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真実と事実の絡み

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 もちろん、若い頃には、好きになった同年代の男性がいないわけでもなかったが、どうしても、
「風俗嬢」
 のようなことをやっていると、
「彼氏を作ってはいけない」
 というような感覚になっていたのだという。
 それが、
「生真面目」
 というか、
「堅物のようなところがある」
 と言われるゆえんなのだろうが、
「風俗嬢になる」
 と決めた時、
「同年代の彼氏はいらない」
 と思うようになったのは、
「実際に同年代のお客がやってくると、一人一人が疑似恋愛になる」
 と考えると、
「毎回浮気をしている」
 というわけではないのに、そんな気分になることで、
「誰かと付き合うと、この仕事をしていることで浮気をしたとしても、感覚がマヒしてしまうに違いない」
 ということであった。
 それは、
「自分の感覚がマヒするということなのだから、男性側の感覚もマヒするかも知れない」
 と思ったのだ。
 そうなると、
「男性の感覚がマヒする」
 ということになったとすれば、
「悪いのは自分だ」
 というくらいに、どこまでも、
「自分が悪い」
 ということからの、
「自己否定につながるのではないか?」
 と考えたからだ。
「浮気をするということへの罪悪感」
 というよりも、
「自分のせいで、相手が浮気という、許されないことをすることになる」
 ということで。
「罪悪感」
 というものではなく、
「自己否定」
 というものに繋がると考えると、
「私にとって、若い頃の風俗でのバイトは、よかったのか、悪かったのか?」
 と、自分を責めることになってしまうのだった。
 だが、風俗を卒業してから、
「そんな思いに駆られるということはなかった」
 というのも、
「風俗嬢の時代に、罪悪感も、自己否定というものも、感じるということはなかったからだ」
 ということであった。
 彼女の名前は、
「貝塚美穂」
 旧姓は、
「宮崎」
 であった。
 ただ、彼女の場合、
「すぐに騙される」
 ということで、
「性格的に信じやすい」
 と言われていたが、実際には、
「感覚がマヒしてしまう」
 というところから
「問題が波及している」
 と言われるようになった。
 それがどういうことを意味しているのかということを、今の時点で理解しているという人はいないだろう。
 ただ、
「あまりにも生真面目なわりに、仕事が、水商売だ」
 ということで、
「簡単に受け入れられる性格ではない」
 と言われ、さらには、
「信じられるに値する性格でもない」
 ということで、彼女にとって、
「悪い方に見られることが多い」
 という、
「損な性格だ」
 といえるのではないだろうか?
 彼女の場合は、
「損をする性格」
 と言われることが、
「感覚がマヒしている」
 という風に思われていると感じるのは、一種の被害妄想のようであった。
 損をすることに対して、そんなに自分を悪く感じるということはない。
 しかし、
「感覚がマヒしている」
 というのは、自分の目が見えていないということで、
「自分に納得ができない」
 ということであり、
「納得のできないことを推し進めよう」
 とすると、そこには必ず落とし穴があり、
「その落とし穴にはまらないようにするにはどうすればいいか?」
 ということになると、
「誰か助言をしてくれる人がいるといい」
 と感じるのだった。
 それは、
「同い年の若い連中」
 では、とてもとても。
「逆に自分が教えてやらなければいけない」
 という状況だといえるだろう。
 だから、美穂は、
「スナックの雇われママでいれば、そんな相手に巡り合えるかも知れない」
 と感じたことから、
「雇われママの話が来た時、引き受ける」
 という気持ちになったのだ。
 自分の中では、
「道さえ間違えなければ、成功はするんだ」
 と思っていた。
その道を間違えないように導いてくれる人間を見つけるために、敢えて、
「雇われママ」
 という修羅場に自ら飛び込むというのは、ある意味、
「大冒険だ」
 といえるだろうが、実際に、
「叩けよ、さらば開かれん」
 という言葉があるように、
「やってみないと答えは出ない」
 と考えるようになったのだ。
 実際にいうと、
「貝塚さんという人は、そこまでの勇気はないけど、それを乗り越えるだけの、冷静さというものを持っている」
 ということであった。
 だからこそ、
「人にも助言ができる」
 というもので、
「貝塚という人物を、表している」
 と言ってもいいだろう。
「貝塚さんと結婚するというと、ハチの巣をひっくり返したような騒ぎにならないかな?」
 と思ったが、そうでもなかった。
「一番問題なのでは?」
 と思っていた、
「貝塚家の一族」
 というのは、まるで、昔の探偵称津に出てきた、
「血で血を洗う、骨肉の遺産相続争い」
 というものではないか?
 と思っていたからだった。
 それはあくまでも、
「勝手な妄想」
 ということで、別に何を言われるということもなかったのだ。
 美穂は、結婚を最後まで悩んでいた。
 確かに、貝塚氏はいい人だった。それに今は32歳になっているが、今のところ、他に誰か結婚したいという人がいるわけではないし、
「結婚してほしい」
 という求婚してくる人がいるわけではない。
 家族にそれとなく話をしてみたが、別に反対をする様子もない。両親も、父親が20歳くらい年上で、
「年の差結婚」
 というものに反対することはないと思っていた。
 さすがに、最初は戸惑うだろうが、反対する義理はない。
 しかも、育ってきた中で、
「苦労があった」
 というのが表に出てきているわけでもない。
 苦労というのは、確かに、隠そうとするものなのかも知れないが、隠せば隠すほど、その苦労は表に出てくることだろう。
 逆に、その苦労が表ににじみ出てくる様子が見えないということは、
「本当は苦労なのかも知れないが、本人たちは苦労とは感じていないのではないか?」
 ということで、反対はないと思うのは、無理なことではないだろう。
 それを思えば、
「自分の親に反対される筋合いはないだろうな」
 とも思うのだった。
 問題は、相手の家族だった。
 当然、家族に反対があるだろう。
 テレビドラマなどでよく見る。相手の家族というものを考えた時のことであったが、ウソか本当か、
「気にすることはない」
 と言われた。
 実際に、
「スナックの雇われママ」
 というのも、
「そろそろ潮時ではないか?」
 と思っていたこともあって、美穂は、思い切って貝塚氏の胸に飛び込むことを決めた。
 衝動的な気持ちも近かったが、
「迷うくらいであれば、結婚も悪くない」
 と感じたのだ。
 いろいろ思い返してみると、どこか感情に矛盾が生じていて、まるで、
「堂々巡りを繰り返している」
 という感覚になっているのだが、その感覚が次第に、
「マヒしてくる」
 という感覚になってくると、
「最終的に、どうでもいい」
 と感じてしまうのだった。
 感覚のマヒというのが、伝染したのか、次第に二人の気持ちを包んでくるようになると、そこがお互いに、
「惹きあう気持ちだった」
作品名:真実と事実の絡み 作家名:森本晃次