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表裏別離殺人事件

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 しかし、それが、実は、
「大きなミスにつながることになる」
 ということをまさか、夢にも思わなかったということで、ただ、それが、
「けがの功名」
 ということも分かるということだった。
 初動捜査ということでは、
「これくらいのところ」
 と言ったところであろうか。
 その場は、とりあえず、警官に任せて、樋口刑事は、署に戻ることにしたのであった。

                 つかさという少女

 樋口刑事が署に戻った時は、すでに、日付を回っていた。現場に二時間近くもいたということであるが、本人は、
「30分くらいしかいなかった気がする」
 と思っているが、それも実は、
「いつものこと」
 ということであった。
 それだけ、集中していたということになるのだろうが、そのせいもあってか、疲れは、
「2時間とは言わないほどに長い間蓄積された」
 という風に感じるほどであった。
 しかも、署に帰ると、ほとんどの署員は帰宅していた。
 もっとも、それは当たり前のことであり、普段から宿直もあるので、慣れているはずの暗い署内であるが、さらに寂しさを感じさせられるというものであった。
「これは厄介だな」
 と感じていたが、その日は、ちょうど当直ということで、それまで自分に変わって当直を引き受けてくれていた刑事が帰ってしまうと、普段であれば、
「仮眠をとるか?」
 と思っている時間帯に差し掛かったが、
「なかなか寝付かれそうにもないな」
 ということを感じさせるのであった。
 目を瞑れば、
「瞼の裏に、事件の背景が浮かんでくる」
 という感覚と、
「寝入ってしまうと、悪夢にうなされそうな気がする」
 という気持ちもあって、気が立っているということもあるのだろう。
 目を瞑ってはみたが、その瞼の裏に浮かんできた事件が妄想のようになるのだが、
「せっかくだから、目を瞑って事件を整理してみるか?」
 と考えたのだった。
「簡単なところから整理してみるか?」
 と思ったが、
「まずは、風俗。特にデリヘル業界というものがどういうものなのかということを、オーナーから聞かされたことを思い出しながら考えてみよう」
 と思ったのだ。
 確かに風俗というのは、
「今までのぼらっくボックスだった」
 ということで、それが、
「どこか胡散臭い」
 という意識があったのか、それとも、
「意識して敬遠していた」
 ということになるのかと考えていた。
 どうやら、想像する中で、
「後者ではないか?」
 ということで、
「敬遠していたのだろうな」
 と考えた。
 樋口刑事は、どちらかというと、
「苦手なことを敬遠するタイプではなかった」
 前のめりということもないが、特に、
「警察官として知っておくべきことは、目を背けることはしたくない」
 と思っていたのに、この業界に関しては違ったのは、半分忘れていたのだが、
「樋口が大学時代に好きだった女の子が、実は風俗嬢だった」
 ということを後から聞かされたからであった。
「最初から分かっていれば、ここまで敬遠することはなかっただろうに」
 と思ったのは、
「最初から隠すということは、それだけ風俗で働いているということは、隠すべきことだ」
 ということだと自分で意識していたからに他ならないということだったと思っているからであった。
 それを、認めたくないということで、
「刑事らしからぬ態度になってしまった」
 ということになるのだろう。
 樋口刑事が所属しているK警察署内部に、翌日になると、捜査本部ができた。
 その戒名としては、
「ラブホテル女子大生殺人事件」
 というものであった。
 敢えて、
「デリヘル」
 であったり、
「風俗」
 という言葉を使わないというのは、マスゴミに対しての、
「余計なことを書かないでほしい」
 という
「無言の圧」
 のようなものなのかも知れない。
 もっと言えば、
「世間を騒がせるような記事を書いてほしくない」
 ということで、被害者が風俗嬢などということになると、
「背後に暴力団関係が」
 などという根拠のない憶測が生まれることで、無関係の人間が煽られるということを嫌ったともいえるだろう。
 特に、被害者の家族などが、晒されたり、特定されるなどということになると、
「警察に避難が囂々になる」
 ということで、そもそも、マスゴミが煽ったことから生じた問題なのに、
「そんなことはさておき、警察を攻撃する」
 というのが、マスゴミの正体である。
 だから、警察が、必要以上に情報統制をおこなうというのは、
「致し方のないところ」
 といってもいいだろう。
 しかし、マスゴミも、
「憲法に保障されている権利」
 というものを盾に、攻撃してくるのだから、
「確信犯」
 といってもいいだろう。
 それを考えると、マスゴミへの影響というのは、想像以上に問題をはらんでいる」
 といえる。
 特に、
「最近騒がれている。個人情報の保護」
 というのは、
「憲法で保障されている権利や自由」
 というものと、反対だといってもいいだろう。
 マスゴミに。すべての自由や権利を認めると、プライバシーというものが崩れてしまう。
 そうなると、警察関係でいけば、
「被害者家族、さらには、加害者家族」
 というまったく無関係の人まで巻き込まれてしまうということになるだろう。
 それを考えると、樋口刑事も今までの捜査の中で、その二つのジレンマに苦しめられてきたことが多かったと、いまさらのように感じるのであった。
 もっと言えば、
「犯罪というものを、いかに抑制するか?」
 ということを考えた時、
「警察の力にも、おのずと限界がある」
 ということを思い知らされるということであった。
「警察に、すべての国家権力」
 というものを与えれば、どのようになるかというのは、昔の歴史を見れば分かるというものだ。
 時代は昭和の、動乱期、世界は、共産主義などの台頭によって、
「スパイ合戦」
 というものが繰り広げられているといえるだろう。
 その時代にあって、大日本帝国は、
「治安維持法」
 というものを成立させた。
 これは、
「反政府組織」
 などを取り締まる法律ということで、
「共産主義」
 であったり、いわゆる、
「国家体制に歯向かう連中は、すべてが対象」
 ということで、戦時中などにあった、
「戦争反対を唱える人たち」
 を、
「非国民」
 と呼んで、逮捕し、拷問を加えるということで、それこそ、
「徳川時代におけるキリスト教迫害」
 というものに通じる、
「踏み絵」
 のようなものではないだろうか。
 確かに、
「政府に対しての反逆」
 と思われるものは、ある程度規制をかけるというのは無理もないことだろう。
 しかし、それをやりすぎると、結果として、
「今でいう、民主国家の根底を覆す」
 ということになる。
 ただ、
「大日本帝国:
 というのは、
「民主主義ではない」
「デモクラシー」
 というものが注目された時代もあったが、
「結局は、国家体制に、牛耳られることになった」
 といってもいいだろう。
 当時の大日本帝国というのは、
「立憲君主」
 の国であった。
「立憲」
作品名:表裏別離殺人事件 作家名:森本晃次