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真実と事実の絡み

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「同年代の人同士でなじんでいる」
 ということだったので、
「私だけが宙に浮いた」
 ということになったが、教室の雰囲気に変わりはなく、
「皆仲良く」
 という雰囲気だったので、寂しくはなかった。
 だが、ちょうどそんな時に入ってきた、
「年齢の近い男性」
 途中からの入会ということもあり、その男性は、
「最初から宙に浮いてしまっている」
 と言ってもいい。
 だから、彼は、美穂にすり寄ってくるし、美穂の方も、
「まんざらでもない」
 と思っていることから、
「次第に、若手と、ベテランとの間で溝ができていた」
 ということであった。
 美穂としても、いまさらということで、
「チヤホヤされていた時期が懐かしい」
 とも感じるようになり、
「高齢者との確執を感じたくはない」
 と思っていたのだが、そう思えば思うほど、新参のその人に惹かれていくというのを感じるのだった。
 今でこそ、チヤホヤというものはないが、
「彼女がチヤホヤされていた」
 ということは、想像がついたようだ。
 しかも、高齢の方の女性が、何やら、美穂に対して、嫉妬のような目を向けていることから、
「最初に、確執めいたものがあったのでは?」
 と感じたのだ。
 ただ、その確執を感じていたのは限定的で、実際に、それが、
「高齢の女性」
 ということで、ここにいる該当者は一人だということであった。
 そうなると、その時には感じなかったかも知れないが、あとから入ってきた人が違う角度から見ると、その残像が見えてきて、その実情というものが分からないということにはなるのだろうが、年齢的なものでの確執」
 ということが分かると、その理由も、想像でしかないが、分かってくるというものだ。
 そうなると、余計に、美穂のことを意識するようになった。
「俺が守ってやらないといけないかな?」
 と、彼は思うようになる。
 彼は名前を、
「川端修二」
 と言った。
 美穂が見た時、
「まだ、40代前半くらいではないか?」
 と思っていたが、実際に聴いてみると、46歳だという。
 言われてみると、その通りに思え、逆に、若く見えたのは、
「少しの間ではあったが、高齢者に囲まれていた」
 ということが原因かも知れない。
 年齢を聞いたうえで川端を見ると、
「なるほど、年相応に見える」
 ということから、それまでの、
「若い仲間」
 という意識から、次第に、
「頼れる頼もしい男性」
 というイメージになってきたのだ。
「旦那とは違う意味でも頼もしさ」
 と感じたのだが、そこには、旦那にはない。
「自由さ」
 というものが感じられた。
 ただ、どの人間にも、
「悩み」
 であったり、
「苦しみのようなもの」
 があると考えると、
「その自由は、それらを乗り越えたから醸し出されることなのだろう」
 と感じた。
 そして、それは、
「苦労を苦労と思わない」
 ということからくるものだと、美穂は感じていた。
 美穂は、自分が、その川端という男性に惹かれるのが分かっていた。
 川端も、美穂のことを、
「まんざらでもない」
 と思っていたようで、この教室の雰囲気というのも手伝ってか、
「二人の間に、怪しげな雰囲気が漂っている」
 ということが、まことしやかに言われるようになっていたのだった。
 それが、
「絵画教室」
 というものを、少し異様な雰囲気にしているのだが、それでも、皆、
「絵がうまくなりたい」
 という思いが強いことから、
「決して、最悪の雰囲気になる」
 ということはなかった。
 そもそも、
「絵画教室というもので、そのような最悪の雰囲気になるというのか、想像がつきかねていた。
 あくまでも、
「最悪というものは、存在する」
 という意識が、不安を煽るということで、噂のレベルと言ってもいいのではないだろうか?」

                 天才学者

「奥さんが天才学者と不倫をしている」
 というウワサが、なぜか、
「ある一部の界隈でささやかれている」
 ということであった。
 その奥さんというのは、美穂のことで、その出所は、
「教室内の誰か?」
 ということであった、
 しかし、そのウワサというものが、どこでどう巡ったのか分からないが、
「旦那の貝塚氏の耳に入る」
 ということになったのだ。
「貝塚氏が誰から聞いたのか?」
 ということは分からない。
 そもそも、ウワサの出所も、
「絵画教室ではないか?」
 というだけのことで、そうなると、
「信憑性もくそもない」
 と言ってもいいだろう。
 しかし、そのウワサに昇った人間が、
「天才学者」
 ということであるが、どう考えても、美穂のそばに、
「天才学者」
 と呼ばれる人がいないのだ。
 それを思えば、
「そんな話は、根も葉もないことだ」
 ということで、一蹴すれば、それで済むはずのことだった。
 もちろん、まわりの人も、
「社長は一蹴して終わりだろう」
 と思っていた。
 ただ、
「ウワサの出所が分からない」
 ということで、
「気持ち悪さというものが残るだけだ」
 ということであった。
 だが、社長は、次第に、様子が変わってきた。
「まさか、あの根も葉もないうわさを信じているようだ」
 ということで、
「社長が信じる意味」
 というのが、まわりにはまったく分からなかった。
 確かに、若い奥さんをもらったことで、まわりから、
「やっかみのようなものを受ける」
 ということも考えられなくもないが、
「若いと言っても、まわりがうらやむほどではない」
 しかも、
「元スナックのママ」
 ということであれば、
「海千山千のオンナ」
 ということで、警戒はするだろうが、少なくとも、
「やっかみなどあるはずはない」
 ということであった。
 だが、
「次第に顔色が悪くなり、不安が煽られる」
 という様子を見ていると、
「やっかみ」
 というものではない、
「別の何かが出てきた」
 と考えるわけで、それが、
「美穂に対して、旦那が、どのように見えているか?」
 ということが分かってくるというものだ。
 今までは、
「若い女房」
 ということで、腫れ物に触るかのような、気の遣い方であったが、今はそんな気の付かお方ではなく、何かの不安が募っているところに、
「天才学者」
 などという、
「どこから出てきたワードなのか?」
 というような状況に、
「旦那として、初めての戸惑いを感じている」
 ということになるのだろう。
 旦那にとって、
「天才学者」
 という言葉が、
「自分の中でトラウマになっている」
 ということを、いまさらながらに思い出さされた。
 実際に、最近まで忘れていたことであり、
「自分の中には、トラウマのようなものはない」
 と実際に思っていて、そんなものがないことから、
「自分が、社長業という、今から思えば、大それたことができているということになるんだ」
 と思っている証拠だと感じていたのだ。
 今から思えば、貝塚の過去において、
「天才学者」
 というキーワードを紐解いて、時間をさかのぼっていくと、行き当たるものは、今から15年くらい前だっただろうか、
作品名:真実と事実の絡み 作家名:森本晃次