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真実探求

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「まさに、昔の殺し屋スタイル」
 といってもいいくらいだった。
 犯人が最初から、
「被害者を狙っていた」
 というのは、一目瞭然で、
「間違いでない」
 ということは、被害者が動かなくなるまでの数秒間、被害者の顔をしっかり見ているので、もし人違いだと分かれば、さすがにその場をすぐに立ち去るか、気が動転して、思わぬ行動に走ってしまうということであろう。
 仁王立ちの状態で、犯人が立ちすくんでいたという状態から、
「最初からの狙ったうえでの犯行だ」
 ということで、
「なるほど、財布などに手が付けられていないことからも、言えるだろうな」
 と思えた。
 犯人もさすがに、防犯カメラの存在というものを意識していないということは考えられないだろう。
 だからこそ、
「変装していたわけで、防犯カメラだけでは、犯人を特定するということはできない」
 ということであった。
 被害者が、この場所を歩いていたというのは、別に不思議なことではなかった。
 この場所は、被害者が自宅に帰る途中の道だったのだ。
「毎日決まった時間に歩いている」
 というわけではない。
 普段であれば、もっと早い、人通りがもう少しいる時間に通りかかることになるであろう」
 ということで、
「この日は、普段とは違う時間だった」
 といえるだろう。
 だからと言って、
「こんな日が珍しい」
 というわけではなく、
「定期的に、酒を飲んで帰る日がある」
 ということで、被害者には、
「なじみの店があった」
 ということであった。
 その店というのは、都心部にあり、被害者が数年前からよく行っていたところであった。
 被害者は、三雲三郎という男で、年齢は30歳になったところで、学生時代から、
「なじみの店を持ちたい」
 ということをずっと思っていたらしく、それが、社会人になってからできた馴染みの店だったのだ。
 最初は、会社の先輩から連れていかれた店だった、
 しかし、その先輩が、その直後転勤ということになり、その先輩がいかなくなったことで、三雲の馴染みの店となったのであった。
 三雲は、大学生になれば、
「なんでも楽しいことができる」
 と思っていたようだが、実際の大学生活の四年間は、
「楽しいはずだ」
 ということを自分に言い聞かせていたくらいだったので、実際に想像していた楽しさが手に入るわけではなかったので、
「半分、人生に失望していた」
 といってもいいかも知れない。
 そもそも、大学時代の三雲は、
「他力本願」
 だったのだ。
「大学生という肩書があれば、それだけで、おいしい思いができる」
 などという甘い考えを持っていたことで、
「それが甘い考えだ」
 ということにすら気づかなかったことで、
「終わってみれば、大学時代なんて、面白くも何もなかった」
 と思うのだった。
 だから、就職してからも、
「どうせ、面白くもない毎日を過ごすことになるんだろうな」
 という思いが強かったせいで、研修期間中は、
「これほど面白くない人生もない」
 と思っていたのだった、
 大学時代に何もできなかった」
 というのは、
「女相手」
 ということからであった。
 そもそも、大学入学までは、童貞だった。
 これは別に珍しいことでもなく、逆に、
「大学に入れば、いくらでも女なんて手あたり次第だ」
 というくらいにまで思っていたようだ。
 しかし、それも、
「他力本願」
 では、どうしようもない。
「俺はそんなに女に好かれないほど、不細工ではない」
 と思っていたからこそ、
「自分から行くわけではなく、女から好かれる」
 ということが、大学時代の楽しみだと思っていたことが、そもそもの、
「甘い考えだ」
 といってもいいだろう。
 だから、まわりからは、
「あいつはお高く留まっている」
 と思われていたようだが、皆気を遣って、
「意識させない」
 という気の遣い方をしていたのだが、それが、却って増長させるということになったのか、
「結局、男女ともに敵を作る」
 ということになってしまったのだ。
 高校時代から、予備校仲間からは、
「大学生になれば、モテるだろうな」
 と皆で言っていた。
 つまり、
「モテたい」
 ということで、それは、自分からアタックするということではなく、
「まわりが、自分を、チヤホヤしてくれる」
 ということでないと、意味がないのである。
 だから、まわりには、
「お高く留まっている」
 と言われるようになり、特に女の子は、男性にそういう態度が見られると、一気に冷めてくるといってもいいだろう。
 自信過剰の男性を嫌う女性は結構いて、自信過剰が、何かによって裏付けられているのであれば、それが、
「頼もしさ」
 というころになるのであろうが、それがないのであれば、
「誰がそんな男を好きになんかなるものか」
 ということであった。
 だから、被害者は、大学時代には、結局、卒業までそのことに気づかず、完全に、
「大学時代を棒に振ってしまった」
 と思っていた。
 しかし、就職すると、少し気分も変わってきた。
 大学時代のような、
「他力本願ではなくなった」
 ということである。
 就職すれば、
「自分から行動を起こさないと、何も時始まらない」
 ということが分かっていたからだ。
 大学時代というのは、
「それでも、他力本願で何とかなる時代で、その時代にしか楽しめないことを楽しむのが目的だ」
 と思っていたので。それが、目的通りにいかなかったことで苛ついていた気持ちが、卒業することで、今度はいい意味での心機一転となったのだ。
 ただ、最初の半年間は、
「仕事になじめない」
 ということと、
「それまでの他力本願という考え方というものが、なかなか抜けない」
 ということから、自分なりに苦しんだといってもいいだろう。
 それを考えると、
「会社が嫌な時期があったが、会社を辞めずによかった」
 と思っている。
 もし、簡単に辞めてしまっていれば、大学時代の気持ちをそのまま引きずり、結局は大学時代と同じ、
「他力本願の道」
 というものから、脱却できない状態になるのではないだろうか?
 と考えるのであった。
 そんな時、考えたのが、
「馴染みの店ができると、気分転換になるな」
 ということであった。
 ちなみに、
「童貞喪失」
 というのは、大学時代、先輩から連れていってもらった風俗で済ませていた。
 ただ、大学を卒業するまでというのは、
「素人童貞だった」
 ということになるのだ。
 そもそも、風俗においても、
「馴染みの店」
 いや、
「馴染みの女の子」
 というものがいたということである。
 犯人が、なかなか捕まらなかったというのは、最初、
「犯人が男だ」
 ということで犯人を追いかけていたからだった。
 そもそも。動機にしても調べられたが、
「犯人が男だ」
 ということが評判となり、そのことが噂になってくると、捜査員も、
「動機のある男」
 ということで捜査に当たった。
 よく考えてみれば、
「女が、実は男だった」
 ということであれば、
「暗闇でのごまかし」
 というのは、何とかなるというものであろう。
作品名:真実探求 作家名:森本晃次