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「家長制度」
 というのは、そのまま残った。
 昭和の時代までは、
「父親の威厳」
 というものが大きく、その威厳によって、
「負家長制度」
 というものが続いてきたといってもいい。
 特に、
「父親には逆らえない」
 ということで、昔から言われている、
「怖いものの代表例」
 ということで、
「地震、カミナリ、火事、親父」
 という皮肉を言われるほど、
「父親の威厳」
 というのは大きなものだった。
 特に、夕飯時期などに、それが顕著に表れているといってもいいだろう、
「夕飯は、父親が仕事から帰ってくるまで、誰も食べてはいけない」
 と言われることである。
 さらに、テレビが普及してからなどは、
「テレビを見ながら食事をしてはいけない」
 などという、悪しき伝統のようなものがあったものだ。
 確かに、その頃までは、
「父親が働いてきて、家族を養い、母親は、家で家事に専念する」
 という、
「専業主婦の時代だった」
 といってもいいだろう。
 それだけ、父親には、
「家族を養う」
 という家長としての責任があるわけで、その分、
「家では威厳を保っている」
 といってもいいだろう。
 しかし、それも、昭和時代くらいまでであり、その後に起こった、
「バブルの崩壊」
 というものが、それまで、時代が変わっても、
「社会秩序の根底」
 ということであるかのように、かたくなに守られてきた伝統が、崩壊することになったのだ。
 これも、いわゆる、
「それまで言われてきたことの神話の崩壊」
 といってもいいだろう。
 それまでは、
「バブル経済」
 ということで、
「何をやっても、儲かるように経済が回っていた」
 といってもよかった。
「事業を拡大すればするほど、儲かる」
 ということなのだから、
「当座の資金」
 というものさえあれば、
「あとは、事業を拡大するだけ」
 ということであったのは、そもそもバブル経済というものが、
「実態のないものを追いかけていた」
 ということからであった。
「盛者必衰」
「諸行無常」
 という言葉が、
「平家の滅亡」
 という悲劇を生んだことが書かれている
「平家物語の冒頭に記されている」
 ということであったが、せっかくの教訓が生かされなかったということで、実際に、誰も、
「バブルの崩壊」
 というものを考える人がいなかった。
 いや、
「いるにはいた」
 ということなのかも知れないが、
「もし、そんなことを公表してしまうと、せっかくうまくかみ合っている経済なのに、その一言が経済に混乱を招き、いわれのない問題を引き起こし、ひょっとすれば、このままずっとうまく行くかも知れないことに水を差すと考えると、誰も何も言える状態ではない」
 といってもいいだろう。
 だから、何も言えずにいるわけだが、それが、結局は、
「バブルの崩壊」
 というのを招くことになるのだ。
 それが、それまでの常識というものを、すべて覆すことになった。
「事業を拡大すれば、その分儲かる」
 などというのは夢物語。
「拡大した分が、すべてうまく回らなくなり、それまでの自転車操業が、まったくできなくなることで、
「一つの企業での、どこか一部」
 あるいは、
「社会経済の中での一部どこかで、歯車が狂ってしまうと、あっというモナその周辺が立ち行かなくなり、さらに、気づいた時には、経済全体が、滞ってしまい、すべてが、回らなくなる」
 ということであった。
 それだけバブル経済は、
「そのすべてにおいて、噛み合っていた」
 ということなのか、そもそもが、
「実態のないものを追いかけていた」
 ということが、一番の原因ということであろう。
 それが、
「バブルの崩壊」
 を招き、会社の存続問題というのが、ほとんどの会社で巻き起こる。
 それは、大企業から、零細企業すべてにかかわってくるということで、
「世の中大企業であろうが、冷静企業であろうが、経済が回るには、それぞれが、噛み合っていかないといけない」
 ということの証拠だといってもいいだろう。
 ただ、
「大企業が傾くと。その影響が大きい」
 というのは当たり前ということで、
「連鎖倒産」
 というのが当たり前のようになると、銀行は、貸した金が凍り付いて、
「企業を助ける側」
 であるはずの銀行が、次々に破綻していくから大変であった。
「破綻を逃れるため」
 ということで、会社がしなければいけないことというのは、それまでが、
「事業拡大」
 ということで、
「どんどん社員を雇って、事業を回す」
 ということであったが、バブル崩壊によって、
「儲かりがまったくない」
 ということになると、問題は、
「収入に限界がある」
 ということから、
「支出を減らす」
 ということが最優先課題ということになるわけで、
「支出を減らす」
 というのは、そのまま、
「経費節減」
 ということになるわけで、一番のかかる経費というのが、
「人件費」
 ということになるのだ。
「使わない電気は消す」
 などというちまちました削減で、会社がもつわけもない。
 それまで、事業を拡大してきた分、
「残業代を払っても、拡大事業を、限られた社員で賄う」
 ということで、それこそ、
「企業戦士」
 と呼ばれた人が、
「バブル経済を支えてきた」
 のであるが、それが、今度は、
「経費削減のための最初の犠牲」
 ということで、
「リストラ」
 という憂き目にあうことになるのだ。
 当時は、
「早期退職」
 などと言われ、
「退職金に色を付けるから」
 ということで、退職者を募ったり、
「肩叩き」
 などと言われ、
「窓際に社員を追いやって、仕事も与えず、自分から辞めさせる」
 というようなやり方を取ってまで、
「人件費を削減しないと、会社が潰れてしまう」
 ということで、まるで、江戸時代の、
「改易による、浪人の増加」
 を思わせる、
「失業者の増加」
 というものを招くという、それだけでも、大きな社会問題を生み出すことになるのであった。
 しかも、会社に残れたとしても、
「収益がない」
 ということを理由に、
「給料を下げられたり、今まであったボーナスというものの支給がなくなる」
 ということなのだ。
 つまりは、
「会社を辞めるも地獄。とどまるのも地獄」
 という、ものすごい時代だったのだ。
 そうなると、中には、
「リストラされた」
 ということを家族にはいえず、毎朝、いつものように、スーツを着て会社にいくふりをして、
「どこかの公園で、夕方まで時間を潰す」
 ということをしないといけない憂き目に遭っている人は、かなりの数いたのであった。
 そんなことがいつまでも分からないわけもない。
 当時には、すでに、給料は銀行振り込みになっていたので、分からない人はすぐには分からなかったかも知れないが、いつまでも騙し続けることは不可能で、かといって、
「旦那を責める」
 ということで解決する問題ではない。
 旦那は、就活をしながら、奥さんがパートにでも出て、
「家計を少しでも助けなければいけない」
 という時代になってきた。
 それによって
「家長制度」
 というのも、
「やっと崩壊する」