小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

真実と事実の絡み

INDEX|10ページ/17ページ|

次のページ前のページ
 

 ということでも、考えることは難しい。
 これが、
「高校側によるものなのか?」
 それとも、
「高校時代の同級生」
 の中に、何か、川端が、
「このまま落ちぶれてくれることを願っているやつがいる」
 ということであろうか。
 もし、そんなことを考えた場合に、想像が許されるのであれば、
「あの時の不正入学」
 というものが、川端だけではなく、数人いて、
「その人達は、自分が不正入学したという事実を知らない」
 というのであれば、やつらとすれば、
「川端が、何も知らないのをいいことに立ち直るというのは、耐えられない」
 と考えたのかも知れない。
 それは、
「完全な逆恨み」
 というもので、そのことが、
「川端への誹謗中傷になった」
 といえるのではないか。
 今の時代は、
「誹謗中傷」
 というのも、
「立派な罪」
 ということで、許されない悪事ということになるのだが、それがもし、公表されたとしても、
「川端の成功は許せない」
 と感じている人がいるということであろう。

                 異臭騒ぎ

 そんな川端と、奥さんが
「不倫をしている」
 ということを、貝塚は知っていたのだろうか?
 まさか、絵画教室で二人が遭ったというのは、本当に偶然のはずなので、それを知るというのは、不可能の気がする。
 そんな中で、その川端と奥さんが不倫をするために、川端が借りた部屋があるのだが、その部屋で、一人の男性が殺されているという通報を受けたのは、
「この部屋が、浮気の巣窟になっている」
 ということが、このマンションでウワサになりかけた時であった。
「部屋から何やら異臭がする」
 ということがウワサとして聞こえてきたということであったが、ちょうど、季節が、春から夏に向かうまでの梅雨の時期くらいであり、その臭いが充満するに十分だった時期であった。
 これは、どこまでが偶然なのか分からないが、ただ、通報されてやってきた刑事が、中に踏み込んだ時、その異様な雰囲気から、住民は
「ただごとではない」
 ということが分かった。
「異臭がする」
 と言って警察に通報したのは、隣の奥さんだった。
 管理人に連絡を入れて、管理人が奥さんの様子が異常だったということでの警察への通報だったが、表からカギがかかっていて中には入れない。
 そこで、管理人にいいに行って、中を確認してもらおうと、鍵を開けた瞬間、
「うわっ」
 と、声を漏らしたのが、管理人だったか、通報者の奥さんの方だったか、ハッキリとはしないが、最初こそ、
「そんなに騒ぐことはない」
 とタカをくくっていた隣の旦那さんは、奥さん一人に管理人室に行かせたのだが、それも、
「奥さんも、管理人に中を確認してもらえば納得するだろう」
 という程度にしか考えていなかった。
 というのも、
「隣の部屋に電気がついていることはまれだからな」
 ということが分かっていたからで、奥さんも旦那さんも、
「この部屋で逢引きが行われている」
 ということに、
「ほぼ間違いないだろう」
 ということは分かっていた。
 分かっていて、何も言わなかったのだが、それは
「お互いに理解はしていても、そのことの重大さということに関して、感覚が違っていた」
 ということであった。
 旦那の方は、
「不倫なんて、誰でもすることなので、そんなに目くじら立てることはない」
 という思いで、奥さんの方は、
「不倫は悪いことなので、分かった以上、制裁を加えないと気が済まない」
 という
「勧善懲悪」
 という考えである。
 旦那の方は、
「おそらくは自分が今不倫をしている真っ最中なのか」
 それとも、
「過去に不倫の経験があり、これからもいつしないとも限らない」
 ということから、
「人のことに構ってしまうと、自分が今度やらかした時、言い訳ができなくなってしまうのではないか?」
 ということから、
「不倫の擁護派」
 という形であった。
 しかし、そんないい加減なところがある旦那と違って、奥さんは、自分のことを、
「清廉潔白だ」
 と思っていることから、
「勧善懲悪だ」
 とも考えているのだった。
 旦那もよく分かっているので、なるべく、奥さんを刺激しないようにということだけを考えているので、今回のことも、
「管理人のところに行く」
 と言い出した時、最初は止めたのだが、
「止めたところで止まるわけはない」
 ということで、結局、
「好きなようにさせよう」
 ということになった。
 それこそ、
「本人が納得すればそれでいい」
 ということと、
「もし、その場所で、不倫の生々しい場面を見ることになれば、その汚さが、自分の一番嫌いなものということで、受け入れられないことを見てしまったということで、自分が受けるトラウマがどういうものかということを、自らで知らせるという、荒療治を仕掛けよう」
 と考えていたのかも知れない。
 そんなことを考えていると、奥さんだけではなく、男である管理人も、ほぼ同時に奇声を上げたではないか。
 旦那とすれば、
「奥さんが、恥ずかしさから声を出せない」
 というところを想像した。
 しかし、まさか、奥さんだけでなく管理人までもが、しかも、同じタイミングでということである。
 同じタイミングということは、
「二人はその光景を目の当たりにして、まったく同じ感情を持ったことから、声が揃ったのではないか?」
 と考えた。
 ということは、これが、
「不倫の現場」
 ということであれば、男女で、
「同じ感覚」
 というのはありえないと感じたのだ。
 何しろ、夫婦であっても、男と女という感覚から、
「不倫というものに対して、ここまで感覚が違うということなのだから、声が揃うというのは、どうにもおかしい」
 ということであった。
 ということは、
「不倫の現場ではない」
 ということだ。
 そもそも、冷静に考えれば、
「不倫の現場などであれば、鍵で開ける前に、声を掛けるはずなので、さっきは、誰が来たのか分からなかったので、うかつに開けるのは危ないと思い、開けなかったのだろうが、今度は、管理人が名乗るはずなので、さすがに、少し待ってほしいというくらいの声を出すのが当たり前だろう」
 それぞれに、場合が違うということだ。
 しかし、声を掛けたが、それへの反応は聞こえてこなかった。
 だから、
「管理人がカギを開けて中に入った」
 ということになるのだろう。
 実際に、中に入った時なのか、カギが開く音が聞こえるかどうかのタイミングで、悲鳴というか、驚愕の声が聞こえた。
 それは、不倫という言葉とは、少し違うニュアンスによるものだということではないだろうか?
 だから、旦那もさすがに、
「放っておくわけにはいかない」
 ということで、隣の部屋に行ってみた。
 すると、自分の部屋の扉を出たとたん、
「声の理由が、半分分かった気がした」
 のであった。
 なぜなら、
「その時いたのが、妻ではなく自分だったとしても。同じ声で叫んだに違いない」
 と思ったからだ。
 そして、その悲鳴の原因は、
「何かを見た」
 というわけではなく、
「この異臭」
 というものが、
作品名:真実と事実の絡み 作家名:森本晃次