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相性の二重人格

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「ああ、そういえば血がつながっていなかったんだな」
 ということを思い出させるのだった。

                 郁美への感情

 妹は名前を、
「郁美」
 と言った。
 ちょうど女子大を卒業して3年目くらいになるのか、OLとして、仕事にも会社にも慣れてきた頃だろう。
 郁美がまだ大学時代、葛城は転勤することになり、今の勤務地に来たことで、実家を出て一人暮らしをすることになったのだ。
 とは言っても、そんなに極端に遠いところというわけではない。
 実際には、隣の県であり、規制するにも、特急電車で2,3時間くらいで帰ってこれる距離であった。
 だが、さすがに毎日通うのも大変で、転勤して1年くらいは、毎月のように帰省していたが、最近では、
「半年に一度くらい」
 ということになった。
 正直、
「毎月だと、あっという間のことだ」
 という感覚と、さすがに、
「お金が持たない」
 という金銭的な事情もあったのだった。
 もっとも帰省する理由としては、
「妹に逢うため」
 というのが、一番の理由で、親はどうでもよかった。
「どうせ、母親は義理だしな」
 ということで、変に帰省すると、一緒に暮らしている時はそこまで感じなかったが、義母の余計な気の遣い方というのが気になるのだった。
 妹とすれば、
「実の母親なので、自分のような気の遣い方はしないでいいのだろう」
 確かに、父が、義理だということで、気にしないわけにはいかないということも分かっている。
 以前、毎月のように帰っていたのは、
「父親の妹に対しての接し方が、自分がいなくなったことで変われば怖い」
 と考えたからだった。
 考えすぎと言われれば、確かにそうなのだが、
「いくら義母がいるとはいえ、血のつながらない男と、若い年頃の娘がいる」
 ということになるのだ。
 自分が帰省した時、妹が異常に喜んでくれたのは、
「そういう父親の圧力が怖かったからではないか?」
と感じていたが、それは、
「考えすぎではないか」
 と感じた。
 ただ、
「兄貴の自分から見ても、義妹は魅力的で、もし自分が親父の立場だったら」
 と思わないでもないことから、そんな自分に嫌気がさしたこともあったのだ。
 実際に、
「帰省の回数が極端に減った」
 というのは、
「そんな妹を見る自分の目が怖かった」
 というのが、本音だったのだ。
 妹に対していかに対応するか?」
 というのは、父親を見ていて、それを、
「反面教師ということにしよう」
 と考えることで、どこか、自分が言い訳の元、生きているように思えるから不思議だったのだ。
「俺は妹のことが好きなのか?」
 と思い始めたのは、妹が、高校生の時だった。
 制服姿を見て。
「こんなに妹はかわいかったんだ」
 と感じた時だった。
 その頃、就職してからまだ仕事にも慣れていない頃、頭の中では、、
「営業だって俺にはできる」
 と思ってはいたが、実際にやってみると、
「考え方がまったく違って、自分が正しいと思うことがまったく通用しない」
 と考えることで、何度となく、なやみとしてぶつかってしまうという、結界を感じていた時のことだった。
「妹のことを考えていれば、頑張れる」
 と思うようになった。
 それは、いわゆる、
「癒し」
 ということで、癒しがあるから、いつも、
「まるで観音様のごとく」
 とばかりに、自分では拝み倒しているつもりであったが、そこに、恋愛感情がまさか含まれていると感じていたのだろうか?
「いや、間違いなく含まれていたことだろう」
 自分にとっての妹が、これまで誰とも付き合った経験がなかったことが、
「俺がモテないだけなんだ」
 ということで諦めていたのだが、その時に感じたのが、
「俺は、昔から妹が好きだったんだ」
 と思ったことだった。
 もちろん、妹が家に来るまでは、
「本当に女性にモテなかった」
 ということであろうが、今から思えば、
「妹が家に入ってから、自分を見る女性の視線が少し変わった」
 とも思っていたが、それまで何しろ、
「彼女が一人もいなかった」
 ということでの、
「負の実績」
 というものが、
「女性を見る目だってないに違いない」
 と感じるようになったのだった。
 ただ、家に来た時の妹は、まだまだ中学生で、
「まだまだ子供」
 ということだった。
 母親もまだ、30代で、若かったこともあって、
「ひょっとすると、その時最初に意識したのは、義妹ではなく、義母だったのではないか?」
 と感じていたのだ。
 だから、逆に、
「妹に対して、妹として以外の感情を持ってはいけない」
 と考えた。
 それはあくまで、
「モラル」
 としての感覚であり、大学生の頃の葛城の性格そのものといってもよかったであろう。
 ただ、気になったのが、
「ここまで年が離れていて、妹というのは」
 と考えると、
「だからこそ、血がつながっていない」
 ということでの自分を納得させる気持ちであり、そのせいで、
「恋愛感情が浮かんだとしても仕方がない」
 と感じるのだが、
「それは許されることではない」
 という、
「結局、モラル的なことに戻ってくる」
 という発想だったのである。
 実際に、
「世の中には、年の離れた兄妹というのは多く存在している」
 ということであるし、それが
「義理の仲」
 というのも多いだろう。
 しかし、
「義理ということだからこそ、苦しむということもあるはずだ」
 ということで、実は最初から、
「義理の兄妹」
 ということを気にしていたと思うのだった。
 それを、苦しみとして受け入れないようにしないと、
「きついのは自分だ」
 ということになる。
「今までの人生を振り返ると、確かに、ここまで意識したことはなかった」
 と思った。
 しかし、そんな義妹と、別れを告げられる時が実際に来ようとは、夢にも思っていなかった。
 それも、自分からではなく、妹の方からであった。
 というのは、
「お兄ちゃん、私、今度結婚しようと思っているの」
 といってきたからだ。
「えっ、結婚?」
 といってあっけに取られている葛城を横目に、何とも言えない、まるで、苦虫を噛み潰したかのような表情になった妹の心境を、慮ることはできなかった。
「どこか寂しさを感じている」
 と思ったのは、自惚れであろうか。
 それまでは仕事において、
「自信過剰は悪くはないが、自惚れはあまりいい傾向ではない」
 と思っていたのだ。
「まさか妹に対して、いけないと思っている態度を取るなんて」
 と思ったが、それを妹が感じたかどうか分からないが、出してしまったことに対して、自己嫌悪に陥ったのだった。
 妹は、
「お兄ちゃんの気持ち、私分かっていたわ」
 という。
 そして、妹は、
「私もお兄ちゃんが好きだったのよ」
 という爆弾発言をした。
 さらに、妹は、
「お願い、最後に一度だけ、私を抱いて」
 と言い出すではないか。
「何を一体」
 というと、
「私、実はお兄ちゃんを待っていたの。でもお兄ちゃんが私のことをモノにしようとしてくれないので、しびれを切らしたの。そこで、私にプロポーズしてくれた人と付き合うことにしたの」
作品名:相性の二重人格 作家名:森本晃次