小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

複数トリックの組み合わせ

INDEX|13ページ/16ページ|

次のページ前のページ
 

 ということが、最初から湧いてくる発想にはなかったということであろう。
 その発想は、自分のまわりの環境から生まれるというもので、
「誰によって洗脳されるか?」
 と、洗脳というものが、
「相手によるものだ」
 ということに行きつかないことが、あとから考えれば、
「一番不思議なことだったのかも知れない」
 と感じるのだった。
 おしとやかな性格ということで、
「大人のオンナ」
 というのを醸しだしている。
 それが、男性に好かれるということになるのだろうが、これは、逆にいえば、
「普通の男性では太刀打ちできない」
 ということであった。
 それだけ、彼女は、
「自分のまわりにいる男性は、いろいろな意味で、個性がある」
 ということであった。
 いい意味でも悪い意味でも、
「太刀打ちできる」
 という思いを抱いている人だけが近づいてくる。
 最初から、
「太刀打ちできない」
 と、あとからでも感じる人であれば、近寄ってくることはない、
 しかも、ルミが、自分自身から、男性に近づくということもなかったのだ。
 そういう意味では、ルミとしては、
「まさか、自分から男性に近づいていくなどということを思うなんて、自分が自分で信じられない」
 と思うのだった。
 高校時代の、あのターニングポイントから、彼女は、
「男に対しての恐怖心」
 というものがマヒしていた。
 というのは、
「普通の女性が感じる男」
 というものであり、暴行された時の相手に対しての恐怖は残っている」
 ということであった。
 それは、
「男というものへの恐怖ということではなく、人間ということでのくくりの中の恐怖だ」
 ということだったのだ。
 そんな中で、一人だけ、目の色が違った男がいた。
 本来であれば、その男が一番怖いといってもいいのかも知れない。
 しかし。ルミにとっては、その男が怖かったのではない。むしろ、その男以外は、皆淡々としていて、目も落ち着いていたのだった。
 ルミが恐怖を感じたのは、そんな目であり、
「冷淡というか、冷酷に見える目」
 だったのだ。
 だから、表情というものを感じることはなく、
「何を考えているのか分からない」
 というのが怖かったのだ。
 だから、
「誰かを好きになるということなどないだろうな」
 と自分が、最初から思っていたということに気づかされたのが、この、
「ターニングポイント」
 と言われる、暴行事件の時であった。
 暴行されながら、
「早く終わって」
 と思っていた。
 もし、こういう状況に追い込まれた時、
「私は絶対に、屈辱で震えが止まらないんだろうな」
 と思っていたのだ。
 自分の中で、
「大人のオンナ」
 という意識があり、
「大人のオンナというのは、プライドが高く、それを傷つけられると、屈辱感で、呼吸困難になるとまで思っていた。
 まるで、
「呼吸困難から、パニック障害を引き起こすのではないか?」
 と思うからであり、暴行されたわりに、自分が落ち着いているのが分かったのだ。
 それは、
「大人のオンナだから」
 と思っていた感覚とは若干違っていた。
「大人のオンナであれば、その屈辱に耐えられないのではないか?」
 と思っていたので、
「暴行だけはされたくない」
 とずっと思っていたのだ。
 中学時代までは、
「暴行されたことで、どうして皆あんなに、トラウマになったりするんだろう?」
 と思っていた。
 もちろん、襲われるわけだから、
「相手の表情が怖くて、それがトラウマになる」
 ということは分かっていて、だから、暴行されたということを、現実として受け入れられなくなるということも考えられることであった。
 しかし、実際に暴行を受けると、何が怖いといって、あとから考えると、
「その瞬間から、自分というものが明らかに変わった」
 と感じることであった。
 それは、何かが後ろを押す形で、
「自分が変わらなければいけない」
 と思ったことだった。
 その、
「自分を動かしたものが何なのか?」
 ということが、自分でも分からない。
 それを考えると、
「その時がターニングポイントだった」
 ということは分かるのだが、そのターニングポイントというのが、自分の中で何をどのように動かすのかということが分からなかったことだった。
 その時の暴行事件は、完全に、闇に葬られたのであった。
 本人が訴えるわけでもなく、もちろん、組織が動くわけではなかった。
 むしろ、組織は、それを隠そうという隠蔽に走ったことで、ルミとすれば、組織に対して、
「何事も表に出されたくなかったら、私がこのグループを抜けることを了承してほしい」
 という、交換条件を付けたのだった。
 それに対して。グループも、二つ返事で、
「そうしてほしい」
 とでも言わんばかりだった。
「これを機に厄介払いができる」
 ということであろうか、下手にバラされるよりもいいことだ。
 トラウマという形で残ってしまったが、その代償に、グループを抜けられたのはよかっただろう。
「ある程度まで立ち直ることができたのは、このタイミングでグループから抜けられたからだ」
 といえるだろう。
 もし、このタイミングよりも、
「遅かったり、早かったりすれば、立ち直ることはできなかった気がする」
 と思うのだった。
 その頃から、ルミは、自分の性格が、
「感覚がマヒしているようだ」
 と思うようになった。
 それは、普段からマヒしているというわけではなく、
「何か肝心なことが襲ってきたりすると、感覚をマヒさせることができる」
 という一種の、
「特殊能力」
 というものを身に着けていたということであった。
 そんなルミとしては、
「特殊能力」
 というものが、自分だけでできるものだとは思っていたが、そんな中で、
「どこかのタイミングで、人の力に委ねるところがある」
 と思うようになった。
 それが、この時の暴行事件のように、
「男性からの蹂躙」
 ということであり、その時に感覚をマヒさせることで、相手を、
「男性だ」
 と思うのではなく、
「人間だ」
 と感じることで、
「男女間のいやらしい性欲だけにこだわるものではない」
 と考えさせられるのであった。
「性欲というものが、まだ自分が思春期の時、まわりの耳度島と言われる女たちから、いやらしさということも聞かされ、それに対して、自分の中でその性癖というものを考えていた時、それを男性と女性の間で行われる、醜くて、汚いことだ」
 と考えるようになると、
「それを性欲として片付けたくない」
 という思いから、話を聞いていて、
「実際には聞いているふりをしながら、耳には入ってこない」
 という状況を作りたかった。
 それを相手に対しては、
「聞いていて、恥ずかしがっている」
 という、
「相手が期待する態度」
 というものを見せられるようになっていたのだ。
 そのためには、
「感覚をマヒさせる」
 ということが大切で、そのために、
「男女間のことだ」
 とは思いたくなかったのだ。
 そう、
「男女間というものが、性欲によるものだ」