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真実と事実の絡み

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 ということで、問題になってしまったといえるのではないだろうか?
 それを、本当であれば、誰にも知られてはいけないものが、どこかから漏れたことで、
「想像もしていなかった」
 という事態が持ち上がり、事情を詳しく知らない友達が、本人たちには、悪気はないという気持ちなのかも知れないが、皮肉を込めて、
「天才学者」
 という言葉を、敢えてあだ名にしたのかも知れない。
 その時、まだ本人である川端は、
「高校入学が不正だった」
 ということを知らない。
 それが、次第に、川端の精神を病ませることになったのだ。
 だが、川端が、
「本当に高校入試の際に不正があったのか?」
 ということを分かっていないように思えることから、まわりも、それに対して、
「何も言えない」
 ということであった。
 何といっても、
「本人が知らない」
 ということであれば、それを追求することもできないわけで、そもそも、父親に聴くわけにもいかない。
 当然、
「息子のことを考えたら、口が裂けても言えない」
 ということが言い訳になるだろうし、何といっても、
「わが身の保身」
 ということから、いうわけはない。
「簡単にバラすくらいであれば、最初から、不正などするはずもない」
 ということで、
「この秘密は、墓場まで持っていく」
 という、覚悟がなければ、しないことだというのも当たり前のことなのであろう。
 そうなると、
「息子が知らなければ、それはあくまでも、ただの想像でしかない」
 ということになるが、父親が恐れていたのは、当然のことながら、
「息子に知られてしまうかも知れない」
 という危惧であった。
 ただ、想像が許す範囲で考えるとすれば、
「川端が知らなかったというのは、少し怪しい気がする」
 ということであった。
 ただ、それは、
「本人が知っていたうえで、高校に入学した」
 ということではなく、もちろん、最初は知らなかったが、次第に分かるということがあったということからであろうが、それも、
「川端の立場」
 から考えれば、おのずと分かってくるということになるのではないだろうか
 というのは、
「大前提として、彼が中学時代に、成績が悪かった」
 ということからのことである。
 もちろん、裏口入学を考えるのであれば、高校入学に親として自信がないからだっただろう。
 さらに、子供を見ていて、実に自信がなさそうな性格であれば、
「プレッシャーに負けてしまう」
 ということで、
「危ないかも知れない」
 と感じたから強行するということを決意したのだろう。
 だが、これは、
「親のエゴ」
 というもので、子供のことをもっと真剣に考えていれば、考え方は違っていただろう。
 というのは、
「高校に入学さえしてしまえば、あとは何とかなる」
 という考えだからである。
 つまり、
「押し込んでしまえば、あとは学校側の責任だ」
 ということで、まさかとは思うが、
「金を出して入学させた学生を、高校で成績が悪く、進級できないなどという問題が起こると、そもそもが、成績によって入ってきた生徒ではないので、そこから、裏口入学がバレてしまうと、学校側もまずいだろう」
 という考えから、
「相手も同罪なので、卒業まで責任をもって引き受けてくれるはずだ」
 と考えたとすれば、それは大きな間違いだろう。
「翌年に、学校が同じ体制だ」
 とは限らないではないか?
 ということである。
 つまり、
「もし、裏口入学を企んだのが校長だったとして、その校長が翌年には交代するかも知れない」
 ということになり、
「もし、交代すれば、裏口の事実は覆い隠され、誰も知らないということから、逆に、隠す人がいないことで、表に出てくる」
 という可能性だって否めない。
 そうなると、
「裏口の話が表に出ないだけでも儲けもの」
 ということになり、
「お金をはたいてまで入学させたことが、暗躍した側にも、何をしていたのか分からない」
 ということになるわけだ。
 そうなると、
「生徒一人の問題ではない」
 ということになり、
「不正入学してきた生徒の末路は?」
 というのは、
「悲惨でしかない」
 ということになるだろう。
 というのも、何といっても、
「入学してきた時というのは、不合格者」
 ということで、成績は最初から、
「マイナス」
 という事情だ。
 だから、まわりは皆、合格してきた連中なので、合格の最下位よりも、さらに下ということになるわけで、中学時代までは、
「中の上」
 くらいの成績だったものが、いきなり、
「マイナスの位置」
 ということになるわけで、
「勉強についてこれるわけはない」
 といえるだろう。
 特に、
「学生としての最終目的は、大学の経済学部」
 ということであった。
 だから、高校に入学すれば、決まり事のように、
「大学入試」
 というものがついてくるというわけで、
「ただでさえ勉強についてこれない実力しかないものが、よく大学に入学できた」
 ということで、
「大学入試に、何らかの不正が行われたのではないか?」
 ということであったが、それはないだろう。
 さすがに、
「高校入学のために使ったお金」
 というのが、最大の金額で、それ以上を使うと、完全に、
「川端家は崩壊」
 ということになる。
 会社も人手に渡るか、それとも、倒産の憂き目にあうかということで、結果は悲惨にしかならない。
 それもこれも、
「息子の進学」
 ということにおいて、
「不正入学」
 という禁じ手を使ったからだった。
 それでも、何とか、大学の経済学部に行けるまでになったのだから、
「高校時代の途中からの彼の努力は、半端なものではないだろう」
 と言ってもいい。
 最初はさすがに、
「なんでこんなについていけない」
 ということで、自分の運命を呪ったかも知れないが、うまく開き直りに成功できたようで、そのおかげで、大学にも入学できたということであろう。
 これが紙一重で、
「俺はもうダメだ」
 と思ったとすれば、
「自主退学」
 ということをしなくても、成績の悪さから、
「留年」
 ということになり、最終的には、
「退学」
 という憂き目にもなっていることだろう。
 そもそも、そこまで行く前に、まず誰も耐えられず、
「自主退学していく」
 ということになる。
 自主退学していくというのは、ある意味、
「人生の階段を踏み外す」
 ということで、世間によく言われる、
「不良化」
 ということを絵に描いたようなことになるということであろう。
 実際に、
「人生の階段を踏み外した」
 という人が、
「チンピラになったり、風俗の用心棒のようなことをしたり」
 という状態に落ちてしまうということになるだろう。
 川端は、そこまで行く前のどこかで、自分で我に返ることができたのだろう。
 これは、
「親父の間違いを、息子が必死になって晴らした」
 ということであるが、急に、降ってわいたような誹謗中傷が流れたというのは、
「どこかで、川端に立ち直ってもらっては困る」
 という何かが暗躍していたということではないだろうか?
 それについては、
「想像の域」
作品名:真実と事実の絡み 作家名:森本晃次