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時代に曖昧な必要悪

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 ということで、女性は母性本能をくすぐられるのかも知れない。
「奥さんもそうだったのかな?」
 と思ったが、奥さんのことを捜査していると、
「どうも少し違うようだ」
 と思った。
 ただ、不倫は、結婚してからすぐからのようだったので、
「押しに弱いということか」
 と、不倫相手に押し切られたのかも知れないと感じた。
 しかし、さらに調べてみると、
「飽きっぽいところがある」
 ということも分かり、それに対して、不倫相手も認めているようで、
「奥さんに飽きたから私のところに来た」
 ということを不倫相手は告白した。
 彼女もそのことは分かっていたのだ。
 分かっていたが、それでも、ズルズルと不倫を続けていたのは、彼女も彼を愛していたということであるし、新吉も、
「奥さんを愛していて、不倫相手も愛している」
 ということで、それを、自分の中で納得させられたからの不倫だったということだ。
 それを分かっていて、
「いまさらなぜ、殺す必要があったのか?」
 ということであったが、それを解くカギが、
「所轄違いのもう一つの犯行」
 ということであった。
 まったくの想像というか、妄想でしか判断することのできない犯罪。時期的にも近いことから、
「模倣犯ではないか?」
 と思える犯罪であるが、
「ここまで似ていると、関連性があると思うしかない」
 ということになるだろう。
 確かに、模倣犯なのかも知れない。ただ、そこに、別の何かが絡んでいないと、衝動殺人ということでもないので、考えにくいだろう。
 そう思うと、何か、見えない力のようなものが働いているのではないかとも思えた。
 下手をすれば、
「何かの秘密結社ではないか?」
 という考えである。
 そこに、
「洗脳」
 というものがあると思えば、パッと思い浮かんだのが、
「新興宗教団体」
 のようなものだったのだ。

                 大団円

 犯行が、新興宗教団体と考えるのは、確かに突飛なのだろうが、あり得ないことではない。ただ、その団体に、
「犯行を犯して、何の得があるというのだろうか?」
 ということであった。
「不倫は悪いことだ」
 ということで、一刀両断にするというのは、宗教団体としてはあることかも知れない。
 だからと言って、それを制裁のごとく、断罪するというのも、ありえない。
 何といっても、
「人を殺める」
 というのは、宗教にとって、
「一番の罪悪」
 であるといえるだろう。
 捜査を進めていくと、共通して、奥さんが、
「その宗教団体に属している」
 ということが分かった。
 その宗教団体には、これも共通していて、
「不倫相手が入信している」
 ということから、入信することになったのだった。
 それを旦那がどこかで知ったのだろう。
「うちの奥さんが、不倫相手にかどわかされる形で、宗教団体に入信した」
 ということをである。
 奥さんが入信しているということは、ずっと内緒にされてきたことであり、新吉と聡子夫婦の間でも、
「新吉は、その事実を、何年も知らなかった」
 ということであった。
「どうやら、妻の入信は、不倫が始まって数か月のことだったようだ」
 という話だった。
 警察は、
「旦那が自首をしてくる」
 という前から、
「奥さんの宗教団体とのかかわり」
 というものに気づいていた。
 それは、
「別の管轄での事件」
 というものが、中途半端な情報として入ってきたことで、分かったようなものだと思っている。
 人間関係においては、漠然としてしか入ってこないが、
「奥さんが宗教団体に入信していた」
 という情報は、まるで、ザルから水が漏れるかのように、こぼれてきたのだった。
 ウワサでも流れてきたし、その信憑性に対して、
「信じられない」
 と思っていた矢先、警察が信頼している、情報屋、そして、マスゴミの中の情報屋が、それぞれに持ってきたのだった。
 彼らは、元々その宗教団体は、
「信者を洗脳することで、自分たちの利益につなげる」
 ということだけしか考えていない団体で、その考えが徹底していることから、やつらの思惑は、より強いものとなり、信者のような、
「藁をも掴む」
 という意識の人たちを簡単に騙すことができるというそんな団体は、
「隠せば隠すほど、あからさまになるということを、やつらは分かっていないんだろうな」
 という、つまりは、
「人間の裏の感情」
 というものを利用しようとするくせに、それが、
「自分たちに注目している人たちにどのように写るか?」
 ということを分かっていないのだ。
 それが、
「やつらにとっての命取りになる」
 ということで、命取りになることを、まったく気づいていないことで、
「やりすぎた宗教団体」
 というのは、社会問題となり、潰されないとしても、社会悪として、認識されることになる。
 しかし、それでも、いまだに、
「蔓延っている」
 という団体もある。
 それだけ、
「人間というものは弱い」
 といってもいいだろう。
 世の中というものに失望し、信じられないことで、
「最後の砦」
 ということで、入信を考える。
 昔から、世の中を儚むことで、
「仏門に入る」
 というのが、当たり前といってもいいような歴史があるではないか。
 だが、やつらは、
「世の中を断っている」
 ということもあり、世の中の常識というものが分からないことで、人間の本当の心理の動きのようなものが分かっていない。
「実直な考え」
 といえば聞こえはいいが、
「やっていることは極悪なくせに、人間の隠し持っている感情というものを理解もしていいないで、相手を洗脳しよう」
 などと考えるから、必ず、露呈するということになる。
 それが今回の、
「新吉による犯行」
 だったわけだ。
「新吉と聡子の事件」
 そして、
「別の管轄における似たような事件」
 と、模倣とも見えるような犯行が少なくとも、同時期に2つはあったわけだ。
 そうなると、まだ見えていないだけで、似たような犯罪が、どれほどあるかというようなもので、それこそ、
「一匹見れば、十匹はいる」
 という害虫のようなものではないだろうか?
 害虫というと、
「この世では、嫌われるものであり、実際に人間には害悪以外の何物でもない」
 といってもいいだろう。
 しかし、この宗教団体はどうだろう?
 人によってはm
「入信した李、洗脳されることで、生きがいが見つかり、生きていける」
 という人がいないわけではないだろう。
 中には、
「この団体と出会わなければ、とっくに自殺をしていた」
 という人もいるだろう。
 だが、
「自殺よりも、殺人の方が罪が重い」
 ということになるのだろうが、自殺というのも、
「自ら命を断つ」
 ということで、宗教によっては、
「自分を殺める」
 ということで許されないと考えているところもある。
 しかし、これも逆を考えると、
「自殺をするというのは、まわりから、死ななければならないような圧力をかけられるわけで、苛めであったり、会社でのパワハラによって、精神を病んでしまったことで、自殺をする」
 ということであれば、それは、
作品名:時代に曖昧な必要悪 作家名:森本晃次