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相性の二重人格

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 ということであったが、それが、実際に遭って、肌を合わせてみると、自分が見ていたものが、
「義母だった」
 ということに衝撃を受けたのだ。
 そして、その時感じたことが2つあったのだが、最初に感じたのは、
「自分の本当の初恋は義母ではなかったか?」
 ということであった。
 その思いを隠すために、
「高校時代に好きだった」
 という相手をでっちあげたという感覚だった。
 本当に初恋の人はいたはずなのだが、それを義母の存在が打ち消させ、しかも、
「禁断の思い」
 ということから、自分で偽りの恋愛感情を作り上げたことで、歪な性的感情が生まれ、それが醸し出された状態であっては、
「誰が俺なんか好きになってくれるというものか」
 と考えたのだ。
 それを思うと、まわりの目は、一様に、
「あいつは気持ち悪い」
 と思われていたに違いないということだっただろう。
 さらに次に考えたのは、
「郁美への気持ち」
 からくるものだった。
「自分が郁美を特別な目で見ている」
 ということは最初から分かっていたのだが、その思いが、義母に対する気持ちを隠したくて、
「まだ、妹への思いの方が、罪深くはない」
 と考えたからなのかも知れない。
 これが実の妹であれば問題があるだろうが、
「異母兄弟」
 ということであるが、実は、父親も違うということで、まったく血がつながっていないということから、罪悪感は幾分か減るというものだった。
 そもそも、血のつながりがないのだから、罪悪感を持つ必要などあるわけはない。それを思うと、妹への感情が勝手に膨れ上がってくるのだ。
 しかし、いつ頃からか、
「妹への思い」
 というのも、罪悪に感じられた。
 それが、
「自分が童貞で、女性からモテることはない」
 ということの、コンプレックスからくるものだと思えば、
「郁美を好きになることは、タブーなんだ」
 という罪悪感に襲われるようになったのだ。
 さらに、もう一つ感じたのは、
「今まで風俗というものに、とんでもない勘違いをしていたんだ」
 という感覚であった。
 静香嬢を見ていると、今まで聞いていた風俗嬢というものへの感覚が変わっていった。
「風俗嬢というと、あくまでも、お姉さんというイメージがあってしかるべきだ」
 と思っていたのだ。
 確かに、いろいろなコンセプトの店がたくさんあるので、
「それに合わせた性格」
 というものを皆作っているということになるのだろうが、
「実際には、主導権はあくまでも、女の子が握り、それだけ立場も上で、逆らえない状況にあるものだ」
 と思っていた。
 しかし、静香を見ていると違った。
 これはシチュエーションに限ったことではなく、確かに、
「妹系」
 を感じさせるものだが、それよりも、
「ガールフレンド」
 という感覚が強かった。
 お互いに、
「どっちが上」
 という立場関係ではなく、お互いに、
「慕い合う」
 という感覚が醸し出されることで、いやらしさというものがなく、いかにも、
「疑似恋愛」
 という言葉の通りだと思わせるのであった。
 だから、男とすれば、
「事を終えた後」
 というと、いわゆる、
「賢者モード」
 に陥るのだろうが、それが一種の罪悪感というものであったはずなのに、静香と一緒にいると、
「賢者モード」
 は襲ってきたが、それが、罪悪感ということはなかった。
 だから、終わった後も、抱き合って、普通に会話ができたのだ。
「下手をすれば、個人情報まで話してしまいそうで怖いな」
 というほど打ち解けた気分になるのは、初めてだった。
 想像もしたこともないはずだったのに、感覚としては、
「懐かしい」
 という思いであった。
「そういえば、今日は、ここに来るまでに、何度、懐かしいという感覚になったことだろう」
 と思えた、
 今日の経験のそのすべてが、
「初めてのことだったはずなのに」
 と思わせるのに、最後になっても、
「おかしな感覚」
 ということを感じさせるのであった。
 実際には、それからも、この店の、
「いや、静香を本指名する」
 ということになるのだが、その日は、そこまでは考えが及ばなかった。
「今日一日は、静香の余韻に浸る」
 ということで満足だったのだ。
 ただ、次の日になると、急に、
「身体が反応する」
 ということになるのだった。
 それは、
「義母を見た」
 という時だった。
 それまでは、義母をいつも直視していた、
 その日は実家に戻って、一家団欒だったのだ。
 就職してから最初は、あまり帰らなかったが、ここ数か月くらいは、実家に帰ることが多くなっていた。
 それを義母も郁美も喜んでくれていたので、その表情に甘えることにしたのだ。
 特に、妹の郁美は、本当に喜んでくれているようで、そのあどけなさが好きになった理由だったのだが、義母に対しては、どこかぎこちなさがある中に、喜んでくれるというのは、そこにギャップが感じられるようで、それこそ、
「義理とはいえ家族」
 ということからなのか、自分の中で、
「ギャップ萌え」
 というものを感じているような気がして仕方がなかったのだ。
 その日、いつものように、実家でのんびりしていると、義母と二人きりになる時間があった。
 それは、風呂から上がって、応接間でテレビを煮ながらビールを飲んでいた時だった。
 父親と郁美は、さっさと自分の部屋に戻っていた。
 父親は、仕事の疲れからあ、爆睡していた。
「最近、疲れがたまって」
 といっていたが、たまにしか合わないので、その様子は顕著に見える気がしたのだ。
 妹の方は、
「試験が近い」
 ということで、試験勉強に余念がない様子だった。
 仕方なく、ビールを飲みながら、ソファーに横になって、完全にリラックスした姿でテレビを見ていると、義母がやってきて、
「よかったわ、あなたがいてくれるので、寂しくなくて」
 といって、若干頬を紅潮させているように見えた。
「あれ? 酔っているのかな?」
 と思ったが、飲んだという様子もなかった。
 風呂に入っていたのは自分なので、風呂のせいということでもないようだ。
 ただ、
「寂しくなくて」
 という言葉はドキッとした。
 裏を返せば。
「私、寂しいの。だから、慰めて」
 といっているように思えたのだ。
 今までも、ひょっとすると、こんなシチュエーションはあったような気がした。もちろん、まったく同じというわけではないが、
「義母が何かを訴えようとしている」
 ということで、そのことに、
「自分が気づいてあげられなかったんだ」
 ということで、
「自分の罪深さが分かった」
 という気がした。
「何が変わった?」
 と一瞬考えたが、
「そうだ、昨日までの俺と今日の俺とでは違っていて当たり前じゃないか?」
 と感じた、
 実際に、
「今日から俺は変わった」
 つまりは、
「本当の大人になったんだ」
 という思いはあった。
 しかし、実際に大人にはなっているという感情もあったので、
「大人になった」
 といっても、それは、形式的なことに近いのではないかと思ったのだ。
 しかし、
「今まで気づかなかったことを気づくようになった」
 それも、
作品名:相性の二重人格 作家名:森本晃次