小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

真実と事実の絡み

INDEX|6ページ/17ページ|

次のページ前のページ
 

「毎日のマンネリ化した生活を感じてしまった時、自分に耐えることができるだろうか?」
 という思いであった。
 確かに、
「専業主婦というのは、慣れてくると、耐えがたい退屈と、毎日同じことを繰り返すというマンネリ化に耐えられるかどうか?」
 ということだというのを聞いたことがあった。
 そのためには、
「何か趣味のようなものをもっていないといけない」
 と考えていて、
「なるほど、確かに自治体のコミュニティセンターのようなところにいけば、いろいろな教室が開催されていて、同じような人が、コミュニケーションを作る場を提供してくれている」
 と言ってもいいだろう。
「自治体がやっている教室なので、そこまで高くもない」
 と思っていた。
 ただ、
「社長夫人」
 ということで、民間の教室でもいいということなのだろうが、美穂が考えたのは、
「いきなり民間の専門的な教室よりも、自治体がやっているところの方が、敷居が低いかも知れない」
 と思った。
 しかも、
「自治体ということであれば、夕方ということもなく、午後からだったりと、家事を終えてからの時間を使う」
 ということで、
「旦那が帰ってくる前に、家に帰りつける」
 ということで、しかも、
「買い物をついでにできる」
 ということがありがたかったのだ。
 それも、
「一人ではなく、お仲間さんと買い物ができるということで、そこでいろいろ教えてもらえることもあるだろう。
「やはり、家でじっとしているよりも、表に出て、そこで人と絡んでみるということが、勉強にもなるし、精神的にも余裕が持てるということになるだろう」
 旦那としても、実際には、
「専業主婦をやらせるのも、きっとつらい思いをさせることになる」
 と考えていた。
 何といっても、今までが、
「雇われ」
 ということであったが、
「スナックのママ」
 というものをしていたのだ。
 それを、
「求婚する」
 ということで、
「ひょっとすると、彼女の自由を奪うことをしてしまったのではないか?」
 という思いがあり、それが、自分を苦しめるということにもなっていた。
 だから、
「少しでも、表に出たいということをいうようであれば、できるだけ聞いてあげたいと思う」
 と考えていた。
 彼女としても、
「なるべく旦那に気を遣わせないようにしないといけない」
 と考えていたことで、お互いに、
「気を遣いあっている」
 ということだったのだ。
 ただ、それが原因で、却ってぎこちなくなる夫婦というのもあり、
「どんどん、破局に向かってくる」
 という場合もあるのだろうが、二人の気の遣い方は、
「歯車が噛み合っている」
 ということで、実にうまく回っていたのである。
 だから、美穂が、
「自治体でやっている生涯学習のようなものがあるんだけど、そこで、絵画をやってみたいの」
 というと、旦那も、
「それはいい」
 と言って、二つ返事で、了解してくれたのだった。
 パンフレットを見せると、値段的にもそんなに高くはないし、
「週に二回の、一日二時間」
 ということで、
「講師も大学教授」
 ということで、しっかりしているということは分かるのだった。
 何といっても、
「自治体の教室」
 ということが、貝塚氏を安心させた。
 自分は、
「民間企業の社長」
 ということで、自治体というのは、
「融通の利かないところだ」
 という意識があったが、そんな自治体も、
「市民とのふれあい」
 であったり、
「社会貢献」
 というものに、尽力しているというのも分かっているので、
「民間とは違う」
 ということでの新鮮さを、見えないというところで感じていた貝塚だったので、奥さんが、
「やりたい」
 と言った時、
「二つ返事で了解した」
 ということであった。
「楽しんでくればいい」
 ということで、送り出してくれたのだった。
 そんな教室で、美穂は結構チヤホヤされた、
 女性が少ないというのもその一つで、実際には、
「7,8人くらいの小規模な教室」
 ということであったが、女性は二人だった。
 そして、年齢的には、若い人は一人もおらず、皆50歳以上ということで、中には、
「定年後の楽しみ」
 ということでの参加だった。
 だから女性も、50代ということで、まるで、
「老人による、仲良しクラブ」
 と言ってもよかった。
 それこそ、
「このまま歌声喫茶に移動しても違和感はない」
 と言ってもいいくらいであった。
 だから、まだ30代前半という美穂が入ってくると、
「まるで娘ができたようだ」
 ということで、チヤホヤされるというのも当たり前のことであった。
 美穂はさすがに最初は戸惑ったが、元々が、
「スナックのママ」
 というものをしていただけに、
「人の扱いには慣れている」
 という自負もあり、チヤホヤされることにも慣れてきた。
「チヤホヤしているだけで、誰も本気で自分のことを好きになる人なんかいないさ」
 というのが、スナックで感じたことだったが、環境は違っても、同じ臭いがすることで、
「スナックを思い出した」
 とまで感じていた。
 しかし、ここは、
「お絵描き教室」
 しかも、相手は、
「おじいちゃん、おばあちゃん」
 ということで、
「どこか介護の気分」
 というのがあり、嫌ではないが、
「最初こそ、チヤホヤされているが、そのうち、結局は自分たちの年齢で固まるということになるのではないか?」
 と考えるようになった。
「それで孤立するようだったら、辞めればいい」
 と思った。
「お金はもったいないのだけど、嫌な思いをするところに。自分からいくということなどない」
 と考えたのだ。
 この教室は、基本的に
「半期に一度の開講であり、途中からは、入講はできない」
 と思われていたが、数か月くらい経ってから、一人の男性が入ってきた。
「仕事の関係で、この時期になったんですよ」
 と言っていたが、
「ここは、半期に一度しか入講できないと思っていましたけど?」
 と聞くと、
「そんなことはないですよ。ただ、途中からということになるので、最初が分からないということから、当然誰もが敬遠するということで、誰も問い合わせる人がいないということで、当然のように、途中入講はできないという話になるんでしょうね」
 というのだった。
 値段も、
「回数割」
 ということで、良心的な教室だった。
「私は、お絵描きに関しては、学生時代にちょっとかじったので、すぐに追いつけると思いましてね」
 ということでの入講だった。
 つまりは、
「本人が了承さえすれば、いつ入ってきてもいい」
 ということで、
「来る者は拒まず」
 ということであった。
 その人は、
「普段はスーパーの店長をしていて、今は、マネージャーたちにある程度任せているということで、開いた時間に、この教室に来る」
 ということであった。
 もちろん、店で何かがあれば、飛んで帰るというのが条件であったが、今はそんなこともなくなったということで、普通に教室のカリキュラムを無難にこなしていた。
 その人が入ってきた時というのは、すでに、今までちやほやしていた人も落ち着いてきて、予想通りに、
作品名:真実と事実の絡み 作家名:森本晃次