同級生の女子からは相手にされていない」
 という自覚があり、同級生男子と女子が付き合っているというウワサを聞くと、嫉妬に溢れる気分になっていたのだが、それだけではなく、
「高校時代はこの三年間しかないんだけどな」
 という特別な感情しかなかった。
 というのは、
「自分の同級生は、自分と同じように年を取っていく」
 という考えで、自分の中では、
「同級生との恋愛感情しかない」
 と思っていたのだ。
 それは、
「自分よりも若い子は、子供にしか見えない」
 ということであり、年上の女性は、
「今は大人の女性と思うのだが、自分がその年齢になれば、向こうも年を取っているので、同じ目では見れない」
 ということで、
「下から見上げるしかない」
 と思うと、結局、
「同級生しか、同じ目線で見ることはできない」
 と思うのだ。
 そうなると、
「彼女たちを、女子高生として見ることができるのは、この三年間しかない」
 ということで、その考えというものが、
「一人の誰かを好きになる」
 ということではなく、
「女子高生としての、その子がいい」
 ということである。
 そうなると、彼女はそのまま年を取らないわけではなく、その時他に付き合っている人がいれば、もう自分にはどうすることもできない」
 と考えるのだ。
 だから、
「同級生しか好きになれない」
 と、自分の中で、ストライクゾーンを狭める結果になったということであった。
 だが、実際には自分が大学生になると、新たな高校生が生まれてくるわけである。
「当時は中学生だった女の子が大人になって、女子高生になった」
 ということであるが、その理屈は分かっているのだが、今度は自分が大学生になると、
「高校生の時に見ていた彼女たちと、それまで中学生が大人になった姿として見るのとでは、何かが違う」
 ということである。
 ただ不思議なことに、それは、自分が就職してすぐくらいまでのことであって、就職してしまうと、女子高生も、女子大生も、OLというのも、今まで考えて見ていた目線とは明らかに違い、
「皆同じようにさえ見えてくる」
 ということであった。
 それは、自分の中で、
「女性を見る」
 ということの成長が、
「そこで止まった」
 ということなのかも知れない。
 下手をすれば、そこから先、
「老化が始まっている」
 ということであり、確かに、
「人間の老化というのは、20代後半から始まっている」
 と言われているではないか。
 それを考えれば、成長が止まり、老化現象というところまではいかないが、自分の中で、
「大人としての成長が終わり、今がピークなんだ」
 と思えば、あとの成長期にいる女の子も、
「次第に、自分の今の年になるまで、自分が待っていればいいだけだ」
 と思うようになってきた。
 その考えからか、
作品名:相性の二重人格 作家名:森本晃次