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限りなく完全に近い都合のいい犯罪

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 普通であれば、
「塩崎の事件はただの偶然」
 と考えるだろう。
 つまり、塩崎の証言と同じ形で、自分がひき逃げされたというのは、
「偶然だ」
 と考えてしまうと、それ以外の発想が、打ち消される気がするのだ。それこそ、
「警察が一度捜査したところは、また捜査することはない」
 という発想と同じで、
「偶然だ」
 と考えることは、
「あくまでも、警察の捜査の範囲外だ」
 と思ってしまうからではないだろうか?
 というのは、
「警察の捜査は、最初から決まった捜査方針を忠実に捜査する」
 ということが基本だ。
 だから、
「偶然というのは、捜査上ではありえない」
 という発想をしてしまう捜査員が多いということだろう。
 警察が、
「親方日の丸」
 ということでの、
「公務員仕事だ」
 というのは、幹部にも責任があるが、
「それが当たり前だ」
 ということでの、個人個人の発想からくるものだろう。
 犯人はそれを利用した。
 犯人の目的は、あくまでも、
「信二の殺害」
 動機としては、
「詐欺事件に関係があった」
 ということであるが、その結びつきを分からなくするために、
「間に塩崎を挟んだ」
 ということである。
 しかも、塩崎という男も、実は、
「殺されるべくして殺された男」
 ということであった。
 犯人は、
「塩崎、信二両方を殺した男」
 ということであるが、この男が、交換殺人というわけではなく、
「目撃者を交換する形に配置した」
 ということで出来上がった犯罪だったのだ。
 しかも、その交換を容易ならしめるために、使った方法というのが、
「敵の敵は味方」
 という発想であった。
 細かい内容に関しては、実際には複雑な犯罪計画が練り上げられているのだが、表に出てきた内容は、実に単純なものであった。
 これが、この事件のギャップを作り上げることで、そのギャップが、
「心理的な犯罪」
 というものを、完全なものではなく、
「限りなく完全に近い曖昧な犯罪」
 ということにするのであろう。
 この事件。最後に解決することになったかどうか、今の時点では分からない。
 なぜなら、この事件は、あくまでも、
「河合刑事の妄想でしかない」
 ということだからだ。
 それこそ、
「都合のいい、夢というものを思わせる」
 ということになるのではないだろうか?

                 (  完  )
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