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 ということであれば、欲というものを、否定してしまえば、自分で受け入れることができなくなり、その受け入れがなることで、逆に、自分の中から感覚として消すことが初めてできるということになると思うのだった。

                 精神的な裏切り

 そんなことを考えていたルミが、今の旦那である
「栗林聡」
 という旦那であるが、その旦那を初めてみた時、村雨は、
「あれ? 初めてだっけ?」
 と感じた。
 というのは、
「以前にどこかで遭ったことがあるような気がするんだけどな」
 という思いがあったからだった。
 しかも、その時、
「誰かと一緒の時に見た」
 ということであり、少なくとも、
「会話をした」
 という意識はないので、
「相手は、こちらのことは知らないだろう」
 と思ったのだ。
 村雨の奥さんは、
「洋子」
 という。
 洋子も、一見大人しい女で、
「裏に何かを持っている」
 ということで、
「ルミと似たところがある」
 と思ったことから、
「そっか、だから俺はルミに惹かれたのかも知れない」
 と感じた。
 それは、
「元々が、そういう女が好きだったことで、洋子をずっと愛してきたつもりだったが、洋子と結婚するということになり、初めて感じた、飽きるという感覚、その時、洋子のような女性が嫌いではないのに、飽きてしまったことで嫌になったという事実、そんな自分が嫌で嫌で仕方がなかったのだ」
 それを、
「何とかごまかすため」
 そして、
「自分を納得させる」
 ということのために、考えられることは、
「似たような他のオンナで、洋子を上書きするしかない」
 と思ったのだ。
 しかし、それをするということは、
「堂々巡りを繰り返す」
 ということであり、それが、
「いたちごっこだ」
 と考えると、
「似たような他のオンナで上書きする」
 ということを一度やってしまうと、そこから逃れることができなくなり、
「堂々巡り」
 であったり、
「いたちごっこ」
 というものを繰り返さなければ、
「飽きっぽい性格から、脱却ができない」
 ということになるに違いない。
 それを考えると、
「自分もしているのだから、相手もするだろう」
 ということを、一瞬だけだが感じたのだ。
 しかし、それも一瞬のことであり、それを考えたことで、
「再度考えることはない」
 といえるだろう。
 それが、
「一種の記憶喪失」
 のように見えることであり、
「記憶喪失ではなく、本当に記憶というスペースから消えてしまう」
 ということになるのだと、思ってもみなかっただろう。
「では、記憶というスペースでなければどこにあるというのか?」
 ということを考えると、
「ひょっとすると、もう一人の自分の性格をつかさどっているのではないか?」
 と考えたのである。
 だから、記憶というスペースに放り込まれなければ、一度だけは、もう一人の自分の性格に転嫁することができるが、
「二度目はない」
 ということで、
「永遠に、自分の記憶に、意識として戻ってくるということはない」
 といえるだろう。
 この時、村雨が、
「栗林聡」
 という男を見た時、
「誰だったのだろう?」
 ということで思い出せなかったことによって、栗林には、
「もう思い出すことができなくなった」
 のだった。
 それは、今までの経験から言って。
「自分には二度と思い出すことができない」
 と感じたことは意識できたが、今までは、
「それは残念だ」
 と思ったことだろう。
 せっかく思い出すつもりで思い出せるところまできたのに、思い出せないということは、
「これほどもったいないことはない」
 と感じるだろう。
 しかし、今回において、
「このまま思い出せないことが幸せなんだ」
 と初めて感じた。
 そのおかげか、
「今までに思い出せなかったことの中に、同じように、思い出すということが無駄になることもある」
 という風に考えたことから、
「思い出せないことが、功を奏するということもあるんだ」
 と感じるのだった。
 今回は少し違って。
「見た記憶があるはずなんだが」
 ということであったが、それを思い出せないことが、自分にとってありがたいことだと感じたのは、
「自分が殺そうとしている人間のことを、いまさら思い出しても仕方がないではないか?」
 ということで、
「思い出さなければいいことだってたくさんあるはずだ」
 ということで、自分を納得することができるのだとすれば、今回のように、
「記憶から抹殺する」
 ということが重要だということになるのであろう。
 だから、一度は、
「どこかで見たことがあるような」
 という感覚に陥ったことがきっかけとなり、
「永遠に思い出せない」
 ということで、殺害に対しての、
「うしろめたさ」
 であったり、
「罪悪感」
 というようなものがないことが、一番いいのだ。
 これが、
「欲の抑制」
 のように感じた。
 というのが、
「うしろめたさ」
 であったり、
「罪悪感」
 というのもが、性欲として、男特有の、現象として訪れるものということで、
「賢者モード」
 というのがあるではないか。
 興奮が最高潮になり、果ててしまったその瞬間に襲っている。
「罪悪感」
 であったり、
「うしろめたさ」
 というなんともいえない気持ち。
 だから、男性には、果てた痕、自分にも納得できない異様な瞬間が訪れて、復活するまでに、少し時間を要するということである。
 だから、女性のように、
「体力がある限り」
 ということで、途中において、
「罪悪感」
 や
「うしろめたさ」
 などというものがないことで、いくらでも、欲を持ち続けることができる。
 それなのに、
「性欲は男性の方が強いのでは?」
 と言われるかも知れないが、それだけ、異常性癖に走るのが、男性だということなのかも知れない。
「女性も異常性癖というものはあり、むしろ、女性の方が厳しいかも知れない」
 と思うが、それを表に出さずに済むというのは、それだけ
「我慢ができている」
 ということで、子供を産むことができる女性の忍耐力には、男は絶対にかなわないということになるのだろう。
 そんな我慢できない中において、栗林聡は、結局殺されることになった。
 犯人は確かに、村雨だったのだが、村雨は警察に捕まる前から自首をしたのだ。
 実際に、警察の捜査から、犯人と特定されることもあっただろう、しかし、現場にのこされた状況を考えると、
「犯人が特定されるまでにはかなりの時間が掛かるだろう」
 と言われた、
 実際に遺留品もなければ、何といっても、被害者とのつながりという点においては、まったく接点がなかったのだ。
 もちろん、
「奥さんを怪しいと睨んで。奥さんから線をたどれば、村雨いたどり着く」
 ということもあるだろうが、だからと言って、
「奥さんの浮気相手が、旦那を殺して、何の得になるのか?」
 ということであった。
 警察が捜査すれば、
「村雨夫婦も、離婚の危機」
 ということで、それぞれが、
「離婚の危機に見舞われている」